セシリア嬢を婚約者候補として
イースラー「開いて頂きありがとうございました」
こんにちは、体重特化型成長期のセシリア=ビュリです。
今日も家族達から与えられたお菓子をモクモクと食べています。
全員がケーキを持ってきたら私も自重すると思うのだが、ジャンルが違うのが問題だった。
父は武官。なので、油を控えた少し塩味が聞いたお菓子を貰う。
母は元文官。頭を働かせるため、甘い糖分たっぷりなケーキやタルトを貰う。
それに、兄や弟が学園女子が美味しい、と思った自慢のお菓子や手作りのお菓子を貰う。
それらを全て胃の中におさめてきた自分の身体を眺める。
「ねえ、父様。私太ってない?」
「太ってないよ。女の子はそれくらいの方が可愛いよ」
その身内びいきをやめろ。
「ねえ、母様。私太ってない?」
「太ってないわよ?女の子はそれくらいの方が可愛いのよ」
母様もか。
「ねえ、兄様。私、太ってない?」
「太ってないよ、むしろ痩せすぎだと思うよ?」
いや、それはない……。
先週、お姫様抱っこできなかったじゃないか!
「イースラー、私、太ってない?」
「姉様は太ってないと思うけど。普通だと思うよ?」
ダメだ……このままではいけない。
私がお菓子を食べないと、家族が悲しそうな顔をする。
運動するしかないのか……。
「あれ?セシリーどうしたの?」
「ちょっとお庭を走ろうと思って……」
「走る!?ダメだよ。もし転んでセシリーの綺麗な肌に傷が付いたらどうするの!」
まして傷が残ったりしたら、と青ざめるノートン兄様。
家族会議が終わって、一番手軽にカロリーコントロールできるランニングはダメだと言われた。
ウォーキングは何とか許可を貰えたが、ウォーキングでは中々体重が落ちていかない。
摂取カロリー>消費カロリー
お菓子恐るべし。基礎代謝をあげればいいかな、と腕立て伏せや腹筋で筋肉を付ける事にした。
数週間のトレーニングの結果、お腹周りは少し小さくなった。
喜んだ私は、トレーニングを強化させていく。
基礎の筋トレに加え、寝る前には前世で護身用に習っていた空手の型と室内ヨガをする。
身体の柔らかさ、正しい型の反復で付いたするどい動き、そして筋肉。
身体が動くようになると、楽しくなってくる。
ある日、お風呂場の鏡で見ると、腹筋がバキバキに割れていた。
腕に力を入れると、グググッと筋肉が盛り上がる。
これは令嬢としてはどうなんだろう。
少女、と呼んでもいい年齢なのに中堅総合格闘技ファイターのような身体が完成してしまった。
鏡にうつる私が、令嬢としての身体ではなくなっていく気がする。
ぽちゃの方がマシだったか。
まあ服を着てたら解らないよね。
ある日、父様が城から落ち込んで帰ってきた。
「王家のリスカ王子に婚約者を付けようという話があってな」
「リスカ王子は今までは全員断っていたんだが、セシリアの写真を気に入ってしまったようでな」
セシリアに婚約者候補として、と申し込みがあった。
そういうと、兄様とイースラーは反対する。
「僕の可愛いセシリアを王家に渡すの?」
私は兄様のものではない。
「姉様を連れて行かないで……」
「すまない、セシリアと一度だけでも会いたい、と言って聞かないのだ。
セシリア、お前が嫌なら私は断ろうと思う。国よりも私は家族が大事だ」
私は首を横に振った。
「お父様、お父様が家族を愛してるように、私もお父様達を、家族を愛しています。
私のためにお断りして立場が悪くなってしまうのは悲しいですから」
「王家からの使いですが、セシリア嬢はおられますか?」
使いの兵士が来て、私たち家族を見て言った。
「キーン様に良く似た立派な兄弟と、ミル様に良く似たお美しいお嬢様ですね」
「ああ、自慢の家族だ」
兵士は申し訳ありません。王命ですのでセシリア様をお連れ致します、と頭を下げて
「では、セシリア様、行きましょう」
そして兵士は私を連れて行こうと手を伸ばす。
「えっ……?」
その手は私を華麗にスルーして、弟のイースラーに伸びた。
「しかし、ミル様に本当にそっくりでお美しいですね」
「え……?ちょ、ちょっと、僕は違うよ」
「申し訳ありません、王命なのです。セシリア様」
「だから、だから僕は違うんだってば!」
イースラーが乗せられた王家へと向かっていく馬車。
「セシリア、お菓子食べる?」
「うん、食べる」
ノートン兄様の言葉に頷き、その日、イースラー抜きの家族でお菓子を食べた。
セシリア「弟のイースラーが不在のため、代わりにご挨拶します。読んで頂きありがとうございました」




