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ほとんど元のままじゃねえか!

開いて頂きありがとうございました。

父はゴリラ顔、母はサル顔。生まれた子供はどうなるでしょうか?


年齢=恋人いない歴。17年、絶賛更新中。


そんな私の容姿を書こうと思う。


胸は無い。ステータス?いいえ、それは可愛い子限定です。

スリーサイズ100-100-120のAAA。

神から与えられたような体形には希少価値はあっても、魅力は無いだろう。


スリーサイズを聞いて解るかもしれないが、ややポチャだ。

……何?まあいいけどさ。


髪は天パだ。ゆるふわ天パじゃない。天然チリパー。

外国のオシャレな感じとは程遠く、チリパーなのに毛が太い。


目は細い。全力で開けばパッチリだが、瞼の肉が重いのか糸のような目になる。


そして全身毛深い。男性ホルモンが多いのか、体毛が酷い。


そんな私も恋をする。私には自信があった。


ややポチャな体形も、健康的で美しく見えると思ってた。

天然チリパーは、海外のシンガーのようにかっこいいと思ってた。

糸のような目も、ミステリアスな雰囲気だと思ってた。


全身が毛深いのも、

「えっ、もしかして私ってアニマル系?オタクが騒いじゃう?胸毛でモフモフされたらどうしよう」

とか思ってた。


両親が可愛い、可愛いと身内びいきで褒めてくれたので、私は本当に可愛いんだと思い込んでいたんだと思う。

うん、私がぼっちなのは高嶺の花だからだと思ってた。


そんな私も恋をする。


「好きです、付き合ってください」

そう言われた彼は、じわりと目に涙を溜めて、泣き始めた。

最初は、もしかして私に告白された事が嬉しくて?と勘違いしていた。

「す、すみません……これで本当に勘弁して下さい」


 そのあたりで、あれ?何だかおかしいな……と思い始めてきた。


「ねえ、もしかして、私って……そこまで美人じゃなかったりする?」

 勇気を出して、わりと話す近くの席の人に尋ねてみた。

「うん?……そうだけど」

 あっさりと肯定された。

 何言ってるの?当然じゃない、という顔で。


「もしかして、中の下くらい?」

 まさかねー、と恐る恐る聞いてみた。

 自己評価はそれでも中の上だった。

 少なくとも、コイツよりは可愛いんじゃないかな、と思ってた。

 低めに見積もった中の下。


「下の下、それも底辺じゃない?あ、でもスカート履いてたら男には見えないよ?」


 それ、ジーパンとか履いてたら男に見えるって事ですかね……。

 そういえば近所の悪ガキ、お兄ちゃんって言ってきたけど、男だと思われてたりするの?


 傷ついた。フラれた事にも傷ついたが、実は可愛くなかったんだと気付いてしまった。


 もう死のうかな、死んだら次は美人になれるかな。

 考え事をしながらフラフラと歩いていたら足を滑らせ、川へ……


「……あれ」

 そして私は、8歳くらいの子供になっていた。


「良かった、目が覚めたのね!」

 西欧系のものすごい美人が私を抱きしめてくる。

 何ですか、この美人さん……。


「良かった、回復魔法も効かないからどうしようかと思ってたよ」

 西欧系のものすごいイケメンさんが私を抱きしめてくる。


「パパ?ママ?」

 そういうと、しっくりと来た。こいつらは私の親だ。

 何だろう、さっきのは前世の記憶……だったのかな。


「セシリー、大丈夫?」

私よりも一回り大きな少年……美形ショタが近寄って来る。


「おねえちゃん」

 私の弟も抱き着いて来る。

 可愛い。あどけない顔立ちは、妹にも見えるような美形ショタだった。


 何ですか、この美形家族。


「ちょっとトイレ……」

 私はベッドから身体を起こし、

「病み上がりだから手を引いてあげるよ、セシリー」


 そういってショタ美少年の兄に手を引かれ、トイレに入った。


 前世、父親のゴリラ顔は、男らしさを感じる顔立ちだった。

 母親のサル顔は、女性らしさを感じる柔らかい顔立ちだった。

 どっちかに完全に似ていれば、それはそれで私もそこまで悪く無かったんじゃないかと思う。


 前世の私は、二人の悪い部分が微妙な配合で混ざった事と、

 可愛がられて、食べ物をたくさん与えられ、それを吸収した結果だったのだ。

 ところが今回はどうだろう。

 父……美形

 母……美形

 兄……美形

 弟……美形


 どんな微妙な配合をしても、美形にしかならない。

 ハズレでも悶絶する美形、アタリで絶世の美形になれる。


 スマホゲーの高級プレミアムガチャを引いた時のように、私はドキドキしていた。

 もしかして神様が願いを叶えてくれた?


 洗面所の鏡に映る自分の姿を見て……私は頷いた。


 うん。


 自分の顔をペタペタと触って、私はもう一度頷く。


 髪は父譲りの金髪。

 目の色は母譲りのサファイアブルー。

 ここまではいい。


 前世の私を若返らせてカラコンはめて髪を染めたような

 見慣れたチリパーで

 濃い体毛をした

 美形の遺伝子をほとんど無視したような糸目のちょいポチャな少女が、そこにはいた。


「ほとんど元のままじゃねえか!!!ふざけんなよ!!」


読んで頂きありがとうございました!

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