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半透明のケット・シー  作者: 七瀬渚
第7章/狼の真実(Ray)
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5.真っ逆さまでも伝えたい(後編)



ーー前世まえも、そして現世いまも 、まだ経験したことはない。



だけどきっと、こんな感じなのではないだろうか。




『新婚』




気が早過ぎるかも知れない。だけど一度脳裏に浮かんでしまったが最後、なかなか薄れてはくれないその甘い響きを今はただ噛み締めていたかった。



でもわかっていた。このままという訳にもいかないと、腑抜けた己を覚ますつもりで今夜も見回りと称して夜空のもとへ繰り出していく。



夏の兆しの5月。それでもいくらか涼やかは夜風は砂糖漬けになったような頭を、意識を、いくらかまともに戻してくれた。



荒野を進み行く、今夜もまた林へ向かう。


レイは忘れてなどいなかった。






ーーお前たちがもし“後者”を選ぶなら



音に気を付けなさい。



どんなに平穏で幸せな日々であってもそのときはきっと来る。




ーー崩れる“音”を聞き逃してはならないよ、レイーー





重く不穏な響き、それは、後者いまを選択する前にナツメから受け取った忠告だった。


出来れば聞きたくなどなかった。目を背けたい、耳を塞ぎたい、逃げたい。何度思ったことだろう。



だけどそれ以上に…




「失いたくない」




だから聞こうとした。怖かったけれど、ああしてじゃれ合っている間も耳をすませていたのだ。そしてついに聞こえてしまったのだ。




ーー今度お前にも紹介してやるなーー




あのときもだ。散々くっついて羞恥も麻痺して、好きだ綺麗だ散々言った後、再び話題にした。それから聞こえた。




う、うん……



ありがと…。




あの“音”だった。



耳を塞ぎたくなる軋み、不協和音。奏でさせたその原因は、多分



「レサト」




こいつだ。




俺の姿を捉えるなりワウ、ワウ!と高らかに吠えながら駆け寄ってきた。滅茶苦茶に尻尾を振り乱している、大いに喜んでいる、これじゃあまるで仔犬だ。邪気や殺気どころか野生すら何処ぞへ吹っ飛んでしまったかのよう。



言うまでもなく可愛い。子どもの狼、レサト。その詳細なら随分と話したのだ。まるで犬みたいだと。お前にはまさらないけれど、綺麗で無邪気でいい奴なのだと。


なのに、何故だろう。




ーーう、うん……ーー




ジュリは何故か、こいつに会うのをためらっている…?




予感と疑問。しかし、それはついに確信へと変わった。




んん…



うう…ん…




レサトと別れて帰路に着いた。補強したてでいくらか心強い滑らかなドアの響きの中にそれは混じってきた。



「ジュリ…?」



今夜も先に寝かせておいた、彼女が、うなされている…?



独りにしてしまったからか。不安にさせてしまったのか。ただ悪夢から引っ張り上げてやりたい一心でそっと触れた。



「ジュリ」



呼びかけが届いたのか、うっすらと開いていく。愛おしいあの二色が




ーーーー!




あんな形に変わる、なんて。




い、や……





「いやぁぁぁーーーっっ!!!」




凍り付くような夜の色。染められるレイもまた凍り付く。今まさに起こっている、信じられない光景を目の当たりにして。



「ジュリ!?」




ーー彼女は。



タオルケットを胸に手繰り寄せた。ベッドのふちスレスレまで後ずさった。叫んだ。滅茶苦茶に。



「嫌…っ、来ないで…!!」



「ジュリ…!」



「やめて…やめてぇぇ…ッ!!」




信じたくなかった。それでも確かに見える。聞こえる。



静寂と情熱の色は今や淀みの混じった訳のわからない色に。こんなこと…立ちすくむレイの前、残酷な事実はついに響きとなって届く。




やめて…お願い……



みんなを襲わないで…!




「私の子を食べないで……ッッ!!」





「ジュ…リ……」




ついに取り戻してしまった。悲痛な彼女の記憶はいたたまれない悲鳴となって夜空を貫いた。





ーーどれくらい経った頃か。




やっと落ち着いた彼女は現世いまの【ジュリ】を取り戻すなり泣きじゃくった。俺に詫びた。



こんなことを言った。




「ごめん…ごめんなさい、レイ。知ってるのに、レイは違うって」



…狼じゃないって。





ーー嗚呼。




わかってしまった。見えたような気がした。



認めざるを得ないと思った。逃げられはしない、と。




あの瞬間から一夜が明けた。朝日のもとで目覚めた彼女の瞳にもう淀みは見えなかった。



「おはよう、レイ」



いつものように。笑ってくれた。いつも通りの美しく愛らしい姿だった。



だけど駄目なのだ。知ってしまったが最後、それは何度でも何度でも、聞こえてきてしまうのだ。逃げられないのだ。



あの音が響くとき。



彼女はいつだって、真っ直ぐ俺を見ているのだ……狼を。






何ということだ。




……何ということだ。





本当は眠るまで傍に居たいのに、たまらなく怖くて出来なかった。この夜、レイは初めて、それまでとは異なる目的で林の中を訪れた。



ーーレサト。



無性に会いたかった。最初からごく自然に仲間と思えた。今更のように実感している。無理もなかったんだと。



「悪いな、レサト。とんでもねぇことがわかっちまった。本当はアイツに紹介してやりたかったけど……」



ワウ!



「怖がってるんだ。多分そのうち…俺も」



キュウ…ウゥン…




「なぁ、俺…どうすればいい?」





ーー輪郭の濃い三日月が宿る。抜けるような夜空に明確な星が瞬く、眩しい、夜。



銀色の友、孤独な狼と身を寄せ合うブルネットの現・青年は気付かない。




グルル…



ウゥ



ガウッ。




自分がこんな声をしていることにも。





「レ…イ……」





眠ったと思った彼女が背後から



震える眼差しで見つめていることにも。



✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎



ーーそして現在、この時に至る。



また別の場所、遠く離れた研究所内の片隅で今もなお、続いている。



「クリストファー!」



肉付きの良い指がビッ、と貫く音を立てるようにして突き付ける。指されてぽかんとしている相手へ、マギーは声を大にして言い放つ。



「アンタ、レイさんを兄貴って慕ってたわよね?彼が何歳か考えたことある?アンタより歳下なのよ!」


「え!」



そうだっけ…と必死に思い出そうとしている。それでも思い出せないのか、はたまた指摘通り考えたこともなかったのか、困惑を露わにしていく【クリストファー】。



マギーは待たない。考え続けている方を置き去りに、今度は別の方を指差して



「デイビッド!」



また言い放つ。



「アンタはレイさんみたいになりたいって言ってた。モテるし仕事できるし羨ましいって。それはひがみの裏返しでしょう?知ってるよ、噂に尾ひれを付けて放流したのはアンタだよね!」



「ちがっ…!」



「違う?じゃあ本気で思い込んでたの?散々助けてもらったクセに、そこから彼の人柄を見ようとはしなかったの?おかしいと途中で思わなかったの?」



「んだよ、生意気に!お前だって…」



不服とばかりに目くじらを立てる【デイビッド】。それでもマギーは待たない。それどころかづかづかと向かっていって



「そうだよ!!」



間近から睨み付けて言い切った。私もだった、そうだった、と。キツく吊り上がった目から絶えずこぼしつつも続けていった。



「みんな知ろうとしなかったんじゃない。強面だから?背が高いから?仕事できるから?そんなの表向きじゃん!買いかぶりじゃん!」



褒めてるんかけなしてるんだか。何だか訳のわからない口ぶりだ。そしてそれはマギーばかりではない。




ーーそうだな。




やっと彼女に追い付いた、小刻みに震えるふくよかな肩を支えたエドが言った。



「アイツは弱いよ。あんな風に育っちまって、あんな風に期待をかけられたから。俺らが寄ってたかって甘えたから、弱音の吐き方を忘れたんだ」



エドさん…



うっすら灯るみたいに、何処ぞからの声が彼の名を呟く。届いていく、広がっていく。少しずつ、少しずつ。だけど、確かに。



ーーエド。



また一人、呼んだ。明らかに違う、そんな感覚だったのか。振り向いたエドが目を見張った。彼女を呼んだ。



「サシャ!」



パジャマ姿のまま、ヤナギとナツメに両側から支えられてやってくる。わずかばかり頬がこけてしまった、それでもまだ美しさを保っている、彼女が口を開いた。



「ごめんなさい…レイ…」



私も……よ。




遠く彼方へ呼びかけるみたいに。哀しい笑みで。



✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎



何故。



何故こんなことになった?




何故だ…!




ジュリ!!




「ジュリーーーッッ!!」




息を切らして駆け抜ける。ついさっき戻ったばかりの小屋をものの数秒で後にした。



異変はすぐに感じ取れた。考えなくたってわかった。三度も施錠を確認したはずのドアが半開きだったからだ。



ーー彼女が居ないーー



入ってみるとまさにその通りだった。



今にも朽ち果てそうな木製のテーブルの下にも、無理矢理浴室に仕立てたトイレの隣も、便器の中……な、訳ねぇだろ!



ともかく何処にも居ない。ほんの数分前まで、あのくすぐったく安らかな寝息を立てていたはずのベッドには、憎らしい程に幻想的な月明かりが降りている、だけ。虚しい程、眩く、はっきりと、示していたのだ。居ないと。もうここには居ない、と。



だからこうして飛び出した。住み始めてわずか数日の地で手当たりなんて有りもしないのに、手当たり次第といった風に草木を掻き分けて探した。実際は、闇雲。



絶えず流れる汗はきっと、疲れのせいなんかじゃない。恐怖。それ以外に何があろうか。だって俺は怯えている。今、まさに、限界まで。




あの時のように。




ジュリ!



何処だ、ジュリ…!!




「ウォォォーーーン!!」



「ワォォォ………ン!!」




…何だ?上手く呼べている気がしない。



だけど今はこうするしかない。声でも息でも何でもいい、届きさえすればと願いを込めて



張り上げるくらいしかなくて。



✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎



もっと早く気付いていれば。


ちゃんと見ていれば……



すすり上げながら懺悔を続ける、サシャの声はもはや言葉にすらなっていない。つられてすする音がそこかしこから。確かに届いている。広がっている。確かに。



言葉にならなくたって。



✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎



ジュリッ!



答えてくれ…!!



気付いて…くれ…!!




「アオォ………ン!!」




言葉にならなくたって。



✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎



届けばいいのに…今、レイに…



✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎



届けばいいのに…今、お前に。



✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎



帰る場所ならあるって。



✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎



もう何処にもいかないって。



✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎









ーー懺悔は終わる。静かに。




力なく崩れるサシャをヤナギが支える。マギーとエドも傍へ寄る。


共に身を寄せ合う、孤高の…いや、孤独な彼の仲間たち。




未だ仁王立ちを続けている、彼方を見つめる眼差しの夏南汰が口を開いた。再び。



「ーーわかったかい?届いたかい?少しは。想いが強い程に割り切りは難しいのだ。簡単じゃないのだ。アイツが美味しいところだけ味わって、しれっと帰ってくるような軽い男ならこんなことは起こらなかった。真面目過ぎるんだ。不器用過ぎるんだ。そして子どもなんだ、ああ見えて」



泣きじゃくる音は、もう何処からのものかもわからない。もう十分過ぎるくらいに満ちた。



「長身、強面。仕事の出来る腕ききの男。君たちはそれだけを信じていくのかい?中身はそんなものなのだよ。ある者は見損なうかも知れないな。それでもいい。されど、ある者はこう思うかもしれない」



馬鹿だ。



子どもだ。



そして、愛らしい。




「あの強面がそんな風に見えたなら、実に面白いと思わないかね?このままでは…実に、もったいなくは、ないかね?」




………




………っ。





彼方への眼差しが戻ると、夏南汰もまた、戻った。



ニヒルから涼やかへ。いつものナツメが戻った、その頃。




「おい…あれから何日目だ?」


「5日…」



「やべぇだろ、何で誰も探しに行かない!?」



今度は焦燥が満ちていく。ナツメの表情には苦笑が満ちていく。



「まだそんな事を言っているのか、お前たちは」



呆れながら、それでも微笑む。後悔と自責に支配された彼らへ、静かに教えた。



「居場所がなければ例え連れ戻したって、あの二人の心は迷子のままではないか」




行こう…



行こう…!




一人、また一人、そしてついには続々ときびすを返す。走り去る若人わこうどたちの背中を見つめながら、ナツメはまた一つの言葉を投げた。彼方へ。




ーー居場所が出来たぞ、ここにも。




「なぁ。レイ、ジュリ」




迷子の二人へ。



✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎



ーー灯台下暗し。




確かそんな言葉をあっちの世界で聞いた。こういうことか…と納得する、レイの前には今、彼女が居る。



この荒野で最も月に近い、崖の上。それは小屋のすぐ上だった。



なびく黒髪も、透けた身体も、何故か今夜また身に纏っている純白も、あまりに美しくて見惚れてしまう。こんな状況にも関わらず。



「ジュリ…」



断崖絶壁に立つ危うげで儚い半透明のケット・シー。向かい合うレイはゆっくりと歩み寄った。牙を剥きそうな唇からまず訊いた。




「ーー俺が、怖いか?」




伝えていった。おのずと哀しい笑みが滲んだ。もうわかっているからこそ。



「お前が嫌だってんなら、もう近付かない。触れないから。研究所に帰りたいなら送り届けるから。そんで、俺だけ出て行くから」




寂しいけれど。



寂しすぎて、心細くて、張り裂けてしまいそうだけれど。




「俺はお前に生きていてほしいんだ!嫌われたっていい。顔も見たくないと思うならそれでもいい」



これが今、精一杯の想いだ。全部が全部、本心じゃない。だけど、決して揺るがないものもまた、ここにある。



ーー失いたくないーー




「もう失いたくないんだ!だから……っ!」




「……嫌」



「ジュリ!」



「嫌だよ、そんなの」




いつになく低い声色だった。ふっとこちらを見上げた二色にレイの息は一瞬で詰まった。



何故かこんなときに微笑んでいる。優しい顔をしている彼女に恐怖がつのる。やめろ…祈りを込めて弱々しくかぶりを振るレイに彼女は、言う。



「レイを嫌いになんてなりたくないよ。このままでいたいよ…だから、お願い…」



「やめろ…」



「レイを好きな私のままでいさせて。レイを想う私のままで…」




ーー死なせて。




「嫌だ…嫌だ、やめてくれ、ジュリ!」




もう我慢出来なかった。無我夢中で繰り出そうと身を乗り出した、それより先に目に映った。



笑顔。



そして…





「レイ、ありがとう。私を愛してくれて。私も、ずっと、ずっと…」





ーー愛していますーー





「ジュリーーーーッッ!!」




ふっ、と後ろへ傾ぐ半透明の身体へ手を伸ばした。そうはさせまい、何が何でも、お前だけは。



何とか掴んだ確かな感触に安堵した。それは抗えない重力に引き連れられてもなお、続いた。




一緒になって落ちていく。それでも逃しはしなかった、彼女を腕に抱くレイの想いは変わらなかった。重心は頭へ傾いた。もう絶対に助からないと誰にでもわかる、そんな体勢へ。




レイ……




凄まじい風圧の中で鳴く彼女の声を聞いた。




「ごめん……ね……っ!」




いくつもの雫が球体となって夜空へ舞い上がっていくのが見えた。レイは苦笑した。ぬくもりをしかと抱き締めて目を閉じた。



時間はもうわずか。口にしている余裕はない。それならばもうこの想いだけ、お前と共に抱き締めていようと思った。



胸元ですすり泣いている、彼女へ、内心だけで伝えていく。






ーー馬鹿。だから、謝るなって。



どっちにしろ同じなんだから。お前が居ない世で、俺は生きてはいけないんだ。



“依存”は俺の方だったんだ。



こんな俺を愛してくれた。居場所になろうとして世界まで飛び越えた、お前に礼を言うのはむしろ、俺の方だ。




なぁ、ジュリ。



すげぇ眺めだぞ。全てが逆さま、こんなの見たことがねぇ。



着地する頃には間違いなくひでぇことになってるだろうな、俺ら。それはもう、目も当てられないくらいに。



だけど



だけどよ……








泣いているのに笑ってる。滑稽なレイの中でそれは目覚めていった。




舞い上がる雫が数を増す。夜空に紛れて銀色の新たな星と化す頃、それは確かな光景となっていた。



何故、今の今まで忘れていたのだろう?死に際であることが悔やまれる、思い出したのはそれ程に、大切な、大切な、記憶だった。






ーーああ、そうか。



お前はそんな前から俺の傍に…?





仲間を失って孤独のまま死に絶えた狼。そして、寄り添い続けた、猫。



この種に仲間と家族を奪われたのに。何故か俺を選んだ、お前。




孤独な獣同士。ずっと一緒に居たかった。なのに、あろうことか導かれたのは別々のは世で。




ーーもう一度出逢いたいーー




切なる願いは奥深くへ刻まれてしまった。だから…だったんだな。




わかってしまえば何だか可笑しい。思い出話でもしたいころだけど、地上はもう間近。俺もお前も砕けてしまうなんて、残念だ。



だからやっぱり、最期くらい、言おう。




ーージュリ。




「愛してる」





次は同じ世界だな。必ず見つけ出すから。その次も、もっと先も。





ーーずっと一緒だーー



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