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担任たちの会話が一通り終わった後、俺はある施設に連行された。
ディアコニア――海の牢獄
海の前には大きな教会が建っている。
俺がこの建物を見るのは中学の社会見学以来だ。
隣に付き添うはずの親は居ない。
どうやら俺は親にも見捨てられたらしい。
代わりにあるのは担任の制止を聞かず着いてきた幼なじみの姿だった。
「ほら、入れ。最後に神に無事病気が完治することを祈るんだな」
「ぐっ……!!」
開いた扉の中に一人押し込められる。
ずん、と大きな音を響かせ
この部屋の唯一の出入り口が閉じられた。
『ディアコニアの教会』と通称されたこの建物は、本当に教会らしい。
こんな時であるのに俺はその内装に魅入られていた。
そして気づく。
徐々に開かれていくカーテンの下、
隠されていた存在に。
「窓……?」
この部屋は全面ガラス張りといっても過言でないほど、窓に囲まれていた。
そこに見えるのはまた、部屋。
この部屋を囲むように作られた大きな部屋だった。
その中には数十人の人間が居た。
老若男女様々のこちらを見つめる目 目 目
気が狂いそうだった。
その中に智花の姿を見つける。
彼はこちらを見ていなかった。
何かを、そこにいる人達に熱心に語りかけているように見えた。
段々と、俺から智花へと視線の先が変わっていくのを感じる。
それは本当にそうだったのか、単に俺が他の視線を気にならなくなったのか――
俺の意識はそこで途絶えた