7 ※後書きあり第15回心理学用語解説コーナー『レスポンデント行動』
~お礼~
後書きに解説コーナーがあるので先にお礼を!
なんとポイント評価して下さった方が200人を突破してました! ……なん……だと……!?
もう、ビックリしすぎてタンスの角に小指ぶつけましたよ……マジ痛い!
ありがとうございます! スローペースなのにこれだけ評価していただけて泣きそうです!
これからも地味に頑張っていきますので、応援よろしくお願いします!
先に謝っておきます。さしすせそ、やりたかっただけの回です。すみませんでした(土下座
「ついたぁー!」
「人いっぱーい!」
「これいいー!」
「あれカワイイー!」
「これ色違いがあるー! ……そーにぃとペア……」
「…… 」
「これどうかなー? 鈴奈に似合うかなー?」
「このクマさんすっごいおっきぃー! う~ん欲しい…………ほへっ!? お、お高ーい!?」
「…… 」
「そーにぃ! お腹減ったー!」
蔀モールに着いてハイテンションな鈴奈に引っ張られてウィンドウショッピングをしていたら、あっという間に時刻はお昼になっていた。……一体何時間回ってたんだ?
「メロンパンアイスにするか?」
「鈴奈は普通のごはんを所望する!」
選手宣誓のように片手をビシッと伸ばした鈴奈がやたらと真面目な顔をして言った。うむ。身内という贔屓目をなくしてもやはり鈴奈は可愛いかった。何事にも明るく、前向きに取り組むし、何しろ一緒にいても飽きない。唯一の欠点である、あほの子も捉えようによっては可愛く思えるし……無敵かよ!?
そんな鈴奈は俺を引っ張ってレストラン街の案内図の前にやってきた。
「そういえば鈴奈は料理上手だよな」
「な、ななななに急に!?」
「いやぁ~この間泊まった時の朝飯も美味かったし、弁当も最高だったからな。さすがコックさんの娘なだけあるなぁ」
「……えへへ♪ ほめてほめてー!」
どこか気恥ずかしそうに歯を見せて笑う鈴奈の頭を撫でた。
そして少し経ってからハッとなった鈴奈が「今日ちゃんと髪セットしてきてるから、やっぱりなしーっ!」と、逃げるように俺の後ろに回って行った。……ちくしょう、わしゃわしゃして慌てる鈴奈もみてみたかった。
「やっぱり料理の基本とかは教わったのか?」
「うんっ! お父さんとお母さんのふたりから教わって、えーさい? 教育受けたからね!」
取り敢えず英才の意味が分かっていないことはニュアンスだけで分かった。
「そうかそうか……なら、料理の基本の“さしすせそ”は分かるか?」
勉強もそうだが鈴奈は基本が出来ていないイメージがあるので、振り返って試しに聞いてみた。
まぁ、皆知ってはいると思うが、
さ……砂糖
し……塩
す……酢
せ……醤油
そ……味噌
この順番で調味料を加えていくと料理が美味しくなると言われており、それを覚えるための語呂合わせである。
ポイントは醤油と味噌。
なんで醤油が“せ”なんだよ!? と思うかもしれないが、これは“せうゆ”と書いて“しょうゆ”と読むかららしい。まぁ、昔の名残だと思ってくれればいいとして。
問題は味噌だ。
味噌だけ何とかして“そ”があるから無理やりねじ込んだ感がある。本当なら“さしすせみ”だろと言いたい!
「そ、そんなの知ってるし! そんな基本、今ここで言うまでもなくないかなー?」
……おい、めちゃくちゃ焦っとるやんけ! 誤魔化すのヘタクソか!?
「知ってるんなら言ってみ?」
「ぐぬぬぅぅぅぅ!」
「ほら、早く!」
「そーにぃ……さ~はお砂糖のさ~♪」
ぐぬぬぅ、とか言ってたくせに、いきなりドレミの歌のように歌い始めた鈴奈。案外ノリノリだった。
「し~はお塩のし~♪」
「す~は酸っぱいよぉ~♪」
あれ? いや、酢だから酸っぱいで合ってるんだが……なんか雲行きが怪しくなってきたぞ?
次は問題の“せ”だ。
「…………せ……せ、せ~は先代から〇●◎△◇◆□■×$♪¥☆★&%#!? のせ~♪」
おいちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?
今すっごい早口でなんかやたら長いこと言ったぞ!? 先代から……なんだって?
てっきり短い言葉だと思っていたので聞き取れなかった。律儀に今までのテンポで歌い終わるためにやたらと早口だったからだ。
あまりにあっけにとられ過ぎてツッコめないでいたら、鈴奈が何食わぬ顔をして“そ”を歌い始めた。
「……そ、そ~はソース・オ・ポワブル・ベールのそ~♪」
……いや、何それ!? なんだよそれ!?
急にコックさんの娘らしい本格的なやつ出してきやがった!?
すべてを言い切ってどや顔を浮かべる鈴奈。
その表情がやけに可愛く見えてしまうのは身内の贔屓目か、それともあほの子からくる微笑ましさか。
「らっくしょーだったね! どう? 鈴奈カンペキだったでしょ?」
腰に手を当て胸を張る鈴奈。何故あんな回答でそこまで堂々としていられるのか?
まぁ、確かに“さしすせそ”としては完璧だったかもしれないが……これは正しておく必要があるな。
「待て待て。もう一回始めから。さ……はなんだ?」
「お砂糖!」
合ってる。
「次は?」
「お塩」
正解だ。
「んじゃ、次」
「酸っぱいよぉ~♪ ……だから……お酢?」
首を傾げてるし、限りなく黒に近いが……合っているからいいだろう。問題は次だからな。
「“せ”はゆっくり言ってくれ」
「……せ…………鈴奈なんて言ってたっけー!?」
思わず吉本新喜〇ばりにズッコケた。自分でも惚れ惚れするくらい綺麗にズッコケた。
……鈴奈があほの子過ぎて辛い。
「先代から~とか言ってただろ?」
「……おぉーっ! そーにぃよく覚えてるね! 確か……先代から受け継いだ門外不出の秘伝のタレ、って鈴奈言った気がする」
長いわッ!! そもそも26文字もあるうえに、もはや調味料でもねぇ!?
料理の基本とは一体何だったのか?
大体どこの家庭に「先代から受け継いだ門外不出の秘伝のタレ」があるんだよ!? ある訳ねぇだろ!!
ツッコミを入れる気力も失せて真面目に解説した。
「鈴奈さんや……“せ”は醤油のことだ」
「えーっ!? 醤油なら“し”じゃん? ……そーにぃ、あいうえお全部言えないの?」
本気で心配するような顔をして「鈴奈が教えてあげよっか?」とか言ってくる鈴奈。
……いとことしてこの子の将来が不安なので、どなたかお嫁に貰ってくれませんか?
「いいか? 醤油はせうゆって昔は言ってたんだ。その名残で“せ”なんだ。分かったか?」
「ほへ~! 知らなか…………知ってたけどそーにぃを試しただけだよ?」
もうツッコまないぞ!? 絶対に何が起きてももうツッコまないからな!?
「……なら“そ”はなんて言った?」
するとさすがに今までの流れから間違っていると悟ったのか、顔を明後日の方向に向けてぼそりと呟いた。
「…… 」
「なんじゃそれ!? 逆に聞きてぇ!?」
速攻でフラグを叩き折る俺。
「へぇ~! そーにぃ知らないの!?」
「大抵のやつは知らないと思うぞ?」
「ソース・オ・ポワブル・ベールはよくお肉料理に使うソースのことだよー! ミルポワっていう香味野菜たちをバターで炒めて、白ワインとビネガーで煮詰めてグラッセして、ブイヨンとか入れてコトコト煮てこしたら、青胡椒入れて、ハイ完成! ……そーにぃ! 鈴奈お腹減ったよー!」
さすがとでも言えばいいのか、スラスラと解説してくれた鈴奈。
――そしてそのまま俺の手を掴んでとんかつ屋さんに引っ張っていくのだった……おい、昼間からとんかつは重いだろうが!? ……鈴奈待て! おい、止まってくれぇぇぇぇ!?
第14回心理学用語解説コーナー『レスポンデント行動』
『レスポンデント行動』について
レスポンデント行動(反応)とは簡単に言ってしまえば反射的行動のことです。
具体的に言いますと、
熱い物に触れて、瞬間的に手を引っ込める。
名前を呼ばれて、何~? と振り向く。
カメラのフラッシュに目を瞑る。
など、これらすべてはレスポンデント行動(反応)となります。
〇〇をした結果、〇〇の反応をしてしまうことです。
作中の3章の4で城戸くんが水瀬さんにツッコミを入れてしまったのはこれによるものです。正確には城戸くんのツッコミ気質によるものですが……(笑
作中では出ていませんが『オペラント行動』というものもあります。
これは自発的な行動(反応)のことです。
上の具体例に沿っていきますと、
熱い物に触れるので、軍手をして触れた。
名前を呼ばれる理由が分かっていたので、先に尋ねた。
フラッシュが眩しいので、直接光源を見ないようにした。
これらがオペラント行動(反応)となります。
〇〇をしたら〇〇になる。と言うことを理解して行動することです。




