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17-2 ※後書きあり第11回心理学用語解説コーナー『文脈効果』『プレミアム性の演出(スノッブ効果)』

 予告通り更新です。


 後書きに解説コーナーあります。

「エリー! お待たせ~!」

「……ん?」


 花ヶ崎に押される形で辿り着いたのは、別世界のような静寂に支配された水瀬の(もと)だった。

 壁際に整然と並べられたソファーに腰掛けてスマホをイジっていた支配者の水瀬は、顔を上げると長い黒髪を揺らして小首を傾げた。


 首傾げたいのはこっちだわ! なんで俺ここに連れてこられたんだ?


「……高貴で高嶺すぎる花は壁際に気高く咲く」


 胸中でツッコミを入れていたら突然花ヶ崎がぼそりと呟いた。

 その言葉が意味するところはなんとなくだが理解できた。


 高嶺の花に壁の花か……。まぁ、正確には水瀬の場合、高嶺の花具合が祟って壁の花になってるって感じだな。

 水瀬は容姿端麗で頭脳明晰……要するに才色兼備というやつである。それに加えて“一見すると”冷静沈着であることから、クールで完全無欠の完璧超人だと思われている。

 人は余りにも優れている相手を前にすると物怖じしてしまう心理がある。

 例えば水瀬のような完璧超人の場合、「話し掛けたら迷惑になりそう」だとか「話が合わなさそう」「相手にしてもらえなさそう」「そもそも何を話せばいいのか」と色々と考えてしまい、結果的に俺には、私には釣り合わない相手だ、と勝手に感じてしまい自分から離れてしまうのだ。 

 故に誰も近づけない、気軽に話し掛けられない、ということが起こるのだ。


 それなら何故同じ容姿端麗の花ヶ崎はそうでないかと言うと、それは本人がそうなるように印象操作をしているからである。

 花ヶ崎の場合は理解して行っているとは思えないが、離れていってしまう相手に自ら歩み寄っているのだ。簡単に言えば友好的で親しみやすい(フレンドリー)

 対する水瀬は基本学園内では猫を被っている。常に引き締まった凛とした表情と言葉遣い、それに必要最低限の会話。

 ただでさえ誰も近づけないような雰囲気があるというのに、更に冷たく……クールに思われるような態度をとって“壁”を作っているところをみると、意図的に人を避けているのは確実なことなのだ。


「……紗英、何が言いたいのかしら?」


 水瀬は少し不機嫌そうに眉を顰めると鋭さが3割増しになった目を花ヶ崎へと向けた。

 きっと花ヶ崎の言葉に込められた真意を理解したのだろう。


「え? 別に~? それよりもはい! 城戸くん連れてきたよ!」

「はぇ?」


 鋭い視線を何処吹く風と受け流した花ヶ崎は空気をリセットするように話題転換を図った。

 俺はそれについて行けず、もう完全に癖になってしまった「はぇ」で対応するハメに。……もうヤダこの癖。


「……ん? どちら様でしょうか? 私の知り合いにこんな痛々しく空回りしているたすきと鼻眼鏡を掛けた方なんていらっしゃらな…………あら、誰かと思えば、たす城戸くんじゃない」

「ふざ…………城戸です」


 ふざけんな! 俺も痛々しいってことぐらい十分に理解してるから、傷口を抉った挙句塩を丁寧かつ大胆に塗り込むのは止めてくれ! そんでもって「たす城戸くん」とか命名すんな! 誰かに聞かれたら更にネタにされちまうだろ!


 1ミリも口角を上げることなく言い切った水瀬だが、頻繁に手を組み替えたり、毛先を指でいじったりと落ち着きがなかった。

 何をそんなに気にしているのかと考えていたら、いつの間にかグラスを手にした花ヶ崎が口を開いた。


「ふ~ん。取り敢えずウチまだ乾杯してないから、しよっ? ほらエリー立って! たす城戸くんもグラス!」


 そういえばそうだったな。それと自然にたす城戸って呼ぶな! 一瞬気付かなかっただろうが!


「……ん」


 グラスを持って立ち上がった水瀬と準備を終えた俺を確認すると、


「はい! それじゃ~Cheers(チアーズ)!」


 グラスを高々と掲げ天衣無縫な笑みを浮かべた花ヶ崎。


「……ん。Skal(スコール)


 グラスを目の高さまで持ち上げて軽く傾けると僅かに口元に笑みを湛えた水瀬。


「……言語縛りって流行ってるんですか? ……乾杯です」


 謎の言語縛りに戸惑った挙句普通にひとり乾杯をする俺。 


 だからなんなんだよこの各国の乾杯縛りは!


「もうっ! 城戸くん空気読んでって前に言ったじゃん! はいテイク2いくよー! エリー?」

「……ん」


 俺の対応に納得がいかないらしく花ヶ崎監督からのダメ出しにより、リテイクとなった。

 水瀬だけに目配せをするとすぐにグラスを持ち上げたふたり。


 ちょっ、俺無視? しかもまたこの流れかよ!? 乾杯って後何があったっけ? 確か中二病時代にカッコイイと思ってやたらとドイツ語調べた時に見た気がするな……。確か――。


「かんぱーい!」

「乾杯」

「プロージッ……ってなんなんですかもう……乾杯です」

「にっしっし~!」

「…………んっ」


 花ヶ崎はイタズラが決まったことが相当に嬉しいのか、人の悪そうな笑みを。

 水瀬は堪え切れずに噴き出したのを誤魔化すように顔を伏せて小刻みに震えている。

 そんなふたりを見て悔しいやら恥ずかしいやらの複雑な思いになったので、グラスを傾け一気に飲み干した。


 ……あれ? これ、相当薄いけど、もしかして……。


「エリー? どうしてすぐに座っちゃったのかな~?」

「どうしてと言われても疲れているからできれば座っていたいのだけれど……」

「ふぅ~ん。なら10分……うん~っと、1分だけでいいいから立っててくれない? それとも1分も立っていられないくらい疲れてる?」

「……わかったわ。立てばいいのでしょう?」


 乾杯するなりすぐに壁の花の指定席へと腰を下ろしてしまった水瀬を立たせた花ヶ崎。「むっふっふ~」と上機嫌に呟くと水瀬の隣へと移動した。

 そして両手でスカートの裾をつまみ、優雅にカーテシーをしながら一言。


「城戸くん! エリーとウチの双子コーデどうかな? 可愛い? 似合ってる?」


 一緒に服選びをしたというのに、言われるまで全く気が付かなかった。

 ――ふたりが色違いの服を着ていることに。


 こんな服見た覚えがない。まぁ、膨大な量の服を見させられたのが原因だろう。


「なっ、なにを言っているの紗英!? ……可愛い……ん。……だなんて当然に決まっているじゃない」


 ビクリと身体を揺らし、一瞬だけ動揺を見せた水瀬はすぐさま表情を引き締め平常運転に切り替わった。

 そんなふたりの服装をまじまじと見てどう答えるべきなのかと悩む。


 水瀬はスカイブルーの長袖デニムシャツを軽く捲り、膝丈までのオフホワイトのタックフレアスカート姿だった。

 その横でさすがはモデルといった見事なポージングを決めて、水瀬に寄り掛かるようにして立つ花ヶ崎。

水瀬の対になるようなオフホワイトの長袖デニムシャツに膝丈までのスカイブルーのタックフレアスカート。

 唯一色まで同じなのはブラウンのベルトとグラディエーターサンダルだった。


 正直このふたりは何を着ようが似合う気がするんだが。


「エリーは素材が抜群にいいからシンプルイズベストスタイルが一番似合うんだ~。普段と違ったガーリーなエリーはどう? グッとくる?」

「ふたりとも凄くお似合いですよ。そうですね。普段のイメージとは違った水瀬さんもいいと思います」

「……っ!?」

「城戸くんはそういうことサラっと言えちゃうタイプなんだ。……もしかして女の子慣れしてるのかな~? う~ん?」

「いえ、別にそう言う訳ではないですよ?」


 感想を求めてきたのお前だろ!? なんで逆に俺が責められ気味なんだよ!?


「ふ~ん。そっか~。……エリー! 城戸くんに褒められたよ! やっ……」

「……んっ。どうしてそこで私に話しを振るのかしら? 紗英は少し黙ってなさい」


 花ヶ崎が水瀬へと抱き付こうとしたら口と身体を押えられ「もごもごっ!」と何かを言っていた。よく見ると水瀬の頬が赤みがかっているように見える。


 こいつらマジ仲良しかよ!


 じゃれ合うふたりを眺めるのも失礼かと考え、丁度視線を外したところタロと目が合い声を掛けられた。


「城戸っち~!」

「はい?」


 問い返すと「ヘイカモン!」と手招きされたので、なんだ? と近づいてみると、


「カラオケに来たのに誰も歌わないから、城戸っちトップバッターお願い!」


 手を合わせ、すまなさそうな表情をしたタロにそう言われた。


 トップバッターねぇ~。


 このような場では誰かが先陣を切らないと何も始まらないのである。

 これは日本人特有の譲り合いの精神が悪い意味で強すぎるためであり、逆に誰かが先陣を切れば『同調行動』によって後に続く者が現れる。

 カラオケなどで一番手というのは盛り上がりを左右するためプレッシャーが掛かり、誰もがやりたがらないものであるが、実はメリットの方が大きいのだ。


 1点目は誰も歌っていない状況では比べる対象が他にいないのでハードルが低い事。要するに上手い人の後に歌って恥を掻くという心配がないこと。


 2点目はたとえ上手く歌えなかったとしても「トップバッターだったから声でないかも~」などの『セルフ・ハンディキャッピング』が使えること。要するに言い訳が使える。


 3点目は率先して行うことで「度胸がある」や「ノリが良い」などのプラスイメージを得られること。要するに印象操作が行えるということ。


 そして一番重要な4点目は前者がいないため流れを気にすることなく選曲ができ、歌唱力に関係なく曲次第ではその場の流れを操作できることだ。要するに音痴でも曲でカバーできるという点。例外として音痴なことをあえて前面に出してウケを狙うという方法もあったりする。


 俺のために開いてくれた歓迎会であり、これはプラスイメージを獲得するチャンスでもある。

 なので俺は了承を口にした。


「いいですよ」

「だよね~やっぱりトップバッターはやりたく……えっ!? いいの!?」


 驚いたように聞き返してくるタロ。

 きっとダメもとで頼んできたのだろう。


「はい。歌えばいいんですよね?」

「うんうん! 城戸っちノリいいな~! さすがナイ……じゃあよろりんこ~」


 タロが何か言い掛けていた気がするが、電目(でんもく)を取り出して選曲作業に移る。

 優先するのは盛り上がり。何故それを優先するかと言うと周りの皆がついつい乗ってくるような曲を選べば、必然的に合唱となり音痴だとしてもある程度カバーされるのだ。だがそうなると重要なのは皆が知っている曲でないとまずい。

 そこから絞れるのは新曲過ぎても逆に古過ぎてもダメであり、洋楽は基本的にNG。


 では具体的にどんな曲を選ぶのかと言うと……今のこの時期に関係があり、1~5年程前の曲で当時のランキング上位であること。

 その時期の定番曲と言うのは誰しもが一度は耳にしている可能性が高く、1~5年程前であれば懐かしさもプラスされついつい口ずさみたくなるものだ。


 そして俺はこの条件にあった曲を見付け出し、タロへ「OKです」と合図を送った。


「城戸っち頼んだ! 俺も後に続くから!」


 タロの頼もしい返事を聞きながら、懐かしいイントロに耳を傾ける。

 巨大なスクリーンにはイメージ映像ではなく、プロモーション()ビデオ()が流れ始めた。

 懐かしいな。このドラマ仕立てのPVは当時よく出来てるって話題になったな……。


 皆もイントロに気が付き、俺に視線を向けた。

 淡い驚きを表すように目を丸くしている水瀬。

 きょとんとした表情でこちらを眺める花ヶ崎。

 場を盛り上げるためにマラカスを鳴らすタロ。

 同じく機敏な動きでタンバリンを鳴らす佐藤。

 未だに怪しげな目付きを放っている木崎さん。


 そんな異様なプレッシャーの中、俺は口を開き喉を震わせた。

 今の入学式シーズンのそれも、桜トンネルが有名なうちの学園にピッタリなJ-POPを。


「――さくら――」

 1周年記念と言う訳ではないのですが、久しぶりにSS形式での解説です。


第11回心理学用語解説コーナー『文脈効果』『プレミアム性の演出(スノッブ効果)』



ガラッ

颯太「やっと復活したか! しかも宿敵エリビアさんもまだ来てないみたいだしこれはついに俺の天……」チラッ


颯太「うん? なんだこのテーブルに置いてある手紙は? え~っと“ガヤ要員城戸くんへ”……だと?」ペラッ


颯太「“私用で参加できないので代わりに可愛い後輩をゲストとして呼んでおいたわ。後はよろしくね”」ペラッ


颯太「“美の化身エリビアより”……書いてることはまともなのに、宛名と差出人が色々とおかしいやろ!?」ビシッ

ガラッ

鈴奈「そーにぃ! おまたせー!」ビシッ(敬礼)


颯太「え? はい? 鈴奈? どうしたんだ?」


鈴奈「あれれー? 水瀬先輩から聞いてない? 今日は鈴奈がゲストなんだってさー! えへへ……」ハニカミ


颯太「後輩って鈴奈のことだったのか。時間無いし早速始めるとす……」


鈴奈「――えーっと、ただ今より第11回心理学用語解説コーナーを始めたいと思います」ペコリ(お辞儀)


颯太「ちょい待てぇぇい! なんでタイトルコール言っちゃうの!? それ俺の仕事!」


鈴奈「えー? だって水瀬先輩からの指示書にそう書いてあるよ?」キョトン


颯太「……それは無視していいぞ。じゃあ気を取り直して、ただい……」


鈴奈「――ただ今より第11回心理学用語解説コーナーを始めたいと思います」ペコリ(お辞儀)


颯太「鈴奈さんや? なんで今天丼したん……?」ピクピク


鈴奈「だって、鈴奈それくらいしかできないんだもん……。鈴奈なりに頑張ったつもりなんだけど、ダメだったかな?」(上目遣い)


颯太「……そうか。俺が悪かった! 鈴奈はいい子だな~」ポンポン


鈴奈「そーにぃ! 今頭撫でるのは止めてよー! 恥ずかしいじゃん……もうっ! ……早く始めよ?」


颯太「そうだな。……今回解説するのは『文脈効果』と『プレミアム性の演出(スノッブ効果)』についてだ」


鈴奈「ぶんみゃく? ぷれみあむ? なにそれ?」ポケー


颯太「これだよこれ! この反応を俺は待ってたんだよ! 意味知ってるふたりを起用するなんてあきらかな人選ミ……」ブツブツ


鈴奈「そーにぃ? 何ブツブツ言ってるのー?」


颯太「あぁ、なんでもない。それじゃあ、まず始めに『文脈効果』の解説からするな?」


鈴奈「はーい!」


颯太「本編であったが、鈴奈は映画館といったらどんな食べ物を思い浮かべる?」


鈴奈「う~ん? 映画館だったらやっぱりポップコーンとかかなー? 鈴奈キャラメル味が一番好きー!」キリッ


颯太「だよな? じゃあ銭湯に行ったらどんな飲み物を思い浮かべる?」


鈴奈「お風呂屋さんなら鈴奈はフルーツ牛乳かなー? お母さんはコーヒー牛乳派でお父さんは牛乳派だった気がするよー?」


颯太「じゃあ最後に、某夢の国に行ったとしてお土産は絶対に買うか?」


鈴奈「買うよー! 当たり前じゃん! だって“そこでしか手に入らない限定品”とかあるしー可愛いしー」


颯太「ナイス鈴奈! その答えを待ってた!」ビシッ


鈴奈「えー? どったのそーにぃ?」キョトン


颯太「先に『文脈効果』からいくぞ? 今鈴奈に答えてもらったように“どこかにいったらこれをしたくなる”っていうのは『文脈効果』のせいなんだ」キリッ


鈴奈「どゆことー?」ポカーン


颯太「鈴奈、普通に考えてみろ? 映画館で売ってるポップコーンってかなり割高じゃないか?」


鈴奈「……言われてみると確かにそうかも?」


颯太「けど買っちまうよな?」


鈴奈「うん。なんかついつい買っちゃうかなー」


颯太「なら映画館と同じ量、質、値段のポップコーンが近所のスーパーで売ってたら買うか?」


鈴奈「えーそれは買いたくないかなー」


颯太「そうそれ! それがこの『文脈効果』の凄いところなんだよ!」ドヤ


鈴奈「映画館では買うけどスーパーで買わないのがスゴイことなの?」


颯太「いやだから、明らかに割高な物を雰囲気とか付加価値で思わず買わせちゃうことが凄いんだよ!」


鈴奈「ほへー!」ピコーン


颯太「分かったか? しかもついつい買っちゃう理由ってのがまた面白くて、絶対に人が関わってるんだよ。例えば映画館の売店に並んでる人が皆ポップコーンを買ってたらいつの間にか買ってたりしないか?」


鈴奈「あー! 確かにそれはあるかも! 皆買ってるから美味しいのかな? って思ってついつい買っちゃうかなー」コクコク


颯太「頭では割高だと理解してても、普段あんまり来ない映画館だし、皆買ってるしどうせだから買っちゃお! ってなるのがまさしく『文脈効果』なんだ。……まぁ、人と同じ行動をしてしまうのはまた別の要因もあるんだけどな」


鈴奈「ほへー。『文脈効果』ってうまく使えればガッポガッポ儲けられるってことだねー? 鈴奈いいこと考えたよ! そーにぃだけには秘密だけど……えへへ……」ニッコリ(悪魔の笑み)


颯太「……オッホン。それじゃあ次の『プレミアム性の演出(スノッブ効果)』について解説するな」


鈴奈「はーい!」


颯太「これはそのままの意味で、さっき鈴奈に某夢の国に行ったらお土産は買うって言ったよな?」


鈴奈「うん!」コクリ


颯太「その時理由に“そこでしか手に入らない限定品”があるって言ったな? それはもう『プレミアム性の演出(スノッブ効果)』の術中にハマっているってことなんだよ!」キリッ


鈴奈「そんなー!? 鈴奈はいつの間にか術に掛かってたの!?」ハッ!!


颯太「そうだ。例をあげるなら色んなお店で見かける“期間限定”とか“本日限り”の商品とか“上質・高級(プレミアム)”とか“特別(スペシャル)”なんちゃらと銘打ったものだな。要するに希少価値を宣伝することによって、人が持っていないものを持つなどの優越感を刺激して購買意欲を高める効果だ」


鈴奈「うぅーっ! 鈴奈それにスゴく弱いんだよー。コペンダッツの期間限定アイスとか出てたら絶対買っちゃうし、鈴奈が好きなのも“贅沢(リッチ)”ミルクだもん!」


颯太「俺も分かっててもつい買っちまうんだよな~。今しか買えない! って思うとなんか、買っとかないと損だな、って考えちゃうんだよな」


鈴奈「ホント分かる! 分かってても商品とか見たら買っちゃうよねー! 我慢なんてムリ!」バッテン


颯太「日本人は特に“限定”って言葉に弱いらしいから仕方のないことなのかもしれないな」


鈴奈「うんうん!」コクコク


颯太「……よし。尺も良い感じだし今日のおさらいといきますか。……まずは『文脈効果』から。はい、鈴奈さんお答えください!」ビシッ


鈴奈「えーっと……『文脈効果』は、周囲の雰囲気や環境、人などの要因によって商品の価値感が変化することだねっ!」キリッ


颯太「鈴奈さんやお次は『プレミアム性の演出(スノッブ効果)』についてよろしく」


鈴奈「これは簡単だね! 『プレミアム性の演出(スノッブ効果)』は限定とか高級感、特別感を出して希少性をアピールすることで、購買意欲を高めるってことだねー!」ドヤ


颯太「完璧だな。よく出来ました」ポンポン


鈴奈「……えへへ♪ って撫でないでって言ったじゃん! 今は恥ずかしいから……後で撫でてほしいなー……なんて」チラッ


颯太「なにこっちチラ見してんだ? 締めるのも鈴奈の仕事なんだろ?」ポカーン


鈴奈「はぁー。……それではまた次回の、このコーナーでお会いしましょう。以上、籠橋鈴奈と」


颯太「城戸颯太が」


ふたり「「お伝えしました」」ペコリ(お辞儀)



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



颯太「ふぅー、終わったー」


鈴奈「ねぇ、そーにぃ。鈴奈気付いたんだけど限定+高級感+特別な環境にしたら=すっごーくガッポガッポだよね?」


颯太「あぁ、確かにそうだな。ほら、早く帰る準備しろよ?」ポンポン


鈴奈「……そしたら、コペンダッツいっぱい買えるよ!? 何個買えるのかなー? 1ヶ月分かなー? 1年分かなー? えへへ……」


颯太「はいはい……早く来ないとコペンダッツのリッチミルク帰りに買ってやらないぞー?」ガラッ


鈴奈「やったー! じゃぁ今日はそのまま鈴奈んち泊まってくー?」ピシャッ


颯太「あ…………ぞ」スタスタスタ


鈴奈「わーい!」大声

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