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元中二病患者の俺がちょっとした心理学を駆使した結果、何故か学園一の美女と協定を結ぶハメになったんだが……  作者: 識原 佳乃
第3章『あうとおぶこんとろーる!』

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5 ※後書きあり第6回心理学用語解説コーナー『非言語的要素』『言語的要素』

心理学用語解説コーナーあります。

それとハントンライス食べてみたいです……。


タイトル修正2015年6月9日

 無事バイトが終わり和馬さんお手製の賄いハントンライスを持ってリビングに向かったところ、買い物から帰宅していた鈴奈がルームウェアの撫子色を基調としたボーダーのパーカーとショートパンツに身を包み、満面のほくほく顔でソファーに寝そべっていたので思わず笑ってしまった。

 あの表情から察するに満足のいく買い物が出来たのだろうとひとりで勝手に自己完結しテーブルにハントンライスを置いたところ、その音で鈴奈が俺に気付いたらしく何故だかジト目で見つめられた。

 なんだ? 俺の顔になんか付いてるのか?


「んー? どったのそーにぃ? なんかニヤニヤしてて変態みたい」


 ひでぇ! 確かに笑ってたけどニヤニヤはしてないぞ!? ……それとも俺の笑顔ってそんなに変態チックなのか? んで、鈴奈も人のこと言えないと思うぞ?

 沸き上がる複雑な感情を抑え込み、腹ごしらえを優先しイスに腰を下ろして「いただきます」と手を合わせたところで鈴奈に話し掛けた。


「それで買い物はどうだった? 収穫はあったのか?」


 抑えきれない食欲から鈴奈の返答を聞く前にハントンライスに手を付けた。……だって見るからに美味そうだし冷めたら勿体無いだろ? と自分に言い聞かせるようにして咀嚼する。

 飲み込むのが惜しいと思わせるようなその深い味わいに舌鼓を打ち、感じたことはやはりシンプルイズベストな一言だった。


 ……う、う、うまぁぁぁぁぁい!


 頬が落ちるとはよく言うが、この美味さたるや落ちる頬がいくつあっても足りない程のものだった。

 噛む必要のないとろけるような食感の卵が包むケチャップ味のバターライス。そんなオムライスの上には香り立つ魅惑の湯気を放ち、純白のタルタルソースと緋色のケチャップソースを纏ったエビフライと白身魚フライが神々しく鎮座していた。

 先ず何と言っても視覚的に美味い。次に食欲を刺激して止まないよだれの出そうなこの匂いも、勿論嗅覚的に美味い。そして食べてみてフライの“サクッ”という音は当然聴覚的に美味いし、その味たるや筆舌を尽くしても到底表現が出来ない程の至高の味わいで、味覚的に美味いのは論を俟たないものだった。


「…………ていくからそーにぃも鈴奈の可愛さにメロメロメロンパンアイス!」


 ハントンライスを食すことについ夢中になったいたため、俺から話しを振ったのにほとんど内容を聞いていなかった。

 取り敢えずメロンパンアイスにツッコミを入れておけばいいのだろうか?


「メロンパ――」

「あっ! そう言えばメロンパンアイスのお店が(しとみ)モールにできたんだって!」


 すると俺のツッコミを遮るようにして寝そべっていた鈴奈が飛び起きた。

 セーフ。一先ず「鈴奈の話し聞いてなかったでしょー?」と怒られずに済んだようだ。


 鈴奈が口にした「蔀モール」というのは俺の住む町から比較的近い郊外にある超大型のスーパー・リージョナル型ショッピングセンターで、正式名は“蔀グレーサレスシュタット”。テナント数は700を超え、激安ディスカウントストアから高級ブランド専門店、学習塾から娯楽施設、フィットネスクラブからスイーツ専門店と、あまりの多さにまともに回ったら1日が潰れてしまうと言われている程である。


 そしてそんな蔀モールにどうやらメロンパンアイスなるものを売る店がオープンしたらしい。なにそれすげぇ気になるんだけど……メロンパンとアイスどっちも俺の大好物だし。


「へぇ~」


 内心とは裏腹に口では気の無い返事をして「俺はそんなの全然興味ないけどな」という雰囲気を全開で醸し出した。

 理由は直截簡明(ちょくせつかんめい)で恥ずかしいからだ。


「あれ? そーにぃメロンパンもアイスも好きだよね?」

「あぁ……だが俺が好きなのはあくまでメロンパンとアイスだ。決してメロンパンアイスなどではない。そもそもメロンパンアイスなんて生半可な物は俺は認めな――」

「それで、そーにぃは食べたいの? 食べたくないの? どっちなのかな?」


 鈴奈は俺の反応を即座に演技だと見抜いたらしく、可愛く首を右に左に捻ると「そーにぃの答えなんて鈴奈はお見通しなんだよ?」と言いたげな得意顔でえくぼを出して微笑んだ。

 悔しい……年下に手玉に取られるなんて。まぁ、あの潤さんの娘なので当たり前なのかもしれないが……。


「食べたいです」

「うんうん! 素直でよろしい! 鈴奈もメロンパンアイス食べたいから土曜日は蔀モールにしよっか?」

「あぁ、そうするか」

「……あらぁ? ふたりしてお出掛けの約束なんかしちゃって……デートでしょ?」


 鈴奈と土曜日の予定を立てていたら不意にリビングの扉が開き、俺と同じハントンライスを手にした籠橋(かごはし)(じゅん)さんが歳不相応な茶目っ気のある笑みを湛えて現れた。

 うげ、潤さん……俺のことをおもちゃにするからいつまで経ってもこの人苦手なんだよな~。

 潤さんは俺の親父の妹さんなのだが“ほぼ”全てが正反対だった。


 例えば容姿だ。

 俺の親父は典型的な老け顔で実年齢より幾分……どころか大分老けて見える。良く言えば威厳や貫禄がある。悪く言えば若年寄りでジジくさいのだ。そして親父の顔立ちは限りなく強面と思えるようなきつく恐ろしいもので、現職の刑事とは真反対の敵対組織の長のような風体なのだ。

 それに対して潤さんは実年齢を一切感じさせない今流行りのエイジレスビューティーな美魔女、という言葉がしっくりくるような若さ溢れる容姿で、親父とはまるで真逆。顔立ちも童顔の極致に達しているレベルで未だに年齢確認をされたり、鈴奈とふたりで買い物に出掛けると十中八九姉妹か友達に間違われるそうだ。

 ……きっと他人に親父と潤さんを親子だと紹介しても違和感なく受け入れられるだろう。


「うん! そーにぃと初めてのデートなんだー!」

「いいわねぇ~。私にもその若さと初々しさを分けて欲しいわ~」


 俺の対面に座った潤さんは鈴奈の満面の笑みを微笑ましそうな表情で見つめると貪欲なことを口にした。

 今以上に若さと初々しさを求めるなんてこの人は何になりたいのだろうか? まさか美魔女ではなく、永遠の若さと美貌を求める正真正銘の魔女なのだろうか? と考えていたら……、


「颯太、今“これ以上若くなって何がしたいんだこの魔女は”とか思っていたでしょう? うふふ~」


 潤さんにズバリと言い当てられてしまった。どうやら俺の思考は完全に見透かされているらしい。

 うん。やっぱり魔女だこの人。

 潤さんは半端なく勘が鋭い上に頭が切れる(ストリート・スマート)のだ。この点が唯一の親父との共通点であり、俺が苦手な理由である。

 どう取り繕っても、どう誤魔化そうとしても必ずと言っていい程に見破られる。

 前に一度「どうしてそんなにも相手の考えていることが読めるのか?」と聞いたことがあるのだが「そうねぇ~女の勘ってところかしら? うふふ~」とはぐらかされてしまった。……なので俺は心眼と慧眼を持ち合わせている潤さんのことを『コールド・リーディング』の師匠だと勝手に思っている。


「はい。その通りです」


 お茶を濁したところでどうせバレるので最近は開き直って素直に答えるようにしている。


「あらぁ、素直でよろしい」


 怒ることなく破顔一笑した潤さんの言葉につい笑ってしまった。まさか潤さんにも「素直でよろしい」と言われるとは思っていなかったからだ。


「あ~、そうそう颯太」

「ラッパーみたいに韻を踏みながら人の名前を呼ぶのはやめて下さい」

「Hey! Yo!! 調子はどうだ? そうそうソーダ?」

「もうラッパーでいいんでせめてちゃんと呼んでもらえますか?」


 そんなどうしようもないやりとりを潤さんとしていたら鈴奈が飲み物を注いでくれたらしく、「はい。そうそう颯太のそうそうソーダ」と言いながらグラスを俺の前に置いてくれた。

 心遣いはありがたいんだが俺別にソーダが飲みたいなんて言ってないからね? むしろ俺が飯の時は水かお茶派だってこと鈴奈も知ってるよね?


「りんちゃん私にもお水~」


 りんちゃんとは潤さんの鈴奈の呼び方である。言わずもがな(すず)を、りん、と読んでのことだ。

 んで、潤さんこそソーダを飲めよ! と心中でツッコミを入れながら鈴奈が注いでくれた飲み物を喉に流し込んだ。

 ……水じゃん!! 鈴奈め……嫌がらせかよ!? いや、けど水だからありがたいのか?


「はーい」

「ありがと~…………ぶふぇぇぇぇ!」


 鈴奈からグラスを受け取った潤さんはそのままぐいぐいと飲み――数秒後盛大に噴き出した。

 そして対面に座っていた俺は必然的にその不意打ちをもろに受け、上半身がびしょ濡れになった。


「りんちゃんこれソーダ! ……めんごめんごそーきゅん☆許してチョンマゲ!」


 これは嫌がらせとかじゃなくて……もしかして、拗ねてるのか? なんでだ?

 まぁ、取り敢えずそれは一旦放置するとして、潤さんの全く許しを請う気が無い謝罪の態度に清々しさを覚えてありのまま思ったことを口にした。


「ギャグが古い!」

「え……ガビーン!」

「それも古い!」


 どう考えてもわざとやっているのだろうが、どうしてもそれが違和感無く見えてしまうのは亀の甲より年の功と言ったところだろうか……。まぁ、さすがにこれを言ったら怒られそうなので言わないが。


「……しくしく……そのままじゃ風邪引くからお風呂入ってく?」

「いや拭けば大丈夫だと……」

「本当に拭くだけでいいの? おばさんの唾液とソーダのベトベト感が残るのよ?」

「…………」


 何それ、そう言われるとスゲェ嫌だわ。大人しく風呂借りよう。


「もう一度聞くけど、本当に拭くだけでいいのね?」

「……お風呂お借りします」

「ヒドイっ! 私の唾液がそんなに気に入らないって言うの? このいけず! あんぽんたん!」

「お母さんいい加減にしなよー! そーにぃ困ってるじゃん」


 チャームポイントのえくぼを埋め立てるどころかむっと膨らませた鈴奈が、暴走し始めた潤さんに釘を刺してからフェイスタオルで顔を拭いてくれた。

 鈴奈と潤さんが姉妹に間違われるとしたら、間違いなく姉は鈴奈だと思われてるんだろうな……精神的な意味で。


「ほら、そーにぃお風呂行くよー」

「すみません、お先にお風呂お借りします」

「……颯太、ゆっくりあったまりなさいな」


 鈴奈に手を引かれ風呂場に向かおうとしていると、潤さんの先程とは打って変わり妙に落ち着いた声風(こわぶり)に違和感を感じて顔だけ振り返ると、茶目っ気とどこか狡猾さを含んだ深い笑みに嫌な予感がした。

 ……なに企んでんだか……。

第6回心理学用語解説コーナー『非言語的(ノンバーバル)要素』『言語的(バーバル)要素』



非言語的(ノンバーバル)要素』『言語的(バーバル)要素』について


 意味はまさに字の通りのである。

 コミュニケーションを取る際に言語的要素を伴う場合は『バーバルコミュニケーション』。

 その逆が『ノンバーバルコミュニケーション』である。

 『バーバルコミュニケーション』は言語を使ったコミュニケーション方法で、会話や文書のやりとりなどを言う。

 『ノンバーバルコミュニケーション』は表情や視線、身振り手振りなどによるボディーランゲージといった、言語を使わないコミュニケーション方法である。


 作中の第1章の5で颯太くんが思った『非言語的(ノンバーバル)要素』とは、愛理ちゃんの外見の変化を見てのものです。



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