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0 水瀬愛理

たまに後書きにいれていた心理学用語解説コーナーなのですが、正直必要ない気がしてきたので、執筆中断してます。


 作中には一部実在の心理学的表現を使用していますが、作品全般としてはこの物語はフィクションです。

 実在又は歴史上の人物、団体、固有名詞、地名、国家、その他全てのものとは名称が同一であっても、一切関係はありません。


 又、誤字、脱字を発見していただけましたら、報告していただけるとありがたいです。

 両親が寝静まった深夜、私は自室のベッドに横たわりながら枕に顔を埋めて叫ぶ。


「……うぅぅぅぅぅぅ!」


 我ながら何をしているのだろうと思いながらも、やめることが出来ない。

 何故だかここ最近眠れないのだ。

 常にもやもやとした思考が働き続け、眠りたいと思う反面頭は冴え渡っていく。

 そんなアンマッチを解消するために、今日も私は叫ぶ。


「どうやって誘えばいいのぉぉぉぉ!?」と。


 ……そして空が薄明かりに照らされた頃、私は“色々なこと”をして力尽き、微睡みの中へと落ちていった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「城戸くんマジ凄くない!?」

「占いも出来るし、面白い話もいっぱい知ってるし~」

「さすが城戸っち! 俺が見込んだ――」

「ちょっとタロうるさい! あっち行ってなさいよ」


 あぁ、またこの夢か……。

 最近決まって見る明晰夢。これは夢だけれどただの実体験のリピート。

 どうやら今見ている明晰夢は昨日の学校での出来事のようだった。


 休み時間、私は本を読むフリをして“前の席”の彼を観察していた。

 なんだかこの“フリ”をすると、いつぞやの彼がやった占いもどきの件を思い出してしまう。


「え~!? スゴくない!? 城戸くんなんでそんなに分かるの?」

「もうガッコやめて占い師になったほうがいいんじゃない? 私、常連になっちゃうかも」

「城戸っち! 次俺のことよろりんこ!」

「だからタロはどうでもいいじゃん! 大人しく犬小屋に帰りなさいよ」


 私から見えるのは彼の背中だけ。

 そんな彼の席の周りには黒山の人だかりが形成されていた。見れば他のクラスの生徒の姿も大勢あった。

 唯一の外部生ということで、彼は全校生徒からの注目を集めているのだ。

 それに加えて彼はただのツマラナイ生徒とは一線を画していた。そのことも更なる注目の的レベル向上を助長させる要因になっていた。……要するに彼は今現在、時の人と言うべき存在だった。


 そして彼は人の心を操る人(サイコロジスト)

 このことは全校生徒の中で私しか知らない秘密である。


「はい。ではタロくんは自分から何を聞きたいですか?」

「う~ん? 俺も性格とか当てられたいなぁ~」

「はぁぁ? タロなんて見ての通りただのバカじゃん? 城戸くん無視していいんだよ?」

「ははは……では、性格診断ってことでいいですか?」

「うぃ! よろりんこ!」


 どうやら彼はこれから田所くんの性格診断とやらを行うようだった。

 田所くんには全く興味は無いけれど、私だったらどう判断するかとシミュレートしてみる。


 ……うるさくてやかましくてさわがしくてお調子者で風見鶏でウェザーコックで……ん。結論、うるさいにわとり。


 と、まぁ普通ならこうなるのだけれど、彼はどうするのか?

 夢と分かっていながらも、私は密かに彼の声に耳を傾けるのだった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「……ん」


 そこで不意に目覚めてしまった。

 まぁ、続きは分かりきっていることなのだけれど。

 ……あの後彼は田所くんの性格、というよりも本心を言い当て、詳しく語ろうとしたところで、本人が慌てたように止めに入ったのだ。

 なのできっと彼の性格診断とやらは当たりだったのだろう。


 さて、そんなことは私には至極どうでもいいのだ。

 今日こそは彼を昼食……違う、ランチ、デジュネ、ディネ、アルモッソ、プランツォ、ミッタークエッセン、アヴェート……に誘うのだ。

 ……うぅぅ。もう何語で誘えばいいのかも分からない……。

 やけにボンヤリとした思考が、一層のこと思い切りフランクに誘うというのはどうだろうか? という案を出してきた。


「Hey! 城戸くん! 一緒にランチなんてどうヨ? ……うぅぁぁ」


 なんとなく呟いてみて盛大に恥ずかしくなった。うっかり人にでも聞かれていたら引き籠りにでもなっていたかもしれない。

 ……ん。とにかく彼をお昼ご飯に誘って、色々と聞きたいことがあるのだ。よし。先ずは学校の準備を――。


 ……そして私は気付いた。ベッドから起き上がれないことを……。

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