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INSTINCT-インスティンクト-  作者: 空のアルカリ単4電池
1.COMENZANDO-コメンサード-
3/15

3.KULKUKISSA-クルクキッサ-

「本能は物体に触れることはできない。だが触れることはできるものが一つだけある」


本能自体は物体に触ることができないが、身体能力を莫大にあげる。

それを除けば日常生活に全く役に立たない。

優等生は確かにそう言った。

全くと言ったんだ。

だが何かに触れることができるのなら少しくらい役に立つのではないだろうか。

例えば金属。

本能が金属に触れることができるとしたら、

オーブンでの調理をしている時、オーブン用の手袋を使わなくても、

本能を使えば火傷することなくトレイを引っ張り出すことができる。

確かに利用する場面は少ないだろう。

だが全く役に立たないわけではない。


「触れられるものがあるってんなら、全くないとは言えないんじゃないか」

「いや全くだ。本能が触れられるものは全く役に立たない」


優等生はそれでも言い張った。

ならば答えを聞こうじゃないか。

本能が触れられるものを。

湊 心は優等生に問いかけた。


「だったら何だ。本能が触れられるものってのは」

「ふっ、それは・・・」


優等生は少し笑った。

答えるまでの間が長いように感じる。

実際には1秒くらいかもしれない。

俺にとってこの間は、何故か10秒にも20秒にも長く感じた。

そして優等生は答えた。


「本能」


本能と言った。

続きがあるのか?

いや優等生は口を閉じている。

つまり本能が触れることができるのは本能ってこと。

だか納得はできる。

確かに本能が本能に触れることができても、

生活する上では全くの役に立たない。


「大体は予想できるだろう。さっきの攻撃もそうだ」


さっきの攻撃?

何だ。コイツはさっきどんな攻撃をした?

突き攻撃しか覚えていない。


「わからないのか。呆れる・・・なら説明してやるよ」


思い出す前に優等生は喋った。


「さっき僕は鷹の本能を出し、君の腕に触れた。正確には君の腕に溜め込まれた本能に、だがな」


雨が降ってきた。

そんな中、説明は続く。


「本能は本能に触れることができる。つまりは攻撃ができるということ。僕は君の腕に溜まった本能に攻撃したというわけさ」


ようやく思い出すことができた。

さっきの攻撃。それは優等生の鷹の本能が俺の腕を突いた攻撃。

しかしあの攻撃は全く痛みがなかった。攻撃と言えるのか・・・。


「まだ理解できないか。僕の鷹は君ではなく君の本能に攻撃をしたんだ。結論を言えば、君の上腕二頭筋を突いた時にそこより先の溜まった本能を削り取ったということだ」


本能を、削り取られた・・・?

だが今俺の右腕にはしっかりと力が溜まっている。


「本能を削りとるって・・・どういうことだよ」

「正確には本能の力だ。今、君と僕がこうして本能とリンクした時にでる異様な力はすべて本能の力なんだ。つまり君の腕の本能を削りとってしまえばただの平凡なパンチに戻るってことだ」

「そんな使い方が・・・」

「そして本能の力が回復するにはそこそこ時間がかかる。仮に君がさっき腕に溜め込んだ本能の力が全体の3割だとしよう。残る君の本能の力は・・・」


7割。

心なしか俺の体に残った力は大きく減っている気がした。

本能の力が回復するのには時間がかかる。

ようするに俺は残った本能の力でコイツと戦うことになる。


「そういうことだ!そして僕は!君の本能を削り続け、君の本能を0にする!!!」

「なッ!?」

「安心しろぉ!本能が底を付けば再び蘇ることはない!だか死ぬこともない!!君は本能使いではなくなる!それだけだ!!」


優等生の鷹が再び現れた。

この鷹は優等生が操っているのだろう。

優等生はケラケラと不気味な笑い声を上げながら鷹のくちばしを俺の胸部へ向ける

鋭い嘴は俺の体から15cm以内に入ったであろうこの瞬間。

やるしかない。

俺は思った。


「な、なにィ?!」


刹那、

優等生の表情は大きく変わった。

俺は胸部から犬のビジョンを抜き出す。

そして犬のビジョンは鷹の嘴に噛み付き、鷹の攻撃を止めた。


「ば、馬鹿な・・・この本能は・・・」

「うおおおおおおおおおーーッッ!!」


俺は叫びとともに犬の力を強める。

だんだん本能のコツをつかんできた気がした。

雨に当たることのない犬のビジョンは鷹のビジョンの嘴を砕き、攻撃を続ける。

バク、バクと鷹に犬を噛み付かせた。

噛み付いた部分はあっけなく消え、頭、右羽根がなくなった鷹はとても無残な姿になった。


「くそがああああああーッッ!」


優等生は鷹を左腕に戻した。

攻撃は見えきっていた。

くの字に曲げた左腕と左の形からして、

鷹の腕力と嘴の貫通力を生かした“突き”

機動は俺の胸部、心臓を貫く気だろう。

俺は犬のビジョンを出したまま、左手を優等生の突きの防御に備える。


「本能を戻せていないな!やはり成長はその程度だ!鷹の嘴の貫通力を平凡な掌一枚じゃあ防げるわけないだろうがあぁ!!」


確かにそうだ。

俺は犬のビジョンを戻していない。

平凡な掌で鷹の嘴を止めることはできない。

だが犬のビジョンは戻せないから戻さなかったわけではない。

戻さなかったんだ。

犬のビジョンを優等生の左腕に噛み付かせた。

すると優等生の説明通り。

優等生の突きは威力を急激に落とし、俺の掌でトンッと音を立てる。

優等生は表情を激変した。

犬のビジョンは優等生の左腕に溜まった本能パワーを削り取り、

そのまま俺の右腕に戻っていく。

右腕の力が一気に上がるのがわかる。

俺は右腕をくの字に曲げ、拳を固めた突き攻撃を優等生の左肩に目掛ける。


「成長していないのはお前も同じだ!」


優等生は俺の拳を見るだけで防御に入る素振りは見せなかった。


わしになってからこい!!」


雨を弾きながら俺の拳は優等生の左肩に嫌な音を立てて命中した。

優等生はゴロゴロと地面を転がって左肩を抑え、うめき声を出している。


「く、くそおぉぉぉッ」

「言ったろ、試してみなきゃわかんねえ。普通なら負けていたかもしれないけどな」

「なぜだぁ・・・あの本能は・・・しかし君の成長の段階はまだ・・・」

「お前は口数が多い。数学だってやり方わかれは答え出すのは簡単だろ」


俺はそう言ってその場を去った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


雨はあがった。どうやら通り雨だったようだ。

駐輪場で原付のロックを外し、ヘルメットを被った時

朝のジョニーとの会話を思い出す。

そういえば今日の夕飯はジャーキーで盛ってやるんだった。

エンジンをスタートさせ、少し離れたところにある

最近オープンしたばかりのコンビニへ向かう。


目的地に着くと駐車場は狭く、近くには小さな川が流れていた。

原付に駐車場の隅っこでロックをかけ、財布だけを持ち店内に入る。

ペットフードコーナーでジャーキーを見つけた。

しかし300円のジャーキーは売り切れている。

隣を見ると600円のジャーキーがあった。

財布を覗けば野口が一人いてくれた。

だが小銭のほうは三桁をいきそうにない。

仕方なく600円ジャーキーを手に取り、ため息をつきながら会計を済ます。

そしてコンビニの自動ドアを越えた時、

道路を渡っている真っ白な子猫が一匹見えた。

すると横からは子猫の存在に気づいていないのか、

スピードを下げる様子が見えないトラックが走っている。

左手のビニール袋を投げた。

オリンピック選手も驚くのではないかというスピードで、

俺は道路に突っ込んだ。

右手で子猫を抱き上げ反対側の道路に飛び込む。

左肩を打ち、歯を食いしばる。

本能を生かしたダッシュは止まるのにも一苦労だ。

トラックはクラクションを鳴らし、通り過ぎていった。


「あっぶねえー・・・死ぬかと思った」

「あ、あの・・・」

「んん?」


声が聞こえた。

聞こえたと言うより感じた。

ペットのジョニーと話す時を同じ感覚だ。

まさかと思った。


「助けていただいてありがとうございます」

「お、おう・・・」

「わ、私の言葉がわかるのですか?!」

「おう、わけあってな・・・」


子猫も驚いていたが、俺も驚いた。

俺は犬の本能を持っているから犬としか会話ができないものだと思っていた。

しかし俺は猫とも会話することができている。


「そんなことより何やってたんだ?道路渡りたいならさっさと渡らないと危ないだろ」

「そこの水を・・・」


そういって子猫は水たまりを見た。

喉が渇いているのか。

俺は子猫を抱き上げる。

道路を渡り、コンビニへ戻った。


ロックをかけた原付のシートの上に子猫をまたせる。

コンビニから出てきた俺は牛乳が入ったビニール袋を持っていた。

待たせていた子猫の前まで行くと気がついたことがあった。


「あ、器・・・」


原付のシートを開き、バッグを取り出す。

牛乳を入れられる器になるものはないかと

バッグをあさると空になった弁当箱を見つけた。

弁当箱の蓋をあけ牛乳を注ぐ。


「はいよ」

「あ、いや・・・でも」

「気にすんなよ。」


牛乳を入れた弁当箱を子猫の前に出すと

遠慮していたように見えたが子猫は牛乳を舌ですくい始めた。

相当喉が渇いていたんだろう。牛乳が減るスピードが早い。

俺も余った牛乳を飲む。すると子猫は言った。


「まさか人と会話できるとは思いませんでした」

「わかってて礼を言ったんじゃないのか?」

「いいえ違います。お礼は感謝の気持ちを持った時に言う言葉です。通じなくても関係ありません」

「ふーん、まあ・・・よかったな」

「はい」


会話は止まった。

子猫は無言で牛乳をすくい続けた。

弁当箱に残った牛乳を一滴残らずすくい取ったあと子猫は言った。


「本当に、何から何までありがとうございます」

「ああ。気をつけてな」


そういって子猫は原付のシートから飛び降り、

とことこと歩いて行った。

ふと気になったことがある。

俺は子猫を呼び止めた。


「おい」

「はい?」


子猫は少し驚いたように振り向いた。

声が大きかったかのだろうか。

心の声のコントロールは難しい。


「お前、飼い主は?」


子猫は下を向いた


「いません。昨日いなくなりました」


子猫は表情を変えない。

だが俺には悲しそうに見えた。

恐らく昨日捨てられたんだろう。

そう考えると悲しく見えるのは当たり前だ。

しかし動物の心が読めるというのは少し不便かもしれない。

俺は目の前の子猫が可哀想で仕方がなかった。

その気持ちは大きくなり、

犬を飼っているというのに目の前の子猫を拾ってやろうと考えていた。

いや、不便じゃない。

とても便利だ。この本能は。

鷹の優等生は本能は身体能力を莫大にあげること以外に、

役に立たつことはないと言っていたが。

あったじゃないか。

俺は今こうして子猫と心を通じ合い、救ってやることができる。


「よかったらうちに来ないか?」

「え?」

「犬が一匹いるけど、猫好きな妹もいるし家族も話せばわかると思う」

「で、でも・・・」

「いいから来いよ。ちょっと待ってな」


バッグの中身を全て原付のシートに移す。

子猫の前までバッグを持っていき、大きく広げる。


「いいんですか・・・?」

「いいって言ってんだろ。歓迎るすぜ」


子猫はバックに入りファスナーを少しだけあけておく。

俺は子猫は入ったバックを背負い、原付に乗った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


家族も話せばわかると思う。

そうは言ったがどう話せばいいんだ。

俺は家の玄関の前で少し焦っていた。


「あ、あの・・やっぱり・・・」


バックの中から子猫が心配をする。


「だ、大丈夫だよ!入るから黙ってろよ」


そういって俺は家の玄関を静かに開けた。

足音を立てないように廊下を歩く。

すると脱衣所から部屋着を着た妹のらんが出てきた。

風呂上りだろうか。髪が濡れている。


「心?なにこそこそと歩いてんの?」

「い、いや別に!気にすんな!」


そう言った時、俺の頭の中でひらめいたことがあった。


「蘭!ちょっと俺の部屋に来てくれないか?」

「えーやだよ。今から録画しといたドラマみるし」

「いいから来いって!」


俺は蘭の手を強引に引っ張り部屋に連れ込んだ。

上がった息を整え、話を始める。


「もう、なにさ。さっさと用件済ませてよね」

「実はさ・・・」


そう言って俺はバッグを開ける。

蘭は俺が思っていた通りの反応をした。


「うっわー!可愛い!!どこで拾ったの?!」

「新しくできたコンビニだ。そんなことよりコイツを飼えるように親父たちを説得してほしい!」

「うーん・・・お母さんは許してくれると思うけど、お父さんはなあ・・・」


蘭は考え込んだ。

親父は強敵だ。

俺が小学校のころ捨て犬だったジョニーを拾った時も大反対だった。

あの時は母さんが一緒に説得してくれたが、

今回は母さんの力を借りても説得できないだろう。

何故なら俺はジョニーの世話を3日たらずで放棄してしまったのだ。


「んー私もこの猫飼いたいし、手伝いはするけど・・・」


俺は悩むのをやめた

バッグの中から子猫を取り出し階段を走って降りた。


「ちょっと心!?」

「うおおおおおおおおおおおッ」


俺は決めた。親父がなんと言おうがこの子猫を飼う。

最悪ジョニーを捨ててコイツを飼う

いや、それはないな。

俺は勢いよくリビングのスライド式のドアを開けた。


「親父ィィィィィイイ!俺はぁぁ!この猫を飼うぞォォォォォォおおおおッッ!!!」

「ダメだ」

「はっやぁぁあ!!」


速攻で却下された。

親父は俺の言うことがわかっていたのだろうか。


「ちょっと心!ご近所に迷惑になるでしょ!」

「す、すみません」


母親に叱られ肩を落とす。


「猫は飼わんぞ。大体犬飼ってるじゃないかうちは」

「犬飼ってるからって猫飼っちゃいけないい理由にはなんないだろうが!」

「なるよ。世話どうすんだ世話。食費だってかかるだろ」

「世話は頑張る!食費は頑張ってくれ!」

「殴るぞ」


口を止めてしまった。

参ったな。食費のことは全く考えてなかった。

しかしどうする。このままでは子猫を捨てることになってしまう。

すると二階から蘭が降りてきた。


「ねーいいでしょお父さん!私も世話するの手伝うからさ」

「蘭もか・・・」

「俺もする!もう3日でやめたりしないから!やめても蘭がいるから!」

「お前は黙ってろ」


なんで俺だけ怒られるんだ。

落ち込んでいた俺の隣で母さんが口を開いた。


「別にいいじゃない。蘭もこう言ってるし、心だって最近犬の世話みてるじゃない」

「し、しかしだなあ・・・」


そう言うと母さんは俺の手から子猫を拾い上げた。


「かわいいじゃない、この猫。あら、ちょっと汚れてるんじゃない?蘭、洗ってあげて」

「了解!」


蘭は母さんから渡された子猫を抱きかかえ、脱衣所に向かった。


「なあ、親父」


親父はテレビに映る野球をみたままだった。


「今度は絶対する。犬だって最近はちゃんと世話してるし、今の俺には世話をやめないっていう確信がある」


母さんは驚いていた


「だから頼む。あの猫を捨てたくない」


親父がみる野球の中でバッターがホームランを打った。

テレビ越しに声援があがる中、親父は言った。


「俺はもう世話しないからな」


やった!

声をあげて喜んだ。

母さんも喜んでいる。

その声が聞こえたのか脱衣所から蘭が顔を出す。


「え?お父さんいいって?」

「ああ!飼っていいって!」


今日の家内は大きく賑わった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


そんな時、思い出したことがあった。

ジョニーだ。餌をやるのをすっかり忘れてしまった。

家の裏側にあるジョニーの犬小屋にドッグフードを持って恐る恐る近づく。

犬小屋の中には入口に尻を向けたジョニーが寝ていた。


「お、おーい・・・起きてるかー?」


返事は返ってこなかった。

寝ているのか。それとも餌が遅れたからか。

とりあえずドッグフードを盛ってやろうとしゃがむ。

するとジョニーは喋りだした。


「いらねーよ。さっきかーちゃんがくれた」

「そ、そうか・・・一応盛っとくぞ?」

「いらねえって。しけるだけだからやめろよな」


どうやら不機嫌らしい。

餌も母さんがやったのになんで怒っているんだこいつは。


「何怒ってんの?」

「別に怒ってねえよ」

「あそう」


俺は立ち上がって家に戻ろうとした。


「この家、猫飼うんだな」


バレていた。


「な、なんで知ってんの・・・」

「んなもん匂いでわかる。でかい声まであげやがって気付かないとでも思ってんのか」

「そ、そうか・・・」


気不味い。

なんで犬といるだけでこんな空気を味あわなければならないんだ。


「俺、どうなるんだ?」

「へ?」


ジョニーは何かを心配していた。

どういうことか理解できない俺は問いかける。


「何が?」

「俺・・・捨てられるのか?」


鼻声だった。

思わず吹き出してしまう。

面白く思ったのでからかってやることにした。


「あー、いつだろうな。明日にでも親父が連れて行くんじゃないか?」


ジョニーは泣き始めた。


「くぅぅ・・・俺は猫ごときで・・・くそぉ・・・知らない人間がきたらちゃんと吠えてるのにぃ・・・」


そういうえばコイツはメンタル弱いんだった。

可哀想なのでこの辺にしておこう。


「嘘だよ。親父がお前も猫も飼うこと許してくれたから、お前を捨てることはない」


ジョニーは泣き止んだ。

鼻声でぐすぐす言いながら喋りだす。


「ほ、本当か?」

「本当だよ。お前がいなくなったら毎朝の楽しみがなくなるからな。絶対捨てない」


ジョニーは泣きながら飛びかかってきた。

俺は押し倒され、ジョニーに顔をベロベロと舐められる。


「やめろやめろ!くせえよ!どけ馬鹿!」

「しょ、ショック・・・」


ジョニーをどかし、立ち上がった後服についた汚れを払った。


「そういうことだから、また明日も散歩いこうな」

「おう!おやすみ心!」


俺はよだれまみれの顔を拭きながら家に戻ろうとした。

すると・・・


「なあ心、そういえば今日ジャーキーで皿を盛ってくれるんだよな?」

「あ」


スッカリ忘れていた。

その後、ジョニーはカンカンに怒り、

どんな言いわけも聞いてくれなかった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


朝。

ジョニーの散歩を済まし電車の中で揺れている。

ジャーキーの件は今日の夕飯をジャーキーで盛るということで許してくれた。

相変わらず女子高生の香水は鼻にくる。

窓を開けて外の空気を吸いたいが、他の乗客の迷惑になるのでやめておこう。


「やあ」


すると昨日聞いたばかりの声が聞こえた。

聞きたくない声だ。

声のする方へ目を向けると予想は当たった。


「昨日は痛かったよ」


鷹の優等生だ。


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