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15.COCODRILO-ココドリロ-


前が見えない。


視界は真っ暗だ。


頭に痛みが走っている。


ズキズキと、鼓動と同時に・・・



「ィッ!・・ぐあああああ!!!!」


その叫びは、俺の視界を明るくさせた。


「てめえ・・・その本能、、俺と同じタイプか・・」


ワニの男は右手首を抑えながら言った。


「さっき匂いが何とかって言ってたな・・犬か、お前の本能。」


俺はワニの男に頭を掴まれたと同時にその右手首を掴み、へし折ってやった。

だが、ワニの男の攻撃は早く、俺の頭に痛みが残る。

さすがにヒビまでは入っていないだろう・・・。


「同じ噛みつくタイプと()り合うの初めてだな、チッ、いてえな。」


ワニの男は右手首をグリグリと回しながら言った。

俺は口は開かず、ただ様子を見ていた。

いつ次の攻撃が来ても対応できるように。


「犬ってつえーのか?あんまパっとしねーけどよ」

「知らねえよ。でも弱かろうが強かろうがお前はぶっ倒すぜ」

「じゃあこれは知ってるか?」


ワニの男は右手をギュッと握りながら


「ワニの顎は最強なんだぜ」


ーダンッ!!

ワニの男は地面を蹴り、こちらに向かってくる。

さっきより早い。

右手を広げ、再び掴むような攻撃を仕掛けてきた。

だがそっちの手はさっき俺が潰した手だ・・・!

ーパシィッ!

俺は左手でワニの男の右手を掴む。

そして右手で拳を作りコイツの腹に目掛けて・・・


「・・!?」


左手が痛い。


「・・・っ!、、っク!」

「ククク、こっちの手は使えないと思ったか?」


なんでだ・・・?

さっきコイツの右手は嫌な音を立てたはずだ。

なのになんでここまで対抗できる・・・?

コイツの右手は俺の左手を握り返してくる。

凄まじい力で。


「おい・・、おかしくねえか?」

「おかしくねえよ。お前がよえぇーんだろッ!」


掴まれた俺の左手に更に痛みが走る。


「く・・・っそが!!」


俺は右手で左手首を抑え、左手に全力を込める。

だが、、


「おい、ぶっ倒してくれるんじゃねえのか?」

「っ・・・、んぐ・・!」

「なあ、犬の本能ってそんなもんか?」

「・・・・・く・・」

「なあ、言ったよな?」

「痛ッ、・・・・?」


左手はいつ潰れるかわからない。


「最 強 だ っ て よ お ! !」


その言葉の後、ワニの男の左足が浮いた。

左足は斜めに飛んでくる。

その動きはゆっくりに見えた。

だからどうやって防ぐか考える時間ができた。

だが、どの防ぎ方も無駄だと判断した。

左手の力も、それを保護する右手も、

どちらも手は抜けない。

スローに見えるからこそ、覚悟するしかなかった。

俺の頭に向かってくる。


痛みと同時に文字にはできないような音を立てる。

俺の体は大きくバランスを崩すが想像とは違かった。

俺は数メートル蹴られた先に飛ばされると思っていたが、

その場でよろけ、左手から別の力が動き始めていた。


「・・・っく、!」

「・・・ハハっ!」


ーベキキィッッ!


「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」


ワニの男の蹴りは俺の体を余裕で飛ばせるほど威力はあった。

だがコイツは飛ばさなかったんだ。

コイツは俺の左手を掴む右手の力は緩めなかった。

そのままの力で蹴りを入れ、更に力を重ねた。

俺の左手から血が流れる。


「フフフ・・・フハハハハハハ!!!!」


ワニの男は高らかに笑い声をあげた。


「湊ぉぉーー!!」


高根沢・・・。

くそ、、やべえなコイツは・・・

高根沢がボロボロになるのも納得できる。


「まあまあ戦えたんじゃねえかー?でも所詮雑魚。さっきまでの威勢がおもしれえよ」


俺は地面の滴る血液を見ていた。


「しかしよぉ、てめーらゴミクズの集まりじゃねえか。」


そして考えていた。

この状況、どうする・・・?


「話には聞いていたけどよぉ、こんな雑魚共に倒され続けてんのか?

 おとぎ話みてえに信じられねえ話だな・・・ククっ」


どうやってコイツをぶっ倒す・・・?


「まあどうでもいいか。とりあえずコイツらここで殺っちまって・・・」


逃げるか?

でも高根沢を放置するわけには・・・


「暇潰しに組織の奴ら全員、血祭にしてやっか」


ードクンッ・・・

その言葉を聞いたとき、

俺の心臓は大きく跳ねた。


「さて!これで終いだ。雑魚なりに楽しませてくれて・・・」


ードクンッドクンッドクンッ

鼓動がどんどん早くなる。


「ありがとうなあ!!!」


ードゴンッ!!!

俺は本能とのリンクを解いた。

刹那、ワニの男の体は俺の前方に飛んでいき、

鉄パイプの山を弾いた。

プロボーリングのストライクのように。


「・・・・・・・」


俺は何本か曲がった鉄パイプに寝ているワニの男を睨みつける。

ワニの男はぐったりした状態から起き上がろうとしていた。


「・・・くそ・・・・ちくしょう・・・なんだ・・・」


ワニの男は痛みを堪えながらこちらを見た。


「・・・?!」


両目を大きく開き、何か驚いているようだ。


「おい、、それ犬じゃねえだろ・・・」




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