初鬼。俺の名は太郎!苗字はない!
早速だが、俺の名前は太郎。名字なんてものは無い。有るとすれば今の親につけられたこの名前ぐらいだ。今日もいつものようになにも無くただ畳の先の二股の尻尾を持った猫や空に浮かぶでかい頭を眺めて何も無い日々を過ごすはずだった。
いつもと違う点は、今日から僕は13歳だ。13歳は妖や物ノ怪等の間では成人と年として知られており、その年から寺子屋で相手側の殿の首を取る為の知を学び赤い鮮血が舞う戦場に赴かなければならない。最近では我ら人間側の。。。
「おーい!早く来いよ!」
とここで友から寺子屋への誘いが来た為、寺子屋に行きながらこの世界、“妖人界”での人間と言う種族の立ち位置や人間しか持っていないスキルと言う物にについて説明しよう。この世界は昔自然が栄え、生命は魂や霊と言った形を取り、共存しながら生きていた。だがとある日(後のアダムやイブと呼ばれる人物が誕生したとされる日)、何かの干渉により生まれた欲望と悪意を持つ魂が生まれ、それは後に人の形を取りその際、その時魂達が使用していた言語の中から“同じ”とゆう意味の類と“知恵ある生き物”と言う意味を持つ人とゆう言葉の二つを合わせ“人類”と名乗った。人類は数を着々と増やしていき、今では大半の生物が人類かまたは最初から居た霊魂達に限られる様になった。そして丁度寺子屋に着いた。今日の教の内容はこの世界の摂理の技と呼ばれる物についてだった。因みに今日は合宿初日である。
「えー、今日は技と呼ばれる物についての授業を行う。それなりの行動範囲が必要なため、今日は課外授業とする。」
と言う訳で、俺も友達とともに外に出て授業を行うとしよう。まず最初にする事は特殊な体操を行う。これによって体内の妖力と体外の妖力の密度を極限まで均一化する事により体外からの妖力を消費した分体内に取り込む事ができる、と言う事らしい。それにしてもこんな事で本当にそんな事ができるのだろうか?すると友が同じ事を少々遅れて言った
「こんな事意味有るのか?」と
そうすると先生がその友の声を聞いたようでそれに注意した。そんな日がいつも続いていた。まぁいつもの事だそんな訳で次に実際のスキルを使用する前に俺達の属性診断をする必要が有った。
この世界では属性は決まった数は無く昔の精霊達の数だけ有るそうだ。その中で最も多いとされているのが妖や魑魅魍魎を滅する『光』と実用的で水や液体を流す『流』だ。この二つは元々すべての精霊達が持って居た物でそのおかげで今「妖人界」と呼ばれる場所に昔あった精霊界も食物や水分などの枯渇は無かったようである。それは今の「妖人界」にも影響しており、いまだかつて飢餓等が有った事は無い。そして俺と友は早速その属性診断をやってみた。
でその結果、友の属性は希少な『幻』と『飛』それに前の二つほどではないがそれなりに希少な『鳥』、俺は何故か妖でもないのにそれらに多く見られるとされる『酒』、『火』、『鬼』、それと妖で有る証とでも言える属性、『妖』である。この結果に先生も驚いたようだが以前にもこうなった事が有るようで直ぐに収まった。そして属性判断を受けた事で俺たちの能力書を受け取った。この能力書は俺たちの能力や属性、さらには種族や家系図まで見れる上に落としても手元に戻ってくる安心設計になっている。しかも発行料はなんとタダ!なんと親切な機構だろうと思った。そしてこちらがその能力書に書かれている内容がこれだ。
名:太郎
種族:半妖人
能力値:壱
属性壱:妖
属性弐:鬼
属性参:火
属性肆:酒
使用武器:なし
兜:なし
胴:制服(上)残耐久、六割
籠手:なし
腰巻:なし
袴:制服(下)残耐久、五割
名:友
種族:人間
能力値:壱
属性壱:幻
属性弐:飛
属性参:鳥
使用武器:なし
兜:なし
胴:制服(上)残耐久、八割
籠手:なし
腰巻:なし
袴:制服(下)残耐久、七割
とゆう事だ。兜や胴に関しては正直使う事があるのか疑問だがこれからの事を考えれば必要なのだろう。それにしても耐久値がここまで減っているとは驚きだ。まぁ最初に買ってからかなりの年月が経っているから納得できる。とゆうか俺は半妖人なのか?
そして先生の能力書もついでだから見せてもらうと俺たちの能力書とは正に桁が違った。
名:浩二
種族:人間
職:侍
能力値:弐拾参
属性壱:聖輝
属性弐:大海
属性参:矛
属性肆:影
使用武器:三首槍
兜:一ツ目ノ眼帯
胴:馬頭鬼ノ胴鎧
籠手:狐火ノ籠手
腰巻:馬頭鬼ノ腰巻
袴:馬頭鬼ノ袴
話によるとこれらは全て誰でも入手出来るものを強化させたものらしく、ちょっとした訓練を積むとその属性適性が出来、それを多用し理より出されし課題を突破するとその属性を強化する事が出来る。更にその人間の年が弐拾を超えると職業とゆう項目が追加され、それにより能力の向上が見込めるらしい。因みにこの侍という職はこの時代には最も数が多い。更に高みを目指そうと思えば殺害数以外にも殿への献上度がある一定を超えていなければならない等、戦闘とは関係のない条件などがあるため先生は未だ侍のままだと言う。
そして今日の訓練の本番はここからだ。我々が持つ属性の初段技能を行使しなければならない。しかも持っている全ての属性の初段技能を行使しなければ、晩の飯が抜きになるやもしれない。自分としてもそれは出来れば避けたいが、俺には五つもあり、その全てを行使しなければならない。
こんな無駄話をしていてもなんなので、早速最初の属性である『酒』から出す事に励むとする。話によると体に纏っている気のようなものを凝縮して手に集中させるそうなのだが...できた。結果は酒が手から少し離れた位置から滝の様に出るとゆうものだった。先生諸君は目を点にしている。とまぁ次の属性、『妖』を行使する。『酒』の時と同じ容量でやるとちょっとした爆発が手の中で起きた。それが初段技能なのかと思ったが、どうやら『妖』は召喚と強化の二つを果たすらしく、先ほどの爆発は妖力の使い方の違いだと思われる。尚、召喚は陣を要するらしく、妖力単体では使用不可の為、初段技能ではないらしい。なので先程の経験を生かして、次は体外ではなく体内に魔力を集中させる。すると爪は通常の肌色から紫の様な赤に変色し、異常なほどに伸びた。まぁ結局のところ特に何もなく残り二つの属性、『火』と『鬼』も手から火の玉が出た事や頭から角の様なものがちょこんと生えたぐらいだ。
やはり初段技能は少々見栄えがしないものが多いのかと思えば、そうでもないらしい。隣で『鳥』の初段技能を出そうとしている友は背中から身の丈ほどある黒い翼が生えるなどした。妙に『鳥』と『鬼』の差が激しい気がするが、それはただの勘違いかなにかだと信じよう。
さてそれにて俺と友の課題は終了したわけだが課題を終了しなかったやつらもいるわけでそいつらは厳しい罰を受けたそうな。『俺は四つもこなしたってゆうのになんだってんだ?』という疑問と『こんな訓練が四日も続くのか。』と内心思っていた。
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