留学
島崎海斗と言うパスポートに書いてある名前をみつめる。
いよいよ俺はアメリカへ旅立つ。
両親の反対を押し切って高校からはアメリカに留学する事になった。
まあ、親の言う事なんて最初っから聞くつもりなんかなかったんだけどな(笑)
飛行機への搭乗案内のアナウンスが場内に響く。
「ああ、ついに俺はいくんだな」
ふーっと深いため息をつき、足を入り口へと運ぶ。
飛行機に乗るとすぐに、疲れのせいか寝てしまった。
しばらくして隣に座っている中年のおじさんのいびきで目が覚める。
いつの間にか俺はアメリカについていた。
少々緊張しながら飛行機を降り、空港をあとにする。
携帯の電源を見てみると、母さんから数えきれないほどの着信が入っていた。
「電話しなきゃな」と思いつつも面倒くさいのでまた電源をきった。
バスにのり新しい家へと向かう。まあ正確に言えば寮だけど、どっちだって一緒だ。そんなとこに住みたくないのは変わらない。ついたので早速呼び鈴をおしてみる。
「は〜い」と言う女の人の声とともに扉が開く。
中からは俺よりちょっと歳が上ぐらいの女の人が出て来た。
「あのー...どちらさまですか?」夜の風になびく真っ黒な髪に輝く黒い瞳に俺は言葉を失った。
ほぼ方針状態に近い俺に彼女は文章をもう一回繰り返した。そこで初めて自分がどんなアホ面をしていたかに気がついた。
「あ。すいません。日本から来た島崎です。島崎海斗。」
「あああ!はいはい!何かごめんね〜ちゃんと用意もしてなくて〜」
「い、いえ。全然大丈夫です。」