特別な日
次の日の朝。
いつもは朝練で起きたらいないおにいちゃんが珍しくまだ家にいた。
「お、おはよう」
「おはよう美優、はやく朝御飯食べないと遅刻するぞ?」
「うわっ、ヤバい!」
その時、時計は7時45分を指していた。
「そういえば今日朝練無いんだね?」
「うん、今日はズル休み」
「え? なんで? おにいちゃん絶対休まない主義じゃん」
「今日は特別」
「ふーん… なんで休んだの?」
「秘密☆」
「けちー!!」
「そんなことより! まじで遅刻すっぞ?」
「うわっ! やばい! いってきまーす!」
(今日ってなんかあったかな?)
なんて色々考えながら歩いていると前から聞きなれた声が聞こえてきた。
「おはよう」
そう声をかけてきたのは幼馴染の怜央だった。
「れーくんおはよう」
「あれ? もしかして寝起き?」
「ぎくっ!! はっ! そんなことないのだよ!」
「嘘くさい」
「はい。寝起きでございます」
「なんかあった?」
「ん? どうして?」
「なんか、顔疲れてるから…」
「まあ………」
「僕で良ければ相談のるよ?」
「うん…。 あのね、おにいちゃんがね………」
「変態だった?」
私がそう言う前に怜央が先に言った。
「何故それを知っている!?」
「町内のみなさんご存じだよ?」
「恥ずかしくて穴があったら入りたいよ!」
そんな話をしていると学校に着いてしまった。
「そうだ!! 美優、今日の放課後空いてる?」
「部活ないし空いてるよ」
「なら迎えに行くから教室で待っててね! じゃあ!」
なにかあるの? と聞く隙も与えてもらえず怜央は隣の教室に入っていってしまった。
放課後。
「みーゆーうー! 帰ろっ!」
「うん」
「帰りに僕ん家寄ってね」
「ん? なんかあるの?」
「秘密☆」
今日はよく秘密にされるなーとか思っている間に怜央の家に着いた。
「ちょっと待っててね!」
階段をドタドタ上がる音が外まで聞こえている。
「happybirthday! 美優!」
「?」
「今日美優お誕生日だよ?」
「はっ! すっかり忘れてた!」
「やっぱり・・・」
そう言って怜央が差し出したプレゼントを受け取った。
「じゃあまた明日」
「うん、コレありがとね」
怜央の家からの帰り道は早くプレゼントを開けたいという気持ちでいっぱいだった。
「ただいま」
と言ってもこの時間なら家には誰もいないのだが珍しく奥から声が聞こえた。
聞こえてきた声は紛れもなくおにいちゃんの声だ。
「えっ? おにいちゃん部活は?」
「今日は特別休暇!」
「………サボったのね」
「正しく言うとそうなる!」
おにいちゃんはキッチンに立っていた。
「で? サボってまでなにしてるの?」
「今日は美優が俺の妹になった記念すべき日だからケーキ作ってんの」
「女子力高いですなぁ」
そう言いながら内心凄く嬉しかったのは死んでも口にはしない。
「もちろんチョコケーキだよね?」
「もち! 美優はチョコケーキが一番好きなんだろ」
「やった! とりあえず着替えてこようかな」
着替え終わった頃、コンコンとドアが鳴った。
「はーい?」
「入ってもいいか?」
「大丈夫だよ~」
おにいちゃんは私と違ってちゃんとノックをしてから入ってくる真面目な一面もあるのだ
「はい!これ!」
「やった!プレゼント!?」
「もちろん!」
「………なにこれ」
中から出てきたのはなんとなく見たことがあるアレである。
「とりあえず読んでみるのが良いと思うんだ!」
「だ、だからって! こんなの妹にプレゼントする兄貴がいるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「て、てへぺろ☆」
「てへぺろで許されると思ったら大間違いなんだからね!」
よりによって私の大好きな漫画のアンソロなんぞを渡しやがった!
きっとコイツは頭がおかしいんだ・・・
「これを読めば美優もこちらの仲間入りさっ☆」
「三度死ね」
ついうっかり本音が出てしまった。
「少しは話し相手になってくれよ?」
「そ、それはまぁ約束だから仕方ないけど…」
「じゃあちゃんと明日までに読んでおくこと! 以上!」
話が一方的過ぎておにいちゃんのペースに完全にのまれてしまった。
「おにぃのバカッ…」
結局その夜は家族みんなに祝ってもらいおにいちゃんの手作りケーキを食べ
怜央からのプレゼントを開封するのを忘れ部屋で悶絶しながらアンソロを読んだのは言うまでもない。
久しぶりの投稿のような気がします。
軽く番外編みたいになりましたがきっと本編です!
もう行き当たりばったりで書いてるんで何が何だかわからない手さぐり状態です。
駄文なのは許してください。
では、次話でお会いしましょう・・・