猫好き令嬢は、猫に恩返しされる
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作者も家で猫を飼っている猫好きです
(作者の願望を書いてみた)
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シオン・ニャンコ伯爵令嬢は猫好きで有名だった。
ある令嬢は犬ではダメなの?と聞いた。
犬も可愛いけど、猫の気まぐれさが堪らないのと答えた。
ニャンコ伯爵家には捨て猫など貰ってきて、15匹ほどの猫ちゃんが庭で放し飼いになっている。
雨など降った場合に、猫専用の小屋まで建ててある。
たまに屋敷にも入れるが、そこは貴族としてわきまえている。
「うふふっ、にゃんこ♪にゃんこ♪モフモフちゃんこ~」
シオンの足元には一匹の猫がお腹を出して寝転んだ。
☆☆キュピーン!?
チャンスですわ!
秘技!高速お腹なでなでですわ~♪
この技を受けた猫は余りの気持ち良さに、必ず喉を鳴らして眠るのですわ!
そして、その通りになった。
「ふぅ~堪能致しましたわ」
この技は技を放った私も至福の時間を味わえるメリットしかない技なのです。
寝ている猫に顔を埋めてスーハー!と猫吸いするのも至福の時です♪
シオンの飼っている猫の中に一匹だけ毛色の違う猫がいた。毛並みは絹の様に滑らかで美しく、歩く姿も気品がある猫の貴族、いや王様と呼べるような美しい黒猫がいた。
「あ、モナーク、こんにちは♪」
モナークと呼ばれた黒猫は一礼するとそのまま歩いていった。
「はぁ~いつ見ても気品があって美しいわね~つれない所もステキ♪」
シオンは恋する乙女のような顔で息を吐いた。
そうした日々の中、月に一度の婚約者とのお茶会の日───
「えっと、今日は婚約者同士の交流の日だと伺っていましたが?」
いつもは交代で各自の家に招いて交流をはかるのだが、ザークの屋敷について庭にセッティングされたテーブルには別の女性とザークが楽しく話していた。
「なんだ?もうきたのか?」
なんで来たんだと言うように顔だけ向けて言った。
「そちらの女性は?」
「ああ、こちらはトラノコ侯爵家の三女メーキツネ令嬢だ。最近、夜会で親しくなってな。せっかくなので呼んだんだ」
「初めまして」
「は、はい、初めまして」
挨拶はしたものの婚約者との交流のお茶会の為に椅子は二人分しかなく、シオンは立っていることしかできなかった。
「何をしている。もう挨拶は終わっただろう?早く帰れ」
「えっ?」
ザークは深いため息を吐いた。
「相変わらず察しが悪いな。伯爵家と侯爵家では格が違う。メーキツネ令嬢を優先するに決まっているだろう?お前もここに来たことで最低限の義務は果たした。もう帰っていいぞ」
「あーら?ザーク様、それはお可哀想ではありませんか?」
「君は優しいな。でも、椅子もテーブルのお茶も二人分しかないんだ。ここにいる方が可哀想だろう?これは俺なりの優しさだよ」
「まぁ!そこまで考えが至りませんでしたわ。ザーク様、ごめんなさい」
「良いんだよ。君が楽しんでくれればね」
何が優しさなのだろうか?
シオンが目の前にいるのも構わず、二人はイチャイチャし始めた。
周囲の使用人はどうすれば良いのか戸惑うばかりでシオンに頭を下げることしか出来なかった。
「・・・わかりました。これで失礼いたします」
シオンは駆け足で入口の方へ走って行った。
しかし、やって来たばかりで、乗ってきた馬車は帰っており待つしか出来なかった。
「最悪ね・・・」
歩いて帰るべきか悩んでいると、イーヌ伯爵家の執事と数人のメイドが慌ててやってきた。
「シオン様、この度は坊ちゃんが大変な失礼を致しまして申し訳ございません!」
深く頭を下げた。
「今回の件については仕事で留守にしている旦那様や奥様は何も知りません。流石の私も今回の不義理は無視できませんので、必ず旦那様にご報告致します」
前からこのイーヌ家の皆さんは優しい。
だから私も今まで我慢してやってこれた。
でも、もう疲れた・・・
自然と涙が流れた。
「せめて当家の馬車をお使いください。責任は私が取りますので」
執事さんのご好意に甘えてイーヌ家の馬車で帰らせてもらった。
あまりにも早く帰って来たシオンに、体調でも悪くなったのかと、家にいたお母様とお姉様が慌ててシオンの話を聞いた。
そして───
二人は手に持っていた扇をバキッと折った。
「「あの駄犬が・・・」」
それはそれは、地獄から呼ぶ声のように、周囲の温度が下がる感じがしました。
「シオンはしばらく休んでいなさい。今日は部屋に猫ちゃんを入れても良いから」
「はい。ありがとうございます」
シオンはトボトボと部屋に戻った。
コソッ
「だいぶん落ち込んでいるわね」
「ええ、イーヌ家の夫妻は良い人達なのに残念よ。シオンを傷つけた駄犬は保健所で抹殺しないとね?」
母と姉はふふふっと悪巧みを始めた。
そんな会話を聞いている者がいた。
「にゃにゃにゃーん!」
『シオンが傷つけられただと!?』
貴婦人な猫モナークであった。
モナークは『扉を開けて』屋敷に入るとシオンの部屋に向かった。
部屋に入るとシオンはベッドに寝転んで泣いていた。
「にゃ~ん」
『大丈夫かい?』
「も、モナーク、どうして部屋に・・・ううん、慰めてくれるの?」
モナークはシオンの頬をペロペロと舐めた。
「私、自分なりに頑張ったつもりだったんだ・・・それが全部無駄になったと思うと悔しくて」
「にゃにゃ~ん!にゃにゃにゃおーん」
『元気を出すんだ。シオンには元気が似合うにゃ』
シオンはモナークを抱き締めるといつの間にか眠ってしまった。モナークはシオンを起こさないように抜け出すと庭に出た。
「ニャーーーーン!!!!!」
モナークの叫び声に周囲の猫が集まり、モナークを前に猫たちが整列して座った。
シオンが見たら感激する光景だっただろう。
モナークは、『ケットシー』と言う猫の進化した種族である。
人語を理解し、魔法も使える。
しかし、はるか昔に人間に乱獲された過去があるために、身を守る為に今は普通の猫として過ごしている。
そしてケットシーの魔法は多岐に渡り、今回は猫達の知性を高める魔法を使った。
「にゃにゃなうー!!!!」
『我、主人であるシオンが傷つけられた!』
「にゃおう!!!!」
『決して許せることではない!』
「にゃにゃにゃーん!にゃるん!」
『シオンに変わって、復讐するぞー!』
「「「にゃーーーーん!!!!!」」」
『異議なし!!!!』
魔法で知性の上がった猫達は同意した。
モナークはザーク伯爵子息という、たまに屋敷に来ていた人物が悪い!と説明して、イーヌ家に向かった。
庭で行われていた『猫集会』を見ていた母と姉は悪巧みも忘れて猫集会に目を奪われていた。
「なんて可愛いのかしら」
「はぁはぁ、可愛すぎる♪」
猫好きはシオンだけではなかった。
使用人達もモナークの前に整列して、ニャーニャーと言っている猫たちに仕事も忘れて見守っていた。
目が覚めて後から猫集会のことを知ったシオンにずるい!と拗ねられるのは少し後になってからである。
「でも、やっぱりモナークがここの猫たちの王様なのね」
「そうみたい。でも可愛いから何でもいいわ♪」
ほのぼのとしたニャンコ伯爵家とは対照的に、その日からザークの周りで不運が続くようになる。
その日の夜に、両親が帰宅してザークの両親はお茶会の話を聞いて激怒しボコボコに殴った。
「この馬鹿者が!あれほどお前に尽くしてくれているシオン令嬢になんてことをしたんだ!」
「婚約者とのお茶会に他の令嬢を呼んでシオンさんの席を奪うなんて信じられないわ!」
母親からも非難されてザークは言い訳を重ねた。
「ひ、しかし、シオンとの婚約を破棄して侯爵家の令嬢を迎えた方が我、伯爵家にとっても良いことではないでしょうか?」
殴られて上手く喋れないザークだったが何とかそれっぽいことを言った。
「・・・本気で言っているのか?侯爵家と言っても三女だぞ?甘やかされて育ったあの悪評のある令嬢をうちに迎えてもデメリットしかない。そもそも、お前、うちの名産を知っているのか?」
「馬です。それくらいは知っています」
「なら、トラノコ侯爵家の名産を知っているか?あそこも『馬』だと知っていたか?」
「えっ???」
父親である伯爵はため息をついた。
「貴族の婚姻はお互いの家に利益があるかで結ぶことがほとんどだ。うちは荷馬車用の力強い馬を名産にしているが向こうは足の速い軍馬が名産だ。商売では住み分けているが、向こうと繋がってもメリットは薄いのだ。そもそも──」
「し、しかし、格上の侯爵家と縁を結べれば・・・」
父親と母親は残念な子を見る目で見た。
「お前は当主教育を本当に受けているのか?そもそも、うちは王族派だぞ?」
「それは知っていますが?」
再び二人は深いため息を吐いた。
「トラノコ侯爵家は貴族派だ!馬鹿者!!!!」
!?
王家を敬う王家派と貴族を優先しようとする貴族派で長年揉めているのだ。
よほどの理由がなければ対立派閥同士の家での婚姻はない。
「待てよ?ならどうして令嬢はうちのバカ息子に近づいた?」
「確かに変ね?あちらのお嬢さんもバカなだけであればいいのだけど・・・」
そこで二人はハッとなった。
バカ息子が、当家の機密情報を話していないか追求したが、バカゆえに聞かれても答えられなかったそうだ。
「しばらく貴様は部屋で謹慎していろ!向こうには私がお詫びに伺う。ザークよ!婚約破棄されるのは貴様の方だからな!慰謝料は貴様の資産から出す!」
!?
「そんなっ!」
「当たり前でしょうに!」
ザークの意見は全て無視され、部屋に閉じ込められることになった。
そして次の日の朝──
「うわぁぁぁぁ!!!!!?」
枕の横にネズミの死骸が置かれていて悲鳴をあげた。
「な、ななな!どうして?」
その時は偶然迷い込んだネズミが死んだのかと思った。
しかし不可解なことは続いた。
ベッドのシーツが泥だらけになっていたり、くしゃみを誘発する草が部屋に置かれていたり、机には猫じゃらしの草を並べて復讐の文字が書かれていた。
「これは偶然じゃない。誰かが部屋に忍び込んでいる・・・」
ザークは寝ているときいつでも殺せるってメッセージなのではと、シーツを被って震えながら過ごす日々が続いた。
その頃───
「にゃにゃにゃん」
『だいぶん怖がっているな』
モナークが魔法で窓を開けて、部屋の中に嫌がらせを置いているのだ。仲間の猫達に色々と調達してもらってだ。
「にゃーん!にゃにゃ」
『これで少しは後悔するにゃん』
そしてまた庭で『猫集会』が開かれた。
「にゃーん!」
『聞け!みんな!』
「にゃにゃにゃにゃーん!」
『奴は我々の嫌がらせに恐怖して憔悴している!』
「にゃん!?」
『それは本当か!?』
「にゃん、にゃにゃーん!」
『我々の勝利は近い!』
「にゃーん!にゃにゃにゃん!!!」
『最後の決戦に挑む!!!』
「「「にゃーーーーん!!!!」」」
『異議なし!!!』
今度はシオンも猫集会を観られてプルプルと余りの可愛さに震えていた。
「どうしましょう!うちの猫達が可愛すぎます!」
「わかるわ!」
「うんうん!モフモフしたい。なでなでしたい。ああ、もう!堪りませんわ!」
母や姉まで加わり、猫達の可愛さに悶えていた。
その夜だった。
すっかり目の下にクマができて眠れなくなったザークはシーツを被り震えていると──
窓が開き風が入ってくるのを感じた。
『嘘だろう!窓には鍵がかかっていたはずだ・・・』
恐る恐るシーツから顔を覗かせると、そこには暗闇に光る無数の『眼』があった。
「うぎゃーーーー!!!!!!!」
ザークは余りの怖さに悲鳴をあげて失禁して気絶するのだった。
翌日、ザークは心身共におかしくなったために、田舎の領地で療養することになった。
すでにシオンとの婚約は解消されており、侯爵家の令嬢もこのバカは役に立たないと、訪ねてこなくなっていた。
「あ、モナーク!」
シオンは庭でモナークを見つけて手招きした。
「最近は何だか良いことが続くの。モナークは幸運の招き猫かも知れないわね」
シオンはモナークの頭を撫でで喉も撫でた。モナークは喉を鳴らして喜んだ。
「ゴロゴロ、にゃーん」
『主人が元気になって良かったにゃん』
こうして母や姉が仕返しする間もなくシオンを傷つけた婚約者は消えて、ニャンコ伯爵家には多くの猫の鳴き声が聞こえてくるのでした。
【END】
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【あとがき】
最後までお読み頂きありがとうございます。
その他にも『多くの小説』を投稿しているので読んで頂けると嬉しいです。
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