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9 エピローグ

 香奈が静江と通ってた中学校を3年振りに訪れた日から、香奈は過去からの呪縛が緩んだのを感じた。

振り返るのを恐れ、それまで心の奥底に押し込んで、あの鏡の真相を調べる事を避けていた香奈は『何故、あの学校のトイレの鏡は、いつまでもあそこに在るのか』と思ったのだった。

(学校側も『あれが原因』だと、知ってるのに何故だろう・・・。)か・・・と。

それで香奈は、その事をネットで調べたりした。

それで分かった事は、どうやら先日の事件をきっかけに『あのトイレのドアは完全に封鎖された』という事だった。

香奈は(それなら・・・、最初の事件があった後に・・・いや、せめて二人めの行方不明の生徒が出た時にそうしてくれてたら・・・静枝は、助かってたのに!)と、強く思った。そして、そうしてくれてたなら、自分があの鏡の中に静枝や他の生徒を置き去りして逃げてしまったという後悔に苦しむ事も無かっただろうに・・・!と、悔しさが込み上げ涙が止まらなくなったのだった・・・。


 それで香奈は、事の真相を知りたい一心で、中学2年生の時の担任を探して、なんとか電話で話す機会を得たのだった。

その時、香奈は、どうしても我慢できずに、当時の担任を責めるような事を言ってしまった。

それはやはり「なぜ、もっと早くに、あの鏡を壊すか、どこかに無くしてしまわなかったのか!?」と言う事だった。

しかし、それに対しての答えはこうだった。


 実は、あの鏡は、一人めの生徒が行方不明になる前から、校内では不気味な噂が絶えなかった。それで、当時の校長は、あの鏡を撤去するように用務員に頼んだのだが・・・。

その用務員が作業に向かう途中で心臓発作で倒れてしまい、そのまま死亡した。

最初それは、単なる事故だと誰もが思った。

しかし、その数日後。

新たに赴任した次の用務員が、あのトイレの鏡を撤去する事になったのだが・・・同じく、心臓発作を起こし死亡したのだった・・・。

これは、偶然であったのかも知れない。

しかし、次に起きた事は、必然と言っても良かった。

「いや、それも偶然だ。」と言った者が居たとしても、その者が自ら進んで、あのトイレの鏡を撤去する事など、しようとはしないだろうと言える事が起きたのだ。

それは、2人目の用務員が死んだ、その翌日に行われた全校集会での事だった。

立て続けに起きた二人の奇妙な急死によって広がった噂。

それに因って引き起こされてる生徒の不安を払拭しようと、校長自らが壇上の机を前にしてに立ち、マイクを通して生徒達に向かって話してる途中だった。

校長は突然、胸を押えて苦しみ出したので、体育館は騒然となった。

AEDも使ったし、救急車も呼んだが間に合わなかった。

校長は心臓発作によって、その場で死亡したのだ・・・。

それから教職員は、あのトイレの鏡は無闇に触れてはならないと考えた。

いわゆる『曰く付き』となったのだ。

しかし不思議な事に、学校が開かれてる昼間は、それまでも生徒達は普通に使ってるトイレであったし、その事件の後にトイレを封鎖するのは、かえって不気味な噂を学校側が認める事になり、それは又、かえって生徒達の不安を助長させる事になるのではないのか?となり、それで『夜や、学校が休みの期間は、トイレを使えないように閉鎖しよう』との結論になったと言うのだ。

その結果、香奈と静枝が見た『ロープでトイレのドアを縛って止める』という方法が、先日まで、ずっと取られて来たのだろうとの事だった・・・。


 香奈は、もと担任から、そうした話を訊いて『そうだったのか。』と、思う反面『もっと早くに、あのトイレのドアをしっかりと閉鎖してくれてれば・・・。』との思いが複雑に絡み合った・・・。


もと担任との電話での話が終わった後、香奈は、世の中には『曰く付き場所』や『触れては成らない物』・・・或いは『語る事すら、不吉な者を呼び寄せる事になる』と云われる事があるのだと思った。

そして、そうした場所が、あの日の二人の間近にあった事の不幸を、呪わずには居られなかった・・・。



 終わり









『 余 談 』


 昔の人は、左右が逆に映る鏡には『真実を映し出す力が宿っていて、それは時に異世界と繋ぐ空間を作り出す』と考えられていた。

それ故に、手鏡には蓋があり、使わない時にはそれをしたし、置く時には裏返した。

それは、破損から守ったり、汚れを防いだり、反射による火災等の事故を防ぐためだけでは無かったのでは無いだろうか・・・?

鏡台や姿見などは、使わない時は幕が掛けられ、辺りの物を映さないようにしていた・・・。

そうした風習は、現代の様な鏡の保護や、太陽光の反射を防ぐ、という目的だけでは無かったのではないだろうか・・・?


 しかり、科学が進んだ今でも、何の変哲も無い筈の鏡にも、謎の力が宿っていると考えられている・・・。

そもそも鏡が象を映すという事は『光子(以外のものも含めて)を反射』してると言う事であり、鏡の前は、周囲よりも光子の量が多くなるのだ。

更に合わせ鏡をしたならば、向かい合った鏡の間には、それ以外の空間の2倍近い光子が行き交ってる事になるのかも知れない・・・。

それは明らかに、周囲とは違う空間を鏡は作り出してると言う事になるのでは無いだろうか?


目(眼)で見る事を「目に映す」とも言う。

では、鏡は?

ただ辺りの風景を映してるだけなのだろうか?

鏡も、もしかしたら・・・。


もしかしたら、そうした事は今の科学を越えた超科学が発達した遥か未来に解き明かされるのかも知れない・・・。




 あなたも、特に身の回りの鏡は、気を払って扱って下さい。

      『自分の身を案じるならば』ですが・・・。




クワバラ クワバラ ・・・。

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