7話「また会えました」
「来てくださったのですね! 良かった、また会えて。嬉しいです!」
場違いゆえの居づらさはローゼットと再会できたことで一気に吹き飛んだ。
周囲の女性たちはどこか私を馬鹿にしているような雰囲気があるけれどローゼットはそんなことはなくて、むしろ好意的に接してくれている。
「お久しぶりです」
「断られるかと思いましたよ」
「正直なところを言うとどうするか迷いました……私なんて、ちょっと、場違いな気がして」
食事会の会場となるのは城内の広間だ。
高い天井からシャンデリアがいくつも下がった、きらびやかを絵に描いたような部屋である。
そこに美しく華やかなドレスをまとった女性たちが多数入ってくるのだから、これまた室内の空気が華やぐ。
「素敵なドレスですね」
「え、あ……その、それほど高級なものではなくて……」
「よく似合っていますよ」
ローゼットがそんな風に褒めるものだから、周囲から冷たい視線を向けられてしまった。
ちょっと気まずい。
先ほどまでとはまた違った種の気まずさがある。
やがて食事会が始まる。
出された料理はどれもとてもおしゃれかつ美味で「さすがは王城でのイベント!」と叫びたくなるようなものばかりだった。
空間には艶やかな女性たちの話し声と食器が触れ合うような音だけが響いていた。
残念ながら友人はできず。
黙々と食事を楽しむだけになってしまった。
でもまぁそういうのもたまには悪くない――何より、美味しいものをたくさん食べられるというのは非常に嬉しいことだ。
「見た? あの子、一人でいたでしょ、ずっと」
「そうねぇ。友人がいないんでしょうねぇ。ま、急遽呼ばれたみたいだし、それで普通なんじゃなぁい? うふっ」
途中、周りの女性から少しひそひそ話をされてしまったりはしていた。
「よく来られたわね、勇気だけは一人前だわ」
「それそれ~」
「一人ぼっちでかわいそぉだわねぇ」
「身の程をわきまえないからそんなことになるんだってば」
「それよね~」
「断れば良かったのにね」
でも気にしないようにした。
そんな小さなことを気にしても仕方ないと思ったから。
言いたい人は好きに言っていればいい。
――食事会が終わりを迎える頃、ローゼットは再び私のところへやって来た。
「ラスティナさん、少し良いですか?」
「あ、はい」
「よければこちらへどうぞ」
「え、そ、そっちに行くということですか……?」
「そうです」
隣の席の赤いドレスの女性が一瞬睨んできた。
……怖ッ。
「分かりました、では行きますね」
周囲からの視線が刺さる、痛い痛い。
でもだからといって断ることもできないし断るつもりだってない。
気にしていては何もできない。
自分にそう強く言い聞かせて。
誘われるがままに、ローゼットと歩き出す。