『あの人の後を・・・』『でさえ ースイスゆきー』
あの人の後を・・・
安岡 憙弘
天然記念物ものの女の子がいた。ツリースという女の子である。彼女はこの場かぎりの生き方はぜったいにしたくなかった。何故なら彼女は歴史上の先人を、先人ののこした業績を継ぐことを大切にするという今どき稀有な存在だったから。常に先人を大切にする。それが彼女の信念であり美しい生き方だった。
でさえ ースイスゆきー
愛娘のKEIKOが空港まで見送りにきてくれているのを私は胸が詰まるおもいで見据えていた。KEIKOはあどけなく手すりにぶら下がり私をみている。さらばむすめよ。私はスイスへと旅立つ。しかし男には1人でしなければ、一時的にお前でさえも捨てなければならないときがあるのだ。これが私の人生、与えられた道だから。