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54 続・夜襲の巻き


 二度の夜襲を切り抜けた半荘は、ボートを見送ると基地へと戻った。


「こんな時間に出たり入ったりして、何してるの?」


 半荘が基地に入ると、ジヨンが仁王立ちで待ち構えていた。


「悪い。起こしちゃったか」


 素直に謝る半荘。

 しかし、半荘はかなり静かに出入りしていたので、少し不思議に思っている。


「いつ襲い掛かって来るのか、待ってたのに……」


「はい??」


 ジヨンの唐突の発言に、半荘は声が裏返ってしまった。


「男と女がひとつ屋根の下に居るんだから、わかるでしょ~?」


「な、何を言ってるんだ!?」


「照れちゃって~」


「照れてない!!」


「あははは。冗談よ」


 どうやらジヨンは、半荘をからかっていたみたいだ。

 あたふたしていた半荘が、その事に気付いて文句を言おうとしたら、笑っていたジヨンは真面目な顔に変わる。


「銃声がしたじゃない? それから眠れなかったの」


「あ~……」


 半荘は、ジヨンが自分の肩を抱く様を見て、掛ける言葉を選ぶ。


「不安にさせてしまったか。でも、危険は去ったと思う」


「そう……」


「眠れないなら、話に付き合うよ」


 それから食堂で温かい飲み物を飲みながら、半荘は夜襲の件を説明し、ジヨンに大丈夫だと言い聞かす。

 どうやらジヨンは自分の安全もそうだが、半荘も心配していたようだ。

 そうしてジヨンの気持ちが落ち着いたのだが、またしても半荘の危険察知に反応があった。


「まただ……」


「また来たの?」


「まったく、韓国って国は、人の迷惑がわからないものかね?」


「ホントに……次の更新では、夜は来ないように言わなきゃね」


 ジヨンの迷惑そうな顔を見て、半荘は笑う。


「あはは。次は、俺がジヨンを撮ろうか」


「あまり顔を出したくないからやめとくわ」


「ジヨンなら、きっと人気が出ると思うんだけどな~」


「さっきからかったお返し?」


「本気でそう思っただけだ。それじゃあ、ちょっと行って来るよ」


 真面目な顔で言うものだから、ジヨンはほんのり顔を赤くしたが、半荘は気付かずに基地から出て行くのであった。



 ボートの上陸地点近くに移動した半荘は海を走り、ボートに乗り込んで、乗組員を全てロープで拘束してしまう。

 そして、ボートで身動きが取れなくなっている乗組員を一人だけ残して気絶させ、愚痴を言う。


「こんな夜に来られると迷惑なんだよね。もうちょっと時間を考えて来てくれないか? って、韓国語じゃないから通じないか」


 喋り掛けたにも関わらず、自分でツッコみながらボートを操縦しようとする半荘。

 だが、乗組員から意外な反応が来た。


「待て!」


「ん? 日本語、話せるんだ。じゃあ、さっき言った事は伝えてくれな」


「我々は日本人だ!」


「日本人??」


 半荘は男の顔をじっくり見るが、鼻で笑う。


「ハッ……芸が無いね~。さっきの奴もそう言ってたよ」


「さっきの奴?」


「名前を聞いたのに、フルネームで言えなかったんだぜ。ちなみにお前の名前は?」


「海上自衛隊、1等海曹、鈴木一郎だ」


 鈴木と名乗った男は、日本人だと信じやすいように階級まで名乗る。


「おお~。今度の奴はまともな事を言ってるな」


 だが、二度の夜襲にあった半荘は、信じようとしない。

 なので鈴木は、物証を持って証明しようとする。


「そこに畳んである布を広げてみろ」


 半荘は鈴木の言葉を信じたわけではないが、視線の先にある布を広げる。


「よくわからないけど、旭日旗か?」


「そうだ。それでこのボートの意味がわかるだろ?」


 旭日旗……日の丸の国旗とは別に、軍艦等に取り付けられる、民間の船と区別させる国旗だ。

 それを見た半荘は鈴木の言葉を信じ……


「鈴木(仮)、アウトー! 銃もそうだが、こんな物を持ち込む時点で韓国確定だ!!」


 ……ない、半荘であった。


「だから違うと言ってるだろ! わ! そっちはマズイって!!」


「お仲間が助けてくれるよ。それじゃあな~」


 そして韓国艦隊に向けて、ボートはフルスロットルで走り出すのであった。


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