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30 忍チューバーVS特殊部隊の巻き


 パパパパ!


『ぎゃ~~~!』


 パパパパ!


『ぐわ~~~!』


 軍用ヘリから、基地の屋根に向けて降下する韓国特殊部隊の隊員は、自動小銃を撃ったり、悲鳴をあげる。


『な、何が起こっているんだ!?』


 その騒音を確認するために、隊長は降下した隊員に無線で連絡を取るが、誰からも返事がなかった……



  *   *   *   *   *   *   *   *   *



 時は少し戻り、ヘリが基地の上空に来た頃には、半荘は屋根の上に立っていた。


「あ~あ……俺が居るのに、気付かず降りて来てるよ……」


 残念そうにヘリを見上げる半荘は、小さく呟く。


 特殊部隊が気付いていない理由は、半荘が忍術を使っているからだ。

 だが、たいした忍術ではないから、半荘は呆れている。


 使っている忍術は、ただの【隠れ身の術】。

 屋根の色に合わせた布を被っているだけだ。

 それでも、明かりの乏しい夜とあり、特殊部隊は半荘に気付かないで降下している。


「どれが一番速いかな~? アレだな!」


 半荘は、狙いを決めて、降下する隊員の真下まで移動する。

 そして頃合いと見ると、大ジャンプ。


 半荘の垂直跳びの最高到達地点は10メートルを超える。

 まさかそんな高い場所から攻撃を受けると思っていない隊員は、無防備に半荘の攻撃を受ける事となった。


『な、なんだ? 糸……?? う、動けない~~~!』


 半荘の攻撃は、細いワイヤーで拘束しただけなので、厳密には攻撃ではない。

 だが、降下して地上に降りたところで、身動きが取れなくなってしまう。

 さらに、隊員のワイヤーとも結び付けているので、このまま軍用ヘリが上昇したならば、逆バンジーは決定。

 その事に隊員も気付いたのか、叫び声をあげてしまった。


 そうして数人同じ目にあわせるが、特殊部隊も馬鹿ではない。

 降下しながら自動小銃を乱射して、身を守ろうとする。

 その弾丸は屋根に着弾するが、半荘はもうそこには居ない。


 自動小銃を放った隊員の後ろに飛び、ワイヤーを巻き付けて拘束。

 そのまま隊員に抱きついて、意識まで刈り取った。


 その事に気付かずに屋根に向けて乱射する隊員には、別のワイヤーを素手で登り、高さが合うと乗り移る。

 そして拘束してチョップ。


 自動小銃を放つ者を次々と気絶に追い込んだ半荘は、ワイヤーを振り子にして、気絶していない隊員に向かい、チョップを入れて、意識を刈り取るのであった。


「ふぅ……これで全部かな?」


 降下した隊員の動きがなくなると、半荘は一息ついてから上を見る。

 そうして凄い速度でワイヤーを登る半荘は、軍用ヘリの真下まで着くと、男と目が合った。


「よっ!」


『お前は~~~!!』


 男の正体は、最後に降下しようとしていた隊長だ。

 半荘は気さくに声を掛けたが、隊長は叫びながら自動小銃を半荘に向けた。


「こりゃマズイ」


 その瞬間、暢気(のんき)な声を出した半荘は、軍用ヘリのスキッドに飛び移り、鉄棒のようにして逆側に飛び移る。

 隊長は発砲が間に合わず、下を確認しようとするが、発見できない。

 半荘はすでに扉の逆側に飛び移ったと気付いた隊長は、逆側に移動して自動小銃を構えたが、そこにも居ない。


『どこに行った!!』


 それから隊長は右往左往し、半荘の姿を見付けられずに数分が経つ。


「そっちじゃないぞ~」


 なんとかして、ヘリの下を覗き込もうと腹這いの姿勢になっていた隊長に声を掛ける半荘。

 隊長はその声に、すぐに体勢を立て直してしゃがんだ姿勢で自動小銃を構える。


「おいおい。せっかく教えてあげたのに、ずいぶんな扱いだな。あ、言葉が通じないんだったか」


 ドア付近に立つ半荘は、腕を組みながら余裕で喋る。


「お前は忍チューバーだな……」


 自動小銃を半荘に向けたままゆっくり立ち上がる隊長は、日本語で声を掛けた。


「お! 日本語、話せるんだ。ラッキー!」


「何がラッキーだ! お前はここで死ぬんだ!!」


 パーン!


 日本語が通じると安心した半荘に、突如、凶弾が放たれたのであった。


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