79 テガミ
「うぐぐぐ、があああああああ!!」
「”イズレチーチ”!」
「ありがとう、ヨクミさん。毎度魔法使わせてごめんね。」
「はいはい。そういうのは良いから、皆を治しなさい。メグミの方が一気に治せるんだから。」
2012年6月15日19時過ぎ。
死屍累々の医務室でヨクミはメグミに治療を要求する。今日の訓練が終わって全員医務室でバイタルチェックを受けている所であった。
医務室では仲間達や本来なら怪我を治療すべきスタッフ達が、全員メグミのチカラで気絶していた。
「うくく、てーい!」
妙な掛け声と共に、メグミから黄色い光が発せられて部屋を満たす。その光を受けて徐々に回復していく一同。ヨクミはホッと一息つく。
(こんなに優しいチカラなのに、どうしてああなるんだか。)
そんな事を考えるヨクミだが、勿論理由は解っている。
アケミの訃報を受けてからというもの、メグミは心が安定しない。先日の運営スタッフ一新事件を経て更に悪化し、アケミを想起させる何かがあると暴走してしまうのだ。特に無防備な寝ている時と、ここ医務室とキッチンでは危険である。
今もミキモト教授から派遣されている新スタッフに触れられただけで、赤黒いオーラが噴き出たのだ。
例の朝礼での事件は教授らの不手際として、色々不問になった。当然ながら隊員達から上司への不信感は強くなり、ソレが1番目に見えているのがメグミだった。
「まぁ、メグミがそんなだから私も暴走せずに済んでる部分はあるけど……ちょっとマズくない?」
「うん、ごめん。頭では判ってるんだけど……」
「謝らなくていいわ、無理もないもの。でも心の治療は専門家に頼んだほうが良いんじゃない?私の魔法じゃその場しのぎだし。」
ヨクミの上位回復魔法ならキズだけじゃなく、病気や精神疾患にもそれなりに効果がある。しかし心については原因を取り除かない限りは、また蝕まれてしまうのだ。
「でももう休みもなく訓練漬けだし、そもそも今のスタッフの紹介じゃ信用もできないし。」
「それでもよ。このスタッフも毎日あなたの呪いを受けてるんだから、まともな医者を紹介してくれるんじゃない?」
ヨクミは起き上がった医者をチラ見すると、ぶんぶんと頷ていた。
「だそうよ?」
「じゃあお願いするわ。あと私達を診る医者は女性にして下さい。チカラが抑えきれないと、今度は目覚めないかもしれないわ?」
「ももも、もちろん上にはそう伝える!オレだってまだ死にたくないからな!!」
「ね、言ってみるもんでしょう?」
「そうね。ついでに精神安定剤、多めに貰っておきますね。」
ヨクミの図々しさにある種の頼もしさを感じたメグミは、ぐいぐいと要求を突き付けてみた。
「いやそれは――ひぇっ!用法用量は守るようにな!!」
無言で脅迫された医療スタッフの男は、転属願いをだして却下されるまでがセットであった。
…………
「それで、真相を知りたくて来たと言うわけじゃな。」
「はい、絶対にあの2人は世間で言われるような結末を迎えるはずは無いですから!」
6月16日。ショウコはゲンゾウの自宅へ訪れていた。
まるで貴族のような立派な応接間のソファーに座る彼女は、その柔らかい座り心地を気にもせずに前のめりで対面のゲンゾウと話していた。
「ワシは確かに特殊部隊に投資をしておるが、この件については言えることはないのじゃよ。」
「貴方はかなりの情報通のはずです。財産だけでなく、恐らくはチカラも!なにか手がかりはないのですか!?」
「のう、ショウコさん。そういう事はおおっぴらに叫ぶものではないぞ。人払いしているとはいえ妙な事に巻き込まれないとも限らんからの。」
「う……すみません。」
「実はな、ワシはよく知らんのじゃが情報が無いわけではない。」
「どういうことですか!?」
「うむ……じゃがこれを知れば君の行動次第では非常に危険だというのを理解した上で受け取ってほしい。ああ、触るときにはチカラを籠めてな。」
もったいぶって目の前のテーブルの上に、簡素だが不思議と上質な封筒が置かれる。それを拾い上げようとするが指がすり抜ける。今度は言われた通りに精神力を込めた手で触れると手にすることが出来た。ショウコはまず、外観を改める。
「これは……え!うそ!?」
宛先は自分、差出人はアケミだった。
「それはな、つい先日極秘のツテによってワシに届いたのじゃ。」
「つい先日って……これを書いたのは本当にアケミなんですか?」
「何とも言えぬ。配達人曰く、君がここに来たなら渡してくれと言われただけでな。それに君以外ではそれは開封出来んはずじゃ。」
「は、拝見させていただいてよろしいですか?」
「勿論。じゃが先程も言ったが、危険が伴う。覚悟した方が良いぞ。」
「ゴクリ。そ、その配達人についてお聞きしても?」
「ダメじゃ。答えられぬ。知れば今の生活はなくなると思え。その紙の材質がオカシイ点からも察してくれ。」
その封筒はチカラを込めないと持つ事すらかなわない。ショウコの常識外のシロモノであるのは確定である。
「あうう。凄く読みたいのに怖くなってきました。ええい、女は度胸よ!」
封筒を開けて中の便箋を取り出すと……読めなかった。チカラを入れ過ぎて透明になってしまっていた。ステルスの発現を取り消すと、徐々に読めるようになる。
親友のショウコへ。この手紙が届く頃には私は……遠い場所の病院で医者をやってる事でしょう。
「ホワッ!?どういう事!?あ、でもこの勿体ぶった感じはアケミっぽいけど……」
なんてねー。驚いたかしら。あ、医者をやってるのは本当よ。私が居なくなった後、世間ではどういう扱いになってるのかしら?あまりケーイチさんを悪く言わないでくれたら良いな。
「え?えええ?アケミって今、どういう状況?」
(……それはワシも気になるところだな。)
思えばショウコには助けられたわねー。貴女が居なかったら絶対大学なんて辞めてただろうし、ありがとうね。相談にもいっぱい乗ってもらったし、感謝してるわ。
「それはお互い様じゃない。水臭いわね。」
そうそう、ちょっと良い役職貰ってね。ショウコが死んだら口利き出来るから恩返しするわね。あ、でも私の転生の方が早かったら無理かも。
そんな訳であの世か来世で会ったらまたお酒飲んで朝までお喋りしましょう! ショウコに良い人が出来たらその冥土の土産話を肴にしてね。待ってるわ!
あの世のモモイロジャック・アケミより。
「縁起もセンスも悪すぎでしょ。なによこれ、アケミに関わると……もう、本当にッ……退屈、しないわね……」
明るく書かれたそれには明確に死のイメージが有った。
どんなに明るく振る舞った文章にしてあっても、アケミの死は確定である。
そんな彼女がどんな方法を使ったかは知らないが、こうして最後の挨拶をしてくれた。親友としてとても嬉しく感じるショウコであった。
追伸。大丈夫とは思うけど一応書いておくわね。
特殊部隊とその運営には絶対に関わらないでね。もし私達の事で首を突っ込んだ場合、すぐに私と再会するハメになるわ。
あと何かあったら水星屋のマスターさんを頼ると良いわよ。
それじゃ、またね!
「ちょっと!?もう!せっかく良い話で終わると思ったのに、あの子は本当にもう……」
ショウコは切なさと嬉しさでボロ泣きしていた。
「その様子じゃと、悪い知らせでは無かったようじゃな。よろしければ内容を教えてくれても構わないかな?」
「ええ。おそらくゲンゾウさんも無関係じゃないわ。」
「どれどれ……なんじゃと!?あの世からの手紙とな……?」
「普通ならイタズラだと思うけど、この筆跡や雰囲気はまるっきりアケミそのものよ。」
「ふむ、となると気になるのはこの追伸部分じゃな。あやつを問いただして……まあ、それは後で良いか。ショウコさん、これはお返ししよう。そしてその手紙、恐らく霊体で作られておる。胸に押し付ければ、心の中に色褪せぬまま保存出来るじゃろう。」
「そんなことが!さっそく……わー!不思議な紙ですね。」
それを胸に押し込んだ瞬間から、ショウコは自分の胸のモヤが晴れていくのを感じていた。
「会長さん、ありがとうございます。これで私は私らしい生活に戻れそうです。」
「うむ。今の君なら変な気を起こすこともないじゃろう。健やかに過ごすと良い。出来ればワシのサークルでまた、活動してくれると助かるのじゃが……」
「ふふ、それは考えておきますね。」
ショウコは往路とは違った足取りで自宅へ戻るのであった。
…………
「これは……夢?でも昨日までの悪夢とは何か違うわね。」
同日夜。ヨクミの魔法と精神安定剤を服用して就寝したメグミ。
彼女はアケミとの幸せな毎日の後、惨たらしく死んでいく悪夢を見ていたが今夜は少し違うようだ。
なにもない白い部屋。広さは10畳くらいだろうか。
そんな中にひとりでぽつんと存在している。そんな夢。
「メイセキムっていうんだっけ。昨日までは起きるまで自覚できなかったのになんでかな?平和なのは良いけどこれはこれで謎ね。」
ふらふらと部屋の中を彷徨いながら、それでいて何もない空間にどうしたものかとメグミは首をかしげる。
ピンポーン。
「はーい!ってええ!?」
どこからかインターホンの呼び鈴が鳴り、反射的に返事をするが困ったことにドアは無い。それどころかこんな場所で不明な相手に思わず返事をした自分の迂闊さに驚くメグミ。
自覚があるとは言えここは夢。ガードが甘くなってるのだろう。
「え、なになに!?穴があいた?」
メグミの目の前で空間に黒い穴が開く。その穴の外周には白い光が輪郭をなぞるように発せられていた。
「こんばんはー、あなたがメグミちゃんかな?私はマキ!
愛とドルセの使者、マキミヤ・マキよ!」
「マキ……マキ?」
「マキマキって言うな!」
その空間の穴から出てきたのは、白衣姿の女医だった。彼女はステレオタイプの付属品をふんだんに着込んでおり、メグミはその赤毛の女医の登場に目を丸くする。
ちなみに空間の穴は彼女の顕現とともに消えている。
「えっと、これは私の夢よね?なんで知らない人が……」
「はいそこ、深く考えるとハゲて彼氏に嫌われるわよ!」
「!!」
「まあ、私は彼氏なんて居たこと無いけど。」
「もうマキマキさん、あなた一体何なんですか!?」
「マキマキ言うなし!良いじゃないアイドルが人生でも……ってそんな話をしにきたわけじゃないわ。メグミちゃんに渡すものがあるの。これよ。」
彼女が白衣から取り出したのは1つの封筒だ。
「手紙?だれから?」
「えっと?貴女の弟子であり師匠であり人生の先輩って書かれているわね。」
「そ、それを……それを寄越しなさあああああいッ!!」
ブワッ!
「ひえっ!何この子、オバケ!?」
怪しい光を放つ目と、赤黒いオーラをまとったメグミがマキに襲いかかる。マキは完全にビビって震えている。
「ヨコセェェェェエエエエ!」
ガイン!
「ヘブンッ!」
次元バリアに阻まれて白い床と浮気キッスを経験するメグミ。ちょっと刺激が強かったせいか、顔を両手で抑えて転がる彼女。
「そんなに慌てなくても渡すわよ。そのために来たんだし。そんなにがっつくと彼氏のアレが縮み上がるんじゃない?」
「うぐぐ……」
ちょっと心当たりのあるメグミは悔しいが何も言えない。渡された封筒を受け取り、何度も裏表を確認してから封を開ける。
「あ!その便箋は特別製らしいから、胸に押し付けると貴女の心に永久保存されるみたいよ。目が覚めたら無くなっちゃうから必要ならそうしてね。」
「え!?なにその不思議手紙!てかやっぱり夢よね!?何がどうなってるのよ……」
「それじゃ、確かに渡したからね。いい夜を~。」
マキは手をひらひらさせながら、新たに現れた空間の穴に消えた。
「さすが夢ね。何が何だか分からないわ。とにかくこの手紙を読んでみましょうか。」
こんばんは、メグミちゃん。おひさしぶりです、アケミです。
元気にしてますか?気に入らない人をあのオーラで溺れさせたりしてませんか?
「はうっ!読まれてるわね。いや、これは私の夢なんだし、きっと私の脳が生み出した理想の形よ、きっとそうよ!」
私はあの日の後、すっごく遠くて不思議な場所で患者さんを診ているの。そう、俗に言うあの世で再就職したのよ。
この手紙もそこで書いたものだから、きっと不思議な効果があると思うわ。
「あの世!?就職とかあるの!?」
こっちだとお料理が上手く行かなくてね、結局またスライム祭りに逆戻り。メグミちゃんにせっかく教えてもらったのに残念だわ。
でもこっちに来る前はケーイチさんにたくさん食べて貰えたからそれは感謝してるわ。お料理教えてくれてありがとうね。
自炊はまだまだだけど、閻魔様に美味しい食堂をいくつも教えてもらえたから、メグミちゃんが来たら紹介してあげるわね。
地獄の沙汰も金次第って本当だったから、一杯稼ぐと良いわよ。
本当は一緒に水星屋で食べるのが密かな夢だったんだけど、それは暫くは無理そうだし。
「あ、ああ……この感じ。予想出来ないこの感じは……」
そんな訳で割と楽しく充実した毎日を送ってるの。だからその、あまり私の事で泣いたり溺れさせたりしないでね。
メグミちゃんは笑顔が1番なんだから!
私のことはこの辺で良いとして、メグミちゃんについて書くわね。
メグミちゃんはもう、1人前の治療の腕を持ってるわ。もちろん細かい知識や技術は一生掛けて勉強する事だけど。私が医大で学んだ事を訓練の合間に覚えちゃうんだから、あなたの才能は私が保証するわ。
だからね?特殊部隊に拘る必要は無いと思うの。
もちろんユウヤくんを支えたり、ヨクミちゃんのコトとか色々あると思うわ。でもそれはそれとして、自分の人生もしっかり考えて行動することをオススメするわ。
貴女は自慢の弟子であり師匠であり人生の後輩なんだから、これからはこっちから見守ってるから安心してね。
あ、ごめん。嘘ついたかも。こっちの仕事が忙しくてあまり構ってあげられないわ……どうしよう?
「うう、グスッ。どうしようと言われても私も困るわよぉ。ヒック、でもこの文章の、雰囲気……アケミさん、よね。」
私とケーイチさん、そして例の人について世間ではいろいろと言われてると思うわ。でもそんな事より、自分の中の気持ちを大事にしてね。
もし辛かったらユウヤ君と一緒に何か行動してみるのも手よ。例えば彼にお化粧を覚えて貰ってメグミちゃんに施してもらうとかね。きっと前より効果があるはず。
それでね、私のこうなった原因とかは絶対に気にしない事!私は幸せのまま彼に見送って貰えたの。これ以上無い幸福な人生を貰ったわ。だからこれ以上ほじくり返してほしくないの。
だからね、さっきも書いたけど、自分の気持ちと将来を大事にしてよく考えて生きてね。いつかこっちで会えるのを楽しみに待ってるわ。その時にはユウヤ君との思い出話を聞かせてね。
「う、うう。うわああああああああん!!」
メグミは1人だけの空間で、泣き叫びながら手紙を抱きしめる。それは彼女の心の中に吸い込まれ、アケミが手紙を書いた時の心情が自分に雪崩込んでくる。
「あああああああぁぁぁ……」
それは更に感情を揺り動かし、涙となって溢れ出るのであった。
「……あさ?」
6月17日朝。昨夜は悪夢とは違うがとてつもない夢を見て、未だ心の整理が上手くついてない状況だ。
そして現実では日曜の朝であり、今日も訓練が待っている。
「まずは今やれる事をやり遂げて、それからね!」
胸のあたりで拳をキュッと握ると勢いよく立ち上がる。
「ぶぇっ!」
隣で寝ていたユウヤは、腹のあたりを踏まれて変な声を出した。
…………
「昨夜、いい夢を見たよ。アケミから手紙が届いて……」
「まぁ、あなたも!?」
「父さんと母さんも!?」
日曜の家族揃っての朝食。この日、アケミの実家の食卓には
ひさしぶりに穏やかな空気が流れていた。
…………
「そろそろ手紙、届いた頃かしら。」
「心配するな。昨日の夜までにほとんど終わったようだぞ。」
同日午前。アケミの職場であるあの世の治療室に、閻魔様が鏡を見ながらやってくる。真実を映し出すレア鏡だ。
「それはよかったわ。うん?ほとんど?」
「水星屋宛の物はまだ開封しておらんようだ。彼らは焦る必要はないだろう。他の者達には夢を通したりして心の中に永久保存されておる。これならアケミの遺志は残り続けるであろう。」
「はえー、そんな事が出来るんですね。ありがとうございます。」
「なに、構わんよ。それよりなにか問題はないか?」
「問題と言うか。私がこの仕事について以来、変な魂しか送られてこないのですが……どれも欠損されてて私のチカラでないと修復できないような者ばかりです。」
「うむ。恐らくマスター絡みの犠牲者だろう。彼の怒りを買ったか、もしくは彼の子供達が利用されたか……どちらにせよ気分の良いものではないし、気負わずにじっくりやると良い。」
「子供達……魔王事件の?そんな、こんなにたくさん!?」
治療室には順番待ちの魂のカケラが山積みになっている。
「あの者もこの者達も、思えば不憫な境遇よ。まぁここで言っても仕方がない。また近い内に水星屋へ様子見に行くが、おまえも来るか?」
「行きます!是非お願いします!!」
「わかった。それでは申請書を書いておくから、魂の治療を頼んだぞ。」
「はい、お任せ下さい!次の方どうぞー!!」
アケミは魂に絆創膏を貼り付けるお仕事を、今日も元気にこなすのであった。
…………
「また、夢が覚めてしまったのね。」
6月25日月曜仏滅の朝。ミズハ・シズクは目が覚めた。
寝間着も下着も纏わず、スマホを胸に抱きしめたままベッドの中でうずくまる。
「お兄ちゃん……」
スマホには兄からのメッセージが表示されており、なるべく彼を近くに感じようと毎晩このスタイルで寝ている。寝る前に兄の写真を眺めるのも日課である。
彼女の兄シラツグは仕事中に現代の魔王に襲われ、死亡扱いの行方不明となった。遺体が残っていればもう少し素直に悼む事が出来たのだろうが、それも出来ない。
彼は職場ごと消滅しており、スマホの最後の電波は職場内からだったのが判明して絶望的である。
気を抜くと数時間はそのまま経つほど無気力になり、気持ちを籠めると兄の事を想い心の痛みが襲ってくる。涙は枯れるほど泣いたがそれでも絞り出されてくる。
「なんで、こんな事に?私はもう、笑えなくなっちゃった。お兄ちゃんに笑ってあげたいのに……」
現実から遠ざかろうと、再び意識を沈めようとする。
しかし母が起こしに来てそれも叶わない。
「あ、でも。あの高校には入らないと……」
シズクはなんとか起き上がって服を着始める。
兄とのデートで遊んだ隣町。楽しい思い出が詰まったそこなら自分を埋めるなにかがあるかもしれない。
不健全で後ろ向きではあるが、一応はまだ生きていく理由を
見つけていた彼女。スマホの兄の写真を開いて画面にキスをするとリビングに移動するシズクだった。
…………
「「いらっしゃいませ、水星屋へようこそー!」」
「こんばんはー。」
「こちらのテーブル席へどうぞー!」
7月7日深夜。営業終了した水星屋に現れたサクラ。アオバも
先程までは家族揃って今夜のイベントに参加していたのだが、今は入れ替わりでモモカの面倒を見に地球へ帰っている。
「はい、おまちー!」
セツナは間髪入れずにホットミルクと鳥レバニラ炒め、ほうれん草のソテー等をテーブルに並べる。産後のサクラを気遣ってのメニューであるが、作ったのはキリコである。
マスターは厨房で挙動不審になってるので、まずは放っておく。
「セツナも立派になったな。最初に会った時なんて、こんなに小さかったのに。」
出産を経たサクラはオトナモードでセツナに声を掛ける。
「えへへー。でも覚えることが多くて、まだまだ修行中です!」
「もっちゃんが最初に会ったのって1歳の誕生日でしょ?私からしたらもっちゃんもかなりの成長だと思うわ。」
「ふっふっふ。遂に念願の母親になったからな!」
「あのもっちゃんがねぇ……感慨深いわ。そうだセッちゃん、お料理出したら上がりでしょ。ゆっくり休んでおいてね。」
「はい、お疲れさまです!サクラお姉さんはごゆっくりどうぞ。」
セツナはとてとてと可愛らしい移動姿で挨拶してまわり、魔王邸に帰還する。割烹着姿がとても良く似合っていた。
「きっとお母さんに似て美人になるな。」
「もう奥さんに似てマスター大好きっ子だしね。」
「ウチの娘は世界一ィィィイイイ!」
マスターは厨房で何か叫んでいる。だいぶ酔っているようだ。
「今年も七夕イベントは盛況だったようだね。私はもう暫くは参加できそうにないが、楽しかったかい?」
「ええもう、今年はギネスに挑戦するといって天の川から地上までの流しそうめんを敢行したわ。」
「認定員さえ呼んでおけば世界記録確定だったんじゃないか?」
「ロンギネスの素麺とか名付けてたわよ。パロディにしろ、もう少し格好つく物でその名前を使ってほしかったわね。」
「オリヒコ夫婦は?」
「最初は素麺のピンクを流す役だったけど、中盤からは中庭でどんちゃん騒ぎよ。トウジさんやシーズの余興に完全にアテられてたわ。来年は天の川の水力を使っての回転寿司とかに挑戦するかもって話よ。」
今回はピンク素麺を手にした者が願いを聞き入れてもらえる
企画だった。最初は全員血眼になってそれを求めるも、結局ビーフか衣類にちなんだ答えしか帰ってこない。それもあってもうただの酒盛りとして大騒ぎする毎年の流れで終わっていた。
最後の回転寿司は酒の勢いで出た酔っぱらいの盲言でしかない。が、多分実現してしまうのだろう。
「1周何年掛かるんだ?1回取り逃がしたら、次は無いだろう。」
「なんかアッチ側の住人も興味を持ったみたいでね。間の空間を短縮すればワンチャン行けると思うわ。」
上を指差しながらプランを話すキリコ。
「ふふふ。どこまでも何でも有りな店だな、ここは。」
「マスターだしねぇ。」
「ところで話があると言われて来たわけだが……マスターがいつになく酔っ払ってて、アレ大丈夫なの?」
まるで身体の制御がバグった3Dゲームのキャラクターみたいな動きで厨房でグネグネしてるマスター。元々正気を疑うレベルの人物だが、今日は輪をかけている。
「天界のお酒らしくてね、悪魔的に効きすぎちゃってるみたい。あとはうん、お仕事で思う所があるみたいよ。ほら、色々と。」
「副業の方か。何やっても悪役だし無理もないんでしょうね。」
「ちょっと正気に戻してくるね。……ほらマスター、もっちゃん来てるわよ。閻魔様から受け取ったアレ、開封するんでしょ。」
「もっちゃんウィーッス。あるえ?モモカはいないんかーい。ならオレが変わりに吸い出して、ゴフゥッ!」
ドゴッ!!
瞬時にサクラの下へ移動したマスターが、彼女の胸に顔を近づけたのを見て、慌ててキリコがボディブローを叩き込む。
「まったく、今日に限って酔い過ぎよ。ほら、こっちに来て。」
そのままトイレに運ばれて、テレビでは流せない音が断続的に聞こえてくる。
「今の光景は政府側の人間には見せられないな。世界大戦が始まってしまうぞ……」
サクラはあんな隙だらけのマスターは初めてだと目を丸くする。キリコの攻撃も素直に通っていて、あれでは好機ととられても不思議ではない。
(ま、身体だけ倒しても意味はないんでしょうけど。)
これまでの付き合いから、そうであると解っているサクラは静かにミルクを飲む。
「もっちゃん、おまたせー!」
「サクラ、いらっしゃい。お?感心感心、ちゃんと子供に良いものを食べてるな。」
キリコの明るい声とともにマスターが戻ってくる。
サクラのメニューは母乳の質を意識したものだ。だがそれを褒められても、先程のエロオヤジっぷりが思い浮かんで嬉しくない。
「こんばんは、マスター。あの状態からよく戻ってきたわね。」
「ごめん、よく覚えてなくて。天界からの差し入れがちょっとね。でもおかげで少し、パワーアップした気がするよ。」
「気のせいであってほしいわね。それで、話って?閻魔様がどうとかって言ってた気がするけど。」
「ああ、これだ。アケミからの手紙。先月貰ったんだけど予定が合わなくてさー。」
「もしかして遺言?そんな物があったなんて――!?」
サクラの目に、【あの世の紙】【アケミ直筆】【天国からの手紙】等々表示される。
「ブフーッ!」
その事実を見てしまったサクラは噴き出し、激しく咳き込む。
「今日は大人っぽい喋り方だと思ったけど、相変わらずサクラはサクラだな。」
「ゲホッゲホッ、誰のせいですか!先月割としんみりしてた私の心を返して下さい!マスターって生死の概念無いんですか?」
「どっちかと言うとオレよりアケミ本人が破格の扱いを受けてるんだけど。そんなわけで、これは水星屋に宛てられた1通だ。これをみんなで確認しようというのが、今日の趣旨だな。」
長い前置きだったが、この店にて強烈なインパクトを残したアケミからの手紙で彼女を悼む会だというのは理解した。
「では開封しよう。オレとキリコは事情を粗方知ってるから、サクラにしてもらうか。せっかくだから、便箋を取り出したらテーブルに置いて君のチカラを通してみてくれ。」
「んん?こうですか?ってこの便箋、そもそもチカラを通さないと持てないんですね。さすがはあの世テクノロジー。」
サクラは料理を脇へ退けて言われた通りにする。
同時にマスターもチカラを送ると、ちびっこいアケミの映像が映し出される。アケミを改変した時と同じ要領でチカラを重ねたのだ。
「「うわぁ!なんか出ましたよ!?」」
「疑似ビデオレター、上手く行ったみたいだな。」
キリコとサクラが同時に驚くが、マスターの一言で納得する。納得せざるを得ないのだ。相手は意味不明の男なのだから。
『水星屋の皆さん、こんばんは!何時ぞやにお世話になったアケミです。』
ペコリと頭を下げるSDアケミ。彼女の周囲の空間には感情に
合わせたエフェクトも表示される。マンガやアニメでよく有る花や星のキラキラ、どんよりオーラなどのアレである。
『多分ニュースやマスターさんから事情は聞いてるかも知れませんが、自分の言葉で伝えたくて一筆とった次第です。』
「すごいなこれ、本当にアケミらしさが良く出ているぞ。」
「口調も再現できるんですね!可愛い!」
『誰が何を言おうと死んじゃったのは事実です。でも私は決して不幸な人生ではなかった事、それは皆さんのお陰であることを伝えたいと思います。』
「ほう、ニュースではまさに惨劇といった感じだったが……」
「悲劇のヒロインって感じだったもんね。」
『最後には旦那になったケーイチさんが助けに来てくれたし、事件の後にはマスターさんにとってもお世話になりました。最後まで笑顔で三途の川を渡れたのはあの日、水星屋でお話を聞いてくれたマスターさん、キリコちゃん、サクラさんのお陰です。本当にありがとうございました。』
「そうか、笑顔のまま逝けたのか……」
「本当に良かったよぉ。最後は好きな人と過ごせたんだよね。」
『マスターさんには閻魔様にXXX(検閲済)までしていただいてまさかこっちで再就職出来るとは思いませんでした。』
「うわ、一気に胡散臭くなったわね。私でも見にくいけど、これは賄賂でしょうね。」
「マスター、感動を返して下さい。」
「言っとくけど賄賂じゃないぞ?正当な献金だからな。」
「「お金には変わりないじゃない!」」
『おかげでこちらの食事もできてハッピーな生活を送ってます。でも自炊しようとすると全部料理スライムになってしまうのが不思議で仕方ありません。生きてる時に特訓して直したのに!』
「やはり料理スライムは彼女だったか。」
「幸せそうで何よりだけど、ある意味すごい才能よね。」
『あ、お墓の中まで持っていくヒミツをバラしてしまいました。もう死んでるからいいか!でもサクラさん、お手柔らかにお願いします!』
「私はもう記者ではないから良いけどね。」
「エッセイに書くとか。例の微妙な冒険集に。」
「この手紙の件は部外秘扱いで頼む。でないと……」
彼がその代償を言う前に、事実を感じ取ったサクラは叫んだ。
「仰るとおりにいたします!!」
『サクラさんといえば、恋はどうなりました?私でもなんとかなったから、きっと成就されてる頃でしょうか。キリコちゃんは絶対マスターさん狙いよね、仲良かったし!あ、本人も見てたらごめんなさいね。マスターさんは手、出しすぎないようにね!』
「ふッ。なんとか私も上手く行ったぞ、アケミ。」
「アケミちゃん!?なんてことを……バレバレだったのかぁ!」
「落ち着けキリコ。もう胸を張って良い関係だろうに。」
「だってまだ……」
「アケミにも無闇に手を出すなと言われたしなぁ。」
「くっ。」
「ほらほら、そういうのは後でじっくりね!」
『ケーイチさんはどうなりましたか?彼とはきちんとお別れしたので、手紙を書くに書けなくてちょっと困ってます。良い人が見つかりそうなら良いですが……。あとそう!彼の前妻のトモミさん!私は面識有ったはずなのに全然覚えてなくて!その辺のお話もいつかできたら良いのですが。』
「トモミ?って人はわからないけどあのヤバイ男の話はついていけないなぁ。」
「そっか、もっちゃんは忘れてるんだよね。ややこしい。」
「その辺の齟齬が有る部分は気にしなくて良いだろう。敢えてそうしたんだしな。」
「それはともかく、話を聞けば聞くほどもう一度会いたいな。せめてこれの返事とか書けたら良いのだけど。」
「返事!良いかもね!マスターならあっちに顔パスで通れるし。」
『なんか質問ばかりでごめんなさい。返事とか出来ないと思うし困るわよね。水星屋での思い出は凄く大事なものだったから、懐かしくてつい筆が滑ってしまったわ。とにかく私は元気でやっているので、みなさんに感謝の気持ちを伝えておきます。水星屋のみなさん、本当に本当にありがとうございました!』
ぺこぺこと頭を下げた後に決めポーズをするSDアケミ。
『以上、あの世のモモイロジャック・アケミより。』
「くううう、幸せそうだったなぁアケミちゃん。」
「うんうん、これ絶対返事書こうよ!マスターなんとかなるでしょ?むしろなんとかして!」
「その必要は無いと思うよ。」
「マスター!それはちょっと冷たいんじゃないか?」
バッサリ否定する言葉を発するマスターに、サクラは抗議する。しかし彼はサクラの後ろへ指をさしてみせる。
「だってほら。」
「キリコちゃああああん、会いたかったあああああ!!」
ぎゅううううううう。
「ぐぇぇ。」
「えええええええ!ア、アケミ!?」
「こんばんは、マスター。イベントには間に合わなかったがまだやっててくれて良かった。」
閻魔様に同伴したアケミ(霊体)がキリコを抱きしめ振り回す。再就職時になにか施されたのか、実体に触れられるようだ。
「いらっしゃいませ、閻魔様。アケミもよく来てくれたね。時間はいくらでも作るから、好きなだけ飲み食いしていって下さい。」
(その口ぶり。マスター、知ってたなぁ!)
「もちろんそのつもりだよ。神の酒はまだ有るかい?」
「ええ、まだあります。ですがアレ、悪魔が飲むと強力ですね。」
「飲んだのか!良く無事だったなぁ。アケミに魂を強化されたからか?」
「色々気になる単語が有るけど、マスター。そろそろキリコちゃんを助けてあげて!取り殺されちゃう!」
最初に出会った時の再現とばかりにキリコを振り回すアケミを止めて、ちょっとした同窓会のような会が始まった。
「サクラさん、ご出産されたのですか!おめでとうございます!」
「ありがとう、聞いたぞ?アケミも結婚出来てよかったな。」
「ありがとうございます!もうなんてお礼を言えば良いか。」
「アケミちゃんの実力でしょ!ねぇ、ちょっと誘い方を参考に――」
「ぐいぐいっと行って相手のしたい事に絡めて勝負をかけて――」
「私の初めてもそんな感じで……やられた方だけど。」
「ふむふむ。ならば私は――」
「とにかくチャンスがあれば多少強引にでも――」
・
・
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などという会話がテーブル席で行われている。同窓会と言うよりむしろ作戦会議の様になってきた。こちらは約1週間後に結果が出ているので、これ以上明記せずに放っておく事にする。
それを尻目に閻魔様はカウンター席でマスターと話している。
「49日にもまだ早いのによく連れ出せましたね。」
「まぁな。彼女は優秀で人当たりも良い。なによりマスターが目を掛けていた。上層部は恩を売りたいのだろう。もしくは――」
「ワイ……献金の恩返しですかね。」
思わず賄賂と言いかけるマスターだが即座に言い直す。
「多分な。だが最近のお前絡みの死者はなんだ?とても普通の状態とは思えない者ばかりだぞ。」
「それでオレも頭を悩ませてますよ。一旦は落ち着いたのに、また世界規模で娘達が犠牲になってますからね。」
「対策は?あの社長ならすぐにでも手を打ちそうなものだが。」
「未だイタチごっこをしてるけど、なんらかの逆転案がありそうなんですけどね。」
「そういえば下準備がどうとか言ってたな。その時が来たらキッチリカタをつけるようにな。こっちでアケミが修復するとはいえ、それまで苦しむのは間違いないからな。」
「はい、仰るとおりに。今夜は如何しますか?」
「お前の嫁の許可さえあれば、お邪魔したい所だが……」
『ダメよあなた。2人目を妊娠してからなら良いけど。』
「すみません。今夜は許可されませんでした。ただ――」
「わかった。今夜は遅かったし、アケミも居るしな。近いウチに2人目が出来たら相手してくれ。まったく、妙な呪いさえ無ければお前も安心できるのだろうにな。」
「さすが、お見通しですか。でも呪いの大半は除去してますし残りも隔離して少しずつ溶かしてますから、数年後には完全に除去して励むことは出来そうですけどね。」
妻の○○○は呪いを受けている。彼の言う通りチカラさえ通せば無害なところまで持っていってある。計算上数日後には妊娠出産に耐えうるレベルまで呪いを減らし、数年後には完全除去の見通しだ。
「うむ。あの時の混沌ぶりは仕方ないとはいえ、災難だったな。」
「でもおかげで幸せを手にしましたから。」
「うむうむ。お前はそれで良い。あぁ追加でコレとコレを頼む。それが終わったら向こうで話に入ってきたらどうだ?」
「はい、お待ち!ではお言葉に甘えて失礼しますね。」
カウンターに酒と料理が並べられ、挨拶してテーブル席へ移動するマスター。
「出ましたね、ヘンタイテンチョー!」
「どさくさにアケミのを触ったなんて!」
「2人とも落ち着いて、医療行為だから!」
「オレは股間に絆創膏貼られたけど。」
「どんなプレイだアケミ!?」
「アケミちゃん!?」
「それこそ医療行為だってば!」
手荒い歓迎を受けつつも得意?の受け流しで矛先をずらしつつ、輪に入っていくマスター。あの巨大絆創膏は実際に効果があり、以前より元気になった。悪魔的な話でありソッチ方面に限った話ではない。
「そんな事より七夕だ。短冊を配るから好きに書いてみよう。」
「「「はーい!」」」
思い思いに欲望を書きなぐり、盛り上がる。アケミの書いた短冊はスライム化して、マスターによって空へ放たれる。それは風船の様に器用に膨らんで空高く上っていった。
「あのまま天界にたどり着いたらパニックになりそうだな。」
「いや、案外目覚めて喜ばれるかもしれないぞ。」
「もっちゃんは何を考えて喜ばれるなどと……」
「なんでまたスライムばかりなんでしょう?」
「魂がランクアップしたから、慣れぬ内は加減が難しいのだろう。ほれ、マスターよ。受け取るが良い。」
閻魔様が割り込んで来て解説する。マスターの額には短冊が貼り付けられていて、よく見ると”子宝祈願”と書いてある。
「これはどっちの意味でしょう?」
マスターと妻とのそれなのか、閻魔様自身のソレなのか。悩ましかったマスターは直接聞いてみることにした。
「決まっておる。どっちもだ。」
閻魔様はマスターの方を見ずに神の酒を飲みながら応える。
「……前向きに検討しますね。」
「「「ほうほうほう。」」」
閻魔様の斬新なYES・NO枕をマスターに受け取らせた手腕に、女性陣は感心した様子だ。キリコは素早くメモを取っていた。
残りの短冊には一同からアケミへの言葉を書き連ね、それを何枚も束ねて手紙の返事とした。
「みなさん、ありがとう!」
アケミはユニークなお手紙の返事に嬉しさがこみあげ、素敵な笑顔で3回目の水星屋への来訪を終えるのであった。
お読み頂き、ありがとうございます。
アケミについては構想段階に比べて設定をだいぶ緩和しました。
元々アレな最期を迎えるのは変わりませんが、当初は死後のフォローも全く無い予定でした。
だからこそ生前は輝かしい?活躍をしていただいた面もあります。
しかし後の話を考えた時に、むしろそれは不自然ではないかと思い直してこの形になりました。