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67 キロク

 


「さて、今日の記録をつけるとしましょう。」



 在りし日の夜。忙しい日々の中で日記を書き始める。

 目まぐるしい日々の中で思い出を忘却しやすい多い現代。


 その記録を残すことで自分の軌跡を振り返ることが出来る。

 その習慣を身に着けた者達の記録である。



 …………



 2010年3月。


 やった!今日からケーイチさんと同棲!まだまだ奥さんの件を引きずってるみたいだけど、ここから頑張っていくよ!


 最近取材がとても多い。他の女に取られないようにしなくちゃ。



 やったわ。ついに一線を超えたわ!もう凄いのなんのって。

 初めてをあげられないのは心苦しいけど、初めてちゃんと出来た。

 ちゃんとしたらこんなに幸せな気持ちになれるのね。

 いっぱい褒められたのが嬉しい。優しいなぁ。


 チカラの暴走は何とかなりそう。私も成長してるのね。



 昨日はショウコと会って色々お話したわ。

 絶対幸せになれるから彼を離しちゃダメだって。私もそう思う。ショウコも良い人が見つかると良いのだけど……。


 あと際どい話をしてる時に、モールス信号で話そうとしていたのはなんだったのかしら。諜報ごっこにハマったのかな?

 私は正直サッパリ判らなかったわ。


 私達の邪魔はしたくないって言ってくれたけど、今後はなるべく会えると良いわね。



 同年4月。


 年度が変わっても私の仕事は変わらない。

 子供の体調管理に実験のお手伝い。出撃への随伴に彼とのデート!


 取材は相変わらず多い。教授に聞いた所、ケーイチさんを広告塔にしたいみたい。ソウイチ君達は散々だったしね。あはは……。


 いずれは私も一緒にテレビに出る予定らしい。

 なので早く結婚するように言われたわ。それって世間の皆様に私達の事を堂々と……うふふ。私は大歓迎よ!


 でも彼の心はまだ決まらないみたい。でも今は良いの。ずっと側にいて魅了してあげるわ。



 ショウコが今月から異動になったみたい。異動先はなんと、私の勤務する街の病院だったの。ちょっと都合が良すぎない?

 ちなみに私は自分の職場のことをバラしたりはしていない。


 ショウコも突然過ぎて不満というか、不思議に思っていたみたい。でも新天地での感触は悪くは無さそうなのが救いなんだって。


 詳しくは聞けなかったけど、前の所はコネやら何やら面倒な事があったとか。今の職場は系列は違うけど上層部同士で付き合いがあり、人員の融通の結果らしい。でも自分が選ばれたのは不自然!とか言っていたわ。


 もしかしたらショウコを知る何処かの誰かに助けられたのかもしれないわね。なーんて、適当に勘ぐってみたり。

 それにこれで会いやすくはなったし悪いことじゃないよね?


 でもちょっと得体が知れないから、何かあった時以外はこれ以上彼女のことは書かないようにしようと思う。



 同年5月。


 ひえー!何この忙しさ、目が回るわね。でも短くても良いから記録だけはつけないと。ゲームでも大事だしね。


 最近は犬鬼?ってドロボウが流行りらしい。活動自体は先月くらいからしてるみたいだけど、神出鬼没でぜーんぜん捕まらないとか。まるでどこかの誰かさんみたい。


 訂正、怪盗イヌキって言うらしいわ。予告状を送りつけて期日までにまるっと奪われちゃうみたい。

 でもでも、アニメや漫画と違って一般的なお宝が狙われるとは限らないらしい。企業秘密がどんどん抜かれていくとか。


 話に聞くと可愛らしい魔法少女のようなフリフリ姿らしい。一度でいいから会ってみた……いえフラグは良くないわ。


 見える、見えるわ!私の推理だと家族を失った女の子がブラック企業にオシオキしてるんじゃない?日曜朝には向かないけど、深夜アニメならイケそう!



 同年6月。


 怪盗さんは今日も大活躍ね。ヨシダグループが標的みたい。

 もしかして推理当たってた?あそこって少し前に経営者の身内が逮捕されてたわね。女の敵は滅ぶが良いわ!


 ケーイチさんがとってもお疲れ。訓練・出撃・取材・私。

 疲れる要素はいっぱいだよね。あ!私はそんなでもないわよね?なんかキョウコさんのジト目が目に浮かんだ気がするわ!


 こういう時はイダーちゃんの手料理が身にも心にも染みるわ。私も彼のためにレパートリーを増やさないと。掴める袋はできるだけガッチリ掴むのよ!


 それでもぐったりな私達は、気楽に楽しめるようにと管弦楽のコンサートに行った。でも開始前から2人とも寝ちゃった。

 起きたらケーイチさんの上に被さってごろにゃんしてて、どんな寝相だよと彼に言われちゃった。お隣さんの目が冷たかったり暖かかったり。恥ずかしくなってすぐに外に出たわよ。


 ・今月は3回も教授から命令書が届いたわ。全部、私に早く

 結婚してくれという内容。私はいつでも良いんだけどねー。



 同年7月。


 取材は少し落ち着いたかな?でも怪盗についてや過去の事件の被害について問い詰められることが増えたかも。

 被害は残念だけど、助かった方を見て欲しいかなぁ。紛れもなくケーイチさんと子供達の成果なんだし!


 メグミちゃんが大爆発!

 将来を見据えて話し合ってというのは完全に同意よ。

 ただ私の場合は彼さえその気ならいつでもOKな立場なんだけどね。でも私の事を心配してくれての行動だったから凄く嬉しかったな。

 ミサキちゃん達はとばっちりだったみたいだけどね。


 夜はメグミちゃんをシャワールームでぎゅー!って抱きしめちゃった。キョウコさんとイダーちゃんが入ってきて、

 ジト目攻撃を貰ったわ。顔真っ赤ではわわわわってなってるイダーちゃんは可愛かったけど。

 言っておくけど師弟の絆の再確認であって、百合的なアレじゃないからね!


 どうしよう!あれから彼が”お起立”しなくなっちゃった!ちょっとメグミちゃんのオーラが効きすぎたみたい!



 同年8月。


 ケーイチさんが色々思い悩んでいる。現代の魔王も怪盗イヌキも捕まらない。でも事件だけは相変わらず起きている。

 発散しようにもお起立できなくてストレスが凄そう。あの手この手でお手伝いはしてるんだけど効果は見込めない。


 教授からはもはやテンプレとなった命令書が届く。

 うーんこれは愛の試練かしら。この正念場を超えたら私はきっと!



 同年9月。


 今日も実験のお手伝いで研究所に出向く。いつも通りに難しい患者さんやよく解らない肉片にチカラを注いでいく。

 私のチカラが何処までどう作用するかを徹底的に調べてるみたい。


 前も聞いたけど、魔王だけじゃなくて今後の脅威に対抗する理論を完成させたいんだって。それが出来たら私も有名人に!?そうしたら英雄のケーイチさんと並んで最強夫婦!ってなるのかしら。


 やった!ついにケーイチさんがお起立!これで魅了計画が先に進むわ!


 アレ?昨日の今日でキョウコさんにその事を祝われた。

 前から感じてたけど、この学校ってウワサの巡りが早すぎない!?



 同年11月。


 もうすぐ秋も終わりで寒くなってきたわね。こうなると熱い温泉に浸かってゆっくりしたい気分になるわ。職場でそう言ったらおばさん扱いされた。良いじゃない!20代だって温泉入りたい気分なんだもん!


 実験のお手伝いで今日は無機物にチカラを注いだ。そういう実験も必要なんでしょうけど、なんで湯たんぽ型だったのだろう。


 先週の疑問が解けたわ。浴槽に沈めて温泉の効能を高める装置らしい。でも私のチカラは上手く乗らなかったと肩を落としてた。

 そしてなんと、余ったソレ(ゆたぽんと言うらしい。)を訓練学校の面々に配ってくれるらしい。私も1つ貰って来たのでケーイチさんと楽しもう。……温泉の素でも効果あるのかしら?


 ・効果はあった!やったね!



 同年12月。


 今年は波乱万丈だったけど良い1年だったかな。

 いろんな事件は起きたけど私もケーイチさんも怪我もなく生きてる。もちろん学校の子供達も。


 ユウヤ君とソウイチ君はライバルだけあってどんどん頼もしくなっていってる。チカラの細かい制御が出来るようになってきたって言ってたわ。


 モリト君も頑張ってるけど、チカラも魔法も難しいみたい。ケーイチさんの話だと「彼は大成する器だ。」らしいけど。

 なにかキッカケが必要なのかな?ヨクミちゃんもずっと一緒に居るし、上手くいくといいわね。


 女の子達も厳しい訓練に良くついていってる。訓練後の診察でキズを見る度に全部治してあげなきゃ!って意気込んじゃうわ。身体は大事にしないとね。


 アイカちゃんとエイカちゃんは普通ならまだ小学生なのよね。イダーちゃんがこれでもかってくらいにお菓子をあげてるのが微笑ましい。でもその時の彼女の顔がアブな、いえ何でも無い。


 ミサキちゃんは意識が高いわね。双子ちゃんの面倒見も良いし、人形を魔改造して訓練や生活に役立てている。

 さらにソウイチ君への対応も変わらずクール。ウラでは色々とウワサも立ってて、その話をすると顔を真っ赤にして照れてるギャップが可愛いかな。


 メグミちゃんはもう1人前と言って良いかも。

 治療に関してもそうだし好きな男の子とラブラブしてるし。


 チカラもお化粧が必要とは言え、あの赤黒いオーラすら制御している感じがしたもの。このままユウヤ君と仲良くやっていけたらいいわね。


 私はいっぱいデート出来て嬉しかったかな。彼が前の奥さんと行ったことのない場所にも連れて行ってくれるし、少しずつ私に傾いてきてくれたのかと思うわ。なら近々プロポーズをしてもらえるかも!?


 とりあえずここまでね。そろそろテンプラ揚げないと!


 みなさん良いお年を!



 …………



 2010年2月。


 急な話しすぎて何も考えられない。全てが現実とは思えない!夢なら今すぐ覚めてよ、お願い!



 同年3月。


 どうしてこうなったの!?父さんが事故で死んで悲しむ私達を待っていたのは借金地獄だった。

 父さんの会社はヨシダなんたらって人が買取り、家も不動産屋に買い取られてしまった。


 追記:後で知ったけどヨシダグループの不動産屋だったらしい。


 近所の安アパートへ母さんと身を寄せるとアライ金融とか言う借金取りが毎日訪ねてくるようになった。


 通っていた高校にまで訪ねてきて周囲からの目は最悪の2文字だ。友達だった子達は波が引くように居なくなり、教師に呼び出されて相談するふりして如何わしい誘いを受けたりもした。


 それを上に訴えたら退学になり、私達の心の安寧は安アパートの薄い壁のみになってしまった。

 このままだと良くない商売に落とされるのは目に見えていた。


 だけど……。ねぇ、なんで!?どうしてこうなったの!?


 父さんが別件で残した借金。総額300○。それが私達を救ってくれた。


 今日、モブ顔の男が現れて事の経緯を教えてくれた。

 なんと男は現代の魔王だったらしい。その正体に怯えてしまったけど、私の「判別」ではそこまで悪人には思えなかった。


 その日の夕飯代で借金を返すと、その男が協力を申し出た。

 借金が5倍になるも、カタキであるアライ金融の事務所が消えた。まるで夢を見ているかのようだった。不覚にも胸が高鳴るのを感じた。

 え?これってそういう事?嘘よね?

 これはきっと復讐の機会が与えられて興奮しているだけよ。


 そう言い聞かせたけど次の日の夜にまお……マスターの奥さんとお話して違うことがわかっちゃった。でも出会ったばかりだしもう少し気持ちが育ってからね。


 出会ったばかりと言えばマスターが連れてきたあの男!!いきなり母さんをナンパしちゃって!母さんもちょっとノリ気だし!父さんだってイイ男だったじゃないの!もう、信じられない!


 でもマスターに諭されてわかったわ。私達には頼る人が必要なのよね。私もナカなんとかさんもマスターも、前を向いて生きていかなくちゃいけない。そのためにチカラを合わすというのは悪いことじゃない。


 清い付き合いをするから、とこっそりナカなんとかさんに言われたけど信じて良いのかな?


 チカラを合せるといってもハンバーグは勘弁してほしかったけどね。依頼料を値切る以上、文句は言えないけどあれは虐待じゃない?


 でもチカラの譲渡が上手く行った時の効果は凄かった。昔見たアニメの主人公と同じ衣装で色々な事が出来るようになった。あの衣装、本当にお気に入りなのよね。格好可愛い感じがもう!


でもステルスの設定についてはノーコメントにしておくわ。


 サクラさんという格好良いお姉さんにお世話になってるんだけど、彼女もマスターが好きらしい。実は愛人の1人なのだとか。彼女から話を聞くと彼だけはやめておけと忠告された。世界が違うと言われてもよくわからないよ。結局好きなんでしょ?



 それからみっちり練習して身体にチカラを馴染ませると、

 普段の数倍は運動能力が引き出せるようになっていた。


 いよいよ父さんを殺したアライ組への復讐が……いえダメね。

 マスターにも言われたけど復讐だけを目的にしてはダメ。


 アライ組への天誅の時は近い。



 同年4月。


 どうしてこうなったの!?アライ組への襲撃の時、マスターが”くらすたー爆弾”なる強力な爆弾を使ってしまった。


 本人は軽く笑って壊れた屋敷を戻してたけど、怪盗じゃなくてただの押し込み強盗にしかならないんじゃ。

 まあ、私達も怪盗というより暗殺者な行動を取ってたけどさ。


 組長は悪人だし敵だけど、潔く散っていったかな。

 ナカ……いえイタチさんも良い仕事をしてくれたわ。


 彼は普段からイタチと名乗るようになった。姓はともかく名がマスターと丸かぶりで消えちゃってたのよね。

 イタチさんのことは未知数だけど、気に入った名前を名乗れるのは良いことだと思うわ。


 デビュー戦はちょっと趣旨とズレちゃったけどアライ組は倒した。

 父さんは、喜んではくれないだろうけどね。

 でも私がこの先も生きて行くには必要な事だと思う。

 私が、私の父さんを取り戻さないとね。


 私はこの先フジナカ・アオバとして生きていくのだろう。でもマスターから貰った怪盗の名前とこの小太刀の中には、過去の私も生きている。


 なんて余韻に浸っていたら動物園に遊びに行くことが決まった。さらに母さんが10歳も若返っちゃった!


 マスターってデタラメよね!そう、デタラメ……。

 もう、私の心もデタラメになっちゃった。


 今思えばあの発言は無かったわよね。隅々まで調整してって何!?あの時は頭を撫でてもらって終わったけど恥ずかしすぎ!



 同年6月。


 あれから週に1回は出撃するようになった、怪盗イヌキ。

 もちろん無駄な殺しはしてないわ。あくまで騒ぎを起こすだけ。ちょっと重要な書類やお金を拝借することはあるけどね。


 最初はカードのみのアピールだったけど、最近は堂々と姿を晒してヨシダグループの会社を襲っている。


 近頃は動画で撮られたり、敢えてマスターが撮影したりしてる。イヌキの名前付きの怪文書をバラ撒いたり、まとめサイトも作られた。作ったのはサクラさんなんだけどね。


 彼女は本当に格好いい。社長で探偵でマスターの愛人で。

 最後はちょっとポンコツ臭が漂うんだけど、それ以外は素敵。なんだかんだ言ってもマスターへの接し方も教えてくれている。


 ともかく、怪盗イヌキは世間への露出が増えてきたってワケ。最近はテレビでも紹介されたりして、バレやしないかとドキドキしてるわ。もちろん逃げる時にはマスターご自慢の時間停止や次元に干渉しての空間移動を使ってるから捕まる事は無い。


 さすがに空間移動はマスター自身が使ってるんだけどね。足がつかないように何箇所も経由してるし。


 でも自分の映像を見るのはちょっと照れくさいかな。



 同年7月。


 国内にダメージを与えるだけじゃなくて、アメリカや中国なんかにも出張するようになってきた。


 統括するのは日本なんだけど、実務は海外に散らせてたりするからだ。

 英語は少しだけ、他はサッパリな私だけどマスターが居ると意味が全部解っちゃうから不思議!でもあまり現地の食べ物は食べさせてくれないのよね。マスターだけじゃなくてイタチさんもすぐ止めてくる。

 マスターや彼の奥さんの料理は美味しいから良いんだけどさ。


 マスターによると議員には効いてるみたい。もしかしたら財務局長を降ろされるかもって言ってた。そりゃあ党の幹部の皆さんも、経営が傾いてる人に任せたくはないものね。

 このまま戦力を削っていけば、議員を倒す日も近いのかな?



 同年8月。


 ついに父さんの会社を取り返した。とはいえもうヨシダグループの観光関係の会社の、ただの一部署になってたけど。

 従業員も分散されていて、広範囲で事件のキッカケとなった商品の研究・制作をさせられていた。だから今まで色んな場所を襲撃していたんだね。なるほど、って思ったよ。


 マスターが連絡すると、すぐにNTグループが元の従業員ごと買取ってくれることになったわ。NTって超大手じゃん!


 ここって近年は災害対策で有名な所だよね。堤防を作っているCMとか何度も見たもん。

 もう自分と母さんは行方不明者扱いなので、父さんの会社には関われない。そもそも書類上は手放した事になってるしね。

 だからマスターの信頼するNTグループになら預けても良いのかな。というかマスターって人脈どうなってるの?


 でもこれでまた少し、魔の手から父さんを奪い返せた気がするわ。あとは議員本人に……っとダメね。焦らずに行きましょう。


 イタチさんがまた動物園に誘ってきた。なんでも今回は花火も見られるらしい。うぐぐ、またしても葛藤が!!


 なんてね。彼は悪人じゃないわ。数ヶ月も一緒にいれば解るもの。出撃の時は絶対私を守ってくれるし、普段も気遣ってくれてる。海外の料理を食べさせないのも私の身体を心配しての事だったし。フザケが過ぎて叩いちゃうこともあるけど彼なりの努力だと思うわ。


 でも母さんと、ねぇ。一緒になるのはもう少し後がいいな。そう、ヨシダグループを倒したら私も前向きに考えられると思う。


 私だってマスターの事が気になって仕方ないけど我慢してるし!私は普通の女の子に戻ってからアタックしたい。彼自身が普通じゃないけどさ。やっぱこう体裁?みたいのは大事よね。


 花火綺麗だったなぁ。楽しすぎてちょっとはしゃいじゃった。毎回チケットをくれるクマモトさんに感謝だね。ありがとう!イタチさんも馴染んできたのか、母さんと3人で居るのが不自然ではなくなってきた気がする。


 世間では夏休みか。私は相変わらず派手にコソドロやってます。



 同年9月。


 うう、先月普通の女の子にもどってからーとか言ってたけど前言撤回しそう。ロシアで全身大怪我の大ピンチになっちゃって、マスターに助けてもらった。逃げる時はお姫様抱っこで!イタチさんも危なかったけどなんとか無事に帰ってこられた。


 そこまでは良かったのだけど、私は怪我の治療で魔王邸に連れて行かれた。メイドさんに身ぐるみ剥がされて、身動き取れない状態でマスターに全部見られてしまった。はずかしいいい!


 油断したりチカラに溺れちゃダメだよとお説教までされた。


 身悶えしながら彼の顔が見れなくて俯いてたら、キリコさんという小柄なメイドさん(訂正、彼女は店員さんだった。)が、「適当な理由をつけてマッサージのおねだりをすると良いわ!」とアドバイスをくれた。その通りにしてみたら……。


 うう。確かに身体は楽になったのだけど、別のうずきが止まらなくなってしまった。おかしいわよコレ!別にイヤらしい触り方をされたわけじゃないのに!横目でキリコさんを見ると、いい笑顔でサムズアップされた。後で聞いたら本人もコレで開発されたらしい。


 彼女は、「女子高生に手を出すなんてサイテー!」等とマスターを煽って遊んでいる。触ってもらったけど、そういう意味じゃないよ!


 それに私はもう女子高生じゃないし!

 嫉妬的な気持ちがあるなら、仲間を増やそうとしないで欲しいわ。ともかく私はもうダメかもしれない。


 後で彼の奥さんに相談してみようかな。



 同年10月。


 相談してみた。ダメだった。まだ早いわよと言われちゃった。


 なんでも彼とのそういう事すると不気味なくらいにハマるらしい。まだ未成年の私では、危ない方向に精神が傾きかねないとか。


 でも普通は旦那さんのレンタルなんて認めないものね。怒らず話を聞いてくれるだけ心が広いわ。私だったらこの泥棒猫!って怒鳴っちゃいそう。



 怒鳴ると言えば。マスターと打ち合わせしてたら謎のお爺ちゃんが怒鳴り込んできたわ。私達のオシゴトが気に入らなかったみたい。


 お爺ちゃんはイタチさんを助けた1人だったので、私達の活動を気にしていたようだった。犯罪で稼ぐなど何事か!って怒られちゃった。マスターはあくまで人助け、正義の味方だと言い張った。


 私は復讐の自覚があるからマスターの言うことは詭弁だと解ってる。それでも私の気持ちを止めないでくれたのは嬉しかった。イタチさんも同じだったようで一緒に熱弁を振るってくれた。


 結局の所、経緯やその後のフォローを丁寧に説明したら、しぶしぶだけど納得してもらえたの。説明というか、マスターが黒いモヤでぶわーってして終わったんだけど。


 ありがとう、マスター。イタチさん。


 でもあのお爺さんはなんで半年経ってから来たんだろ?


 追記:この町、他から探られないように結界が張ってあるんだって!だから見つけるまでに時間がかかったとか。

 もうマスターって検索したら「もしかして:非常識」って出ても不思議じゃないわ。でもそこがイイのよね、はぁ……。



 同年11月。


 元カトウ製作所の温泉効能強化装置、「ゆたぽん」がNTから販売された。父さんの製品、ようやく正しい形になった気がする。


 ヨシダ社製より、ううん。以前のカトウ社製より効果が高いらしい。売れ行きは好調で、政府関連の研究施設から大量の発注があったとか。公務員って安定したイメージがあるけど、内情はお疲れなのかな。


 リースもしてるのでお試し勢も安心なんだって。

 すぐ研究されちゃうんじゃない?って聞いたらそれは不可能だとマスターは悪い顔で笑っていた。あ、これは何かしたわね。



 同年12月。


 サクラさんの事務所でクリスマスパーティー!知らない人も居たけどみんな仲良く食事を楽しんでいたわ。

 クマモトさん達にお礼を言ったらまたチケット貰っちゃった!動物の言葉がわかるって凄いわよね。ありがとうございます!


 マスターはお酒と料理を幾つか提供してくれたけど、パーティーには参加しなかった、残念。ご一緒したかったな。


 サクラさんによると直近の方達だけで楽しんでいるのだろうとの事だった。なんでサクラさんは参加しないのだろう?


 顔に出ていたのか、すぐに答えが飛んできたわ。

 サクラさんはやらかして魔王邸を出入り禁止になったんだって。何をしたかは教えてくれなかったけど、彼女はマスター相手だとポンコツになる傾向にあるので納得ね。


 むしろなんでそれで関係を続けてるんだろ?私にはわからないけどそれがオトナってことなのかな。


 イタチさんが少し席を外すと、サンタクロースに扮して事務所に突撃してきた。それは文字通りの突撃で、ソリの上にプレゼントを載せて空を飛んで来た。トナカイは3Dホロで作ってたのでとっても幻想的な絵面だったわね。粉々になった窓ガラスも綺麗だったわ。


 現実逃避はここまでにしましょう。サクラさんが大激怒!イタチさんは床に沈むことになったわ。何やってるのよもう!


 時間遡行は私達にはインプットされてないので、マスターに連絡して来てもらったわ。普通に掃除しようにも料理とか全部ダメになっちゃってたしね、マスターごめんなさい!!


 綺麗になった事務所で気を取り直してプレゼントが配られる。みんなに笑顔が戻って無事にパーティーは終わったの。


 巨大なソリをどうやって外に出すかは考えないことにしたわ。



 今年の初め頃はお先真っ暗だったのに今は楽しく過ごせている。本当は父さんもここに居られれば良かったのに……。


 でも今も現実感が無いのは変わらないかも。マスターのおかげで気持ちの向きはだいぶ違ったものになったけど。


 あの時は夢ならすぐに覚めて欲しかったけど、今は続いて欲しい。でもいつかは復讐も終わって、夢のような時間は終わる。


 その時、無事に普通の女の子に戻れることを祈るばかりね。

 その手助けをマスターは約束してくれたわ。


 そうしたら新しい夢を見ながら生きていくの。ステキでしょ?



 …………



 2010年3月。


 新しくノートパソコンを買ったので日々の記録をつけてみるわ。可愛い色と形のお気に入りよ。うさぎシールも貼った私仕様!


 なんで新生活から2年以上も経って今さら?

 決まってるじゃない、コイビトが出来たからよ!


 アイジンじゃなくてコイビト、これ重要ね。


 相手は○○○○・○○○。かつてはサイトの悪魔、今は現代の魔王と呼ばれる男よ。昔は敵だったし、胡散臭いだけのモブ顔と思ってたわ。

 私も彼自身も気が付かない内に引き寄せられてしまって、最初は正直いい迷惑だと思ってた。


 でもね。マスターは私に色々なモノをくれたわ。

 窮地に命を助けてくれたし、古傷含めて身体も治してもらえたし。仕事も部屋も食事も服も娯楽も友達も思い出も、そして様々な感情も。


 直接戦ったわけじゃないけど、敵の暗殺者だった私によ?


 気がついたら、照れくさくて素直にマスターって呼べないくらいにドキドキしちゃってたわ。呼び名自体はすぐ慣れたけどね。でもテンチョーって呼ぶ度にマスターと呼べって命令されるのがちょっとゾクゾクして――おっと、話を戻すわ。


 治療の時にハダカどころか中身も全部弄くり倒されたっていうのもドキドキの原因の1つだけどね。ちょっと大胆に求めちゃったマッサージでは、どえらい事になったりもしたし。


 ぐ、こう書き出すとモノに釣られて触らせた女みたいじゃない!そうじゃなくて、決め手は優しかった所かな。


 優しさが伝わるって難しいと思うのよ。私達は敵同士だったし、普通は悪意を持って勘ぐるもの。


 彼はただ物をくれたわけじゃなくて、必要なものを見抜いてくれるの。私がもぐりのラーメン屋の店員になった時も、上手くやっていけるように手を尽くしてくれたわ。


 それはチカラの効果だと言われたらそれまでだけど、チカラだってその人の1部なんだよね。気持ちで動かすんだし。

 それにコイビトに成れたのもマスターが私の意思を汲んでくれた部分が大きいし。私からはその話をする勇気が出なかったんだ。



 でも、問題はここからなのよねー。

 マスターは妻子持ちなの。特殊な生活環境のおかげで私の交際を認めてもらえたけど、もちろん制限もあるワケ。


 奥さんは時々マスターより怖いけど凄く良い女性だし、彼女が私を気に入ってくれて猛プッシュしてくれたから今がある。


 娘のセツナちゃんは超絶可愛くて、魔王邸のアイドルよ。あ、もちろんシーズの3人も素敵なアイドルよ。


 そんなマスターの家族の邪魔するわけにはいかないと思ってる。今はまだ一緒に仕事して、デートして、じゃれ合ったりして満足しているけど……いつかはその、子供だって欲しくなる訳で。


 魔王邸の母屋では奥さんとの子供以外は育ててはいけない。そのルールだと結局離れ離れになるのよね。母子家庭ってやつ。


 もちろんそうなる覚悟で交際を始めたのだけど、ちょっとビビっちゃったかも。いっぱい話し合って決めよう。うん。


 カナさんやクマリちゃんも境遇的には同じだけど、もう毎日マスターと身体を重ねてて、光年単位で先を行ってる。


 私が彼女達のようになるのにはまだ時間が掛かりそう。

 私は暗殺者だったし身体の弱い所を晒すのは本能的に苦手なの。もちろん触って欲しくはあるわよ?今までも触ってもらったし。


 でも本格的に最後までとなると、躊躇しちゃうわね。マスターのあんな凶器を自分のここに?震えちゃうわ。首筋を触られるのもまだ苦手。その辺は職業病よね。


 友達のもっちゃんは必死にソレをしたくて頑張ってたけど、私はいずれってことにしてもらうわ。彼女みたいにデーモンメイデンにならない程度に。


 当面の目標としては、まずは手とか口で……って何を書いてるんだろう私!


 うわ、初日なのに長々と書いちゃったわね。今日はここまでにして、明日の接客口上を考えながら寝ましょう。


 おやすみなさい、家族のみんな。



 ※以下、厨二病乙女(成人)のイチャイチャ記録なので割愛。



 …………



 2010年5月。


 ようやくスマホの使い方にも慣れてきたかな。

 これより前の日記はぐちゃぐちゃで恥ずかしいから消しちゃった。ちょっともったいなかったかも?


 今日はお兄ちゃんが帰ってきた。オシゴトの都合でGWは無理だったけど世間とはずらしてお休みとれるんだって!

 思わず抱きついてほっぺにちゅーしたら凄く焦ってた。かわいい!今日は一緒に寝て、明日は一緒におでかけするんだ。



 友達にぶらこんって言われたけど、お兄ちゃんを好きになっちゃいけないなんて法律ないもん!だって家族だよ?

 そう言いかえしたら呆れた顔で好きにしてって言われた。

 うん、がんばる!


 ※割愛。


 同年8月。


 お盆は一緒にいられなかったけど、それを過ぎたら帰ってきてくれた。待ってたよ、お兄ちゃん!警備のオシゴトお疲れさま!


 私も夏休みだしいっぱい遊ぼうね。何処に行きたい?って聞かれてプールと縁日と買物と水族館とってたくさん候補をだしたの。そうしたら全部一緒にいってくれるって!お兄ちゃん大好き!


 プールでお兄ちゃんがナンパされてた。自分の中にメラっと燃える物を感じて、勢いで追い払ってあげたわ!今日は私と一緒の日なの!


 でも帰ってから反省。お兄ちゃんに彼女ができるチャンスを潰しちゃった。でもずっと側に居てと思っちゃう私もいる。

 どうしちゃったんだろう。


 縁日は混んでて、ピッタリくっついてまわることになったわ。出店巡りしたり花火を見たり楽しかった!

 この時の私の腕と胸の中には確かな温もりを感じていた。幸せってこれのことだったんだね!


 今日は隣町にお買い物に行ってきたわ。市民ホールでこすぷれ広場があって、色んな格好をした人達が楽しそうにしてた。

 商店街も同じ様に個性的なお店が並んでて、可愛い彼女だねって店員さんに言われちゃった!えへへ。妹なんだけど嬉しくなっちゃた!


 決めた!高校はこの街にしよう。って、気が早いかな?


 今日はお兄ちゃんと水族館デート!大きな水槽にたくさんのお魚が泳いでいて圧倒されちゃった。ペンギンやアシカはとても可愛い!

 もう中学生になったのに全身ではしゃいじゃったわ。我に返ってもじもじしてたらお兄ちゃんが頭なでてくれた。しかも優しい顔!思わず顔から抱きついて離れられなくなっちゃった。


 数日だったけど凄く良い思い出ができたよ。

 特に水族館はお気に入り。また今度も行きたいな!


 ※割愛。


 同年12月。


 あう、そうよね。休日がずれるってことは一緒にクリスマスは祝えないのよ。それに夜勤だって話だし……。

 でもこっそりメッセージを送ってくれて嬉しかった!

 帰ってきたら一緒にケーキ食べようね!

 年が明けなければロスタイムだからセーフよ、うん!



 …………



 2010年4月。


 キリ姉さんがカワイイぱそこんを買ったので、わたしもおねがいして買ってもらったの。


 でも、もじを打てるようになるのに時間がかかっちゃった。

 パパはそれでも早いとほめてくれた。うれしい。

 でもでも、いんたーねっつはダメなんだって。子供には”ゆうがい”らしいよ。こわいからイイツケはまもろう。



 私は○○○○・セツナ。”今年で”4さいになるの。ママとおそろいのギンイロのかみのけがお気に入りです。


 パパはせかいじゅうから嫌われてるって聞いたけど、私は大好きです。やさしくてかっこうよくて、ざっしにものったことがあるジマンのパパだよ。大きくなったらぜったい、パパとケッコンするんだ!



 私は今年で4さいだけど、たぶんもっとお姉ちゃんだよね。このおうちにいると”ジカンノナガレ”がお外と違うみたいで、ずっと長く生きてると思うんだ。

 でもあまりオトナっぽくならないんだ。カラダもだけど、あたまも3さいのままな気がするよ。おべんきょうもあまり好きじゃないし。


 パパに聞いてらチョウセイしてるからだいじょうぶって言ってたよ。もっと大きくなったらいろいろと分かるようになるんだって。パパが言うならたのしみにしてるね。


 まいにち朝にパパとママとお風呂に入ってるんだけど、パパがわたしを洗ってくれるの。やさしい!

 そのときにカラダが白く光るんだけど、それがチョウセイなのかな。あと私も自分で白く光れるよ。ちょっとだけ飛べたり、早くうごけてべんりなの。


 お風呂のときにいつも思うのだけど、私とパパとママってカタチがちがうの。ママはおむねが大きいし、おまたにギンイロのけが生えてるし。パパも黒イロのけがはえてるけど、もっとすごいのが生えてるの!


 それなーに?って聞いてもオトコはだいたい生えてるものだとしか言ってくれない。カラダのコトだとケチになるのよね。


 でもママがやさしく洗ってあげてるのをみると大事なものなのかな。ときどきカタチが変わるから、別のいきものみたい。



 同年5月。


 キリ姉さんがぜっこーちょー。パパのアイジンになってから、だれもいないところでクルクルしてるの!

 あ、コイビトって言わないとおこられちゃうんだった。


 ママはそんなキリ姉さんを笑顔でみてる。そういうのってウワキって言ってダメなことじゃないの?てれびではそう言ってたけど。オトナってよくわかんない。


 ところでアイジンとコイビトのちがいってなんだろう?



 同年6月。


 きょうもパパといっしょにゲームセンターであそんだの。

 めだるがたくさんとれたよ。ぴかぴかがいっぱいでうれしい!おべんきょうも見てくれるしお風呂もいっしょだし大好き!


 よく聞かれるけどママも大好きだよ?でもわたしのカラダはひとつしかないから、一番好きなパパのところへ行くの。


 でもパパとママがいっしょに作ったゴハンは大好き!とても美味しいし、いっしょに食べるとしあわせ!



 同年7月。


 きょうはケーキを食べたの!もんぶらんっていうケーキ。キリ姉さんは今年も?って何かかんがえていたけど、パパにきにするなって言われてた。


 パパとママの部屋のおとなりに、わたしの部屋ができたよ。

 ここがわたしのお城になるのね!でもほんとうはパパとママといっしょにねたいなぁ。


 なんでこうなったかと言うとね、この前おトイレに起きたら、パパとママが変な声を出しながら遊んでたの。

 何してるんだろうって近づいてみたら、カナ姉さんに持ち上げられて別の部屋に連れて行かれちゃった!


 もしかして私、いけないものを見ちゃったのかな。

 悪い子だから追い出されちゃったの?


 つぎの日の朝にいっしょにお風呂に入ったら、パパもママもやさしく抱きしめてくれた。私が悪いわけじゃないんだって。

 よかった!でもオトナにはヒミツのコトが多いから、私にお部屋を作ってくれることになったの。


 私もここでヒミツを作ってオトナにならなきゃ!


 パパとママがヒミツのコトがおわってから、いっしょにねてくれたの。やっぱりパパとママはやさしいね。だいすきです。



 同年8月。


 きょうはキャンプに来たよ。私の家族だけじゃなくて、ほかの家族もたくさん来ていたの。なんでも、今日来た子供は全員妹なんだって。ちょっと何言ってるかはわからなかった。


 ママは生んでないのに私の妹?よくわからないからあとで調べてみよう。おうちのお姉さん達なら教えてくれるかな。


 みんなで神社でオマイリしてからキャンプ場にむかったよ。みんなでテントを張っておりょうりしたんだ!


 オトナの女の人達はなんか目がこわいけど、妹?達はちっちゃくて可愛かったわ。きみたちは大きくなっても怖い目にならないでね。


 神社のおばあさんが様子を見に来たよ。言ってることはよく分からなかったけど、やっぱり目がこわかったよ。パパがすぐに来てくれたから、やっぱり怖い人だったんだね。


 キャンプは怖い動物に気をつけてねってママに言われたけど、その通りだったね。今度はおうちのみんなだけで行きたいな。



 ※割愛



 同年11月。


 今日もコジインの子達と遊んだよ。白い光ばかりつかってると足が強くならないからってコジインで鬼ごっことかしてるんだ。負けそうな時はこっそりつかってるんだけどね。


 コジインには男のオトナの人もいるけど、みんな優しくしてくれるよ。たまにふるえてるけど、さむいならウワギを着ると良いんじゃないかな。



 今日は誕生日!4さいになったの。ママとお姉さん達が立派なケーキを作ってくれてしあわせです!


 パパもママもお姉さん達も私の可愛い所センシュケンとかいいだして私の事をたくさんお話してくれたの!

 ちょっと恥ずかしいけど、みんなが私を好きになってくれてうれしいな!私もみんなが大好きです。でもパパが1番!


 せけんでは、パパとママの呼び方がかわるんだって。オトナになるとかっこうつける必要があるのね。


 でもオトナって何さいから?5歳くらいかな?じゃあ来年はお父さんお母さんって呼ばなくちゃ!私はもうすこしパパ・ママって呼びたいなぁ。


 でもはやくオトナになりたいし、今のうちにいっぱい呼んで来年はオトナになった私をみせてあげよう!


 パパはよく私に将来は何になりたいか聞いてくる。パパのお嫁さんっていうとものすごくよろこんでくれる。私もうれしい!


 でもママがね?お嫁さんだけじゃなくて、自分で何かやりたいことはないの?って聞いてきたの。


 私は少し考えてみたんだ。


 心に浮かんできたものは、私はパパのお店を手伝いたい!だった。


 いつもジカンノナガレを変えて世界中をとびまわってるパパ。夕方からはオバケさん達におりょうりとおさけを作っているパパ。いろいろと調べ物をして家族のみんなの為に働いてくれている。


 ちょっと働きすぎじゃないのかな?だったら私がスイセーヤを手伝ってキリ姉さんと、パパを助けてあげるんだ!


 そう伝えたら、みんなに抱きしめられてもみくちゃになっちゃった。パパはなんか泣いてたし。そんなに嬉しかったの?


 だったらうん。おべんきょうは苦手だけどがんばる!


 私はしょうらい、スイセーヤのテンチョーになるわ!


お読み頂き、ありがとうございます。

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