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騎士とJK  作者: ヨウ
第三章 天険カスケード
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第81話 ジョブチェンジ②

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■装備

 紅の騎士剣(レーヴァテイン)

 レザーアーマー

 火喰いの円盾(フレイムシールド)


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「まさか、武器の名前まで変わってるなんてな」


「こんな武器、WOTに無かったんですけど……」


 アスカのアイテムボックスに収納した物は、メニューウィンドウに名前が表示される。ついこの間までは確かに『火喰いの剣』(フレイムソード)だったのに、いつの間にか『紅の騎士剣』(レーヴァティン)と名前が変わっていた。


「ちょっと丈夫になって攻撃力も上がってるみたいだよ」


「へぇ、気づかなかったな。あーそう言えば、たぶんアレ(儀式の真似事)をやってから、この剣は使ってなかった気がするな」


 見た目は火喰いの剣の時から何も変わっていない。というか『鋼鉄の剣』だった時からも、剣身が白っぽくなったぐらいでほとんど変わってないんだけど。


 でも性能は上がったって話だし、試し斬りでもしたいところだな。


「だめよー。下位職を全部修得(マスター)するまではレベル上げはしない予定なんだから」


「はいはい、わかってるよ」


 王都に着くまでは支える籠手の連中に助けてもらって、俺は盾役に徹すればいいし。殴られてばっかりってのはちょっとストレスたまるけど、敵の攻撃を見極める訓練にはなるから、まあいいや。


「やっぱゲームとは違うなー。騎士イベントを自前で起こしたうえに、武器が大事な物(ユニークアイテム)になっちゃうなんて……」


「確かに不思議な話だよな。佩剣の儀の真似事をしただけで、武器の性能が上がるなんて聞いたことも無い」


「そうねー。でも、真似事ってのはどうなのー? あの時のアル、役者さんみたいでかっこよかったのにー。ごっこ遊びしただけだったんだー?」


「いや。そんなつもりは無いさ。アスカの騎士になるという誓いに嘘偽りは無いよ」


「うくっ……ちょっ……弄るつもりだったのに、不意打ちはずるい!」


 アスカが顔を真っ赤にし、両手をパタパタと振って顔を扇いだ。


「……不意打ち?」


「もういい! それで! 加護はどうするの!? 【騎士】(ナイト)!?」


「お、おう。うーん、どっちでも。あえていうなら騎士かな?」


「どっちでも? あんなに【騎士】になりたがってたのに?」


 キョトンとした顔をするアスカ。そりゃそうだ。あんだけ騎士、騎士って言ってりゃ執着してるって誰だって思うよな。でもその執着、今となってはもう……ね。


「……前はね。でも言ったろ? 今の俺は【騎士】の加護を得たいんじゃなくて、アスカの騎士になりたいんだって」

 

「うくぅっ……この天然め……。はいはい、わかりました!! じゃあせっかくだから【騎士】にします! はーい【ユニークアイテム】どーん! 【紅の騎士剣】ぽちっとなー! はい! 終了!」


「雑!! ……っておおっ!?」


 アスカの適当な言葉とは裏腹に、俺は身体の奥底から湧き上がって来るかのような力に打ち震える。体中の肉という肉が一斉に騒ぎ出し、肚のど真ん中に火を宿したかのような熱量を感じる。


 初めて【盗賊】の加護を得た時の身体が羽のように軽く感じた時とは違い、身体がずっしりと硬質化したかのような感覚。背筋に一本の太い鉄柱が入ったみたいだ。


「……すごい! これが! これが!」


 これが騎士の……力なのか!



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アルフレッド


■ステータス

Lv : 8

JOB: 騎士Lv.1

VIT: 459

STR: 383

INT: 224

DEF: 638

MND: 194

AGL: 510


■スキル

初級短剣術・初級弓術・初級剣術・初級槍術・馬術

夜目・索敵・潜入

鉄壁・盾撃・挑発


魔力撃Lv.1(騎士)・投擲Lv.2


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 アスカにステータスウィンドウを見せてもらい、自分の感覚に納得した。魔力・精神力・敏捷値は全く変わっていない。だが、体力・攻撃力・防御力が大きく向上している。


 上位の加護ってのは本当にすごいな。ギルバードが力強かったはずだ……。でも、今の力なら真正面からギルバードとぶつかっても当たり負けることは無いだろう。


 あの魔人族にだって……いや、あれは無理か。至近距離で戦い始めればいい勝負になるだろうけど、中長距離からだったら十中八九は矢継ぎ早に放たれる火魔法で削り切られて黒焦げにされるな……。


 だけど、加護のレベルが上がれば、いい勝負が出来るようになれるかもしれない。なんだか、アスカの訓練(キャンプ)が楽しみになって来た。まずいな……気づかないうちにたいぶアスカに調教(どく)されてきているみたいだ。


「ステータスも上がったけど、新しいスキルを覚えたみたいだな。【魔力撃】(スラッシュ)…か。ギルバードが使ってきてた……」


「うん。初の攻撃スキルだね! 【魔力撃】は魔力(MP)を消費して攻撃力を上げるスキルなんだけど、物理職だけ育ててると魔力切れを起こしやすいのが難点なんだよね。でも魔法職を修得するとかなり使い勝手が良くなるの。修得済みの【盗賊】も騎士よりは魔力が高いから、今でもそこそこ使えると思うよ!」


「へぇ……剣に魔力を乗せるか……。そういうスキルだったんだな。他にはどんなスキルがあるんだ?」


「自己バフ系だね。攻撃力と防御力を高めるスキルを覚えられるよ」


「……ちなみに、どうやって覚えるんだ?」


 これまでアスカには何の説明もされずにスキル習得のための訓練をさせられていた。さすがに今回は事前に説明しといてもらいたいところだ。


「攻撃力を高めるスキルが【烈攻】(アグレッサー)、防御力を高めるスキルが【不撓】(ディフェンダー)だよ。烈攻は敵を攻撃し続ければオケ。不撓は敵から攻撃され続ければ習得できるよ。習得自体はわりと簡単かな。レベル上げがマゾいけど。あ、ちなみに魔力撃は、聖剣か魔剣を使って敵を倒せば習得できるから、剣闘士だった時に習得条件を満たしてたみたいね」


 アスカはあっさりと教えてくれた。今まではノーヒントで訓練させてスキルを習得させるっていう、ちょっとしたイタズラを楽しんでたみたいだったから、ちゃんと教えてくれたのは意外だった。


「別に嫌がらせしてたわけじゃないよー? 習得条件を言ってもピンと来なそうだったから、身体で覚えてもらっただけだって」


「その辺は割と厳しいよな、アスカって」


 まあ訓練に関してはアスカの言う事を聞いてれば、まず間違い無いから別に良いんだけどさ。


「魔力撃は火喰いの剣を使ってたから覚えたのか? あれは魔剣だったんだな……」


「うん。魔力を消費して火属性付与と火傷の追加効果を発生させる魔剣だね。いつの間にか聖剣に化けちゃったけど」


「ふーん……。元からそんなに優秀な武器だったのか。それにしてもこの剣が、聖剣かぁ」


 俺は『火喰いの剣(フレイムソード)』改め『紅の騎士剣(レーヴァテイン)』を目の前に掲げてまじまじと見つめる。パッと見は何も変わって無いんだけどな……。


「って言うかさ。それよりも気になるとこがあるじゃん」


「え? なんか、気になるか?」


「名前よ、名前!!」


 呆れたような表情で俺を見るアスカ。名前って……あっ……


「俺の名前が……変わってる」





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