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騎士とJK  作者: ヨウ
第三章 天険カスケード
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第79話 剣闘士Lv.★

「うぉぉぉ!!!」

「やったぞ! 変異種を倒したぞ!!」

「見たかよ! 俺の【牙突】(ブリッツ)!!」

「すげえ!! 無傷の勝利だ!!」


 抱き合って喜びあう支える籠手(ガントレット)の面々。特に槍術士の男は槍を掲げて大はしゃぎしている。


 俺は、盛り上がる支える籠手の連中の脇を通り抜けてアリンガム商会の馬車の方に向かうと、待ち構えていたアスカとハイタッチをした。


「おつかれ、アル! ケガしてない?」


「ああ、かすりもしてないよ。それで、どうだった?」


 俺が尋ねるとアスカが二コリと笑う。お、うまく行ったみたいだ。


「守りに徹してたおかげで経験値は入ってないよ! でも……【挑発】のスキルレベルは上がったよ! これで【剣闘士】(グラディエーター)Lv.★(マスター)だね!!」


 どうやら、うまいこと魔素(経験値)を支える籠手の連中に押し付ける事が出来たみたいだ。【挑発】スキルも使いまくったおかげでレベルアップしたし。ケガの一つもない。言う事なしの結果だな。


「アルフレッド」


 呼びかけに振り向くと、そこには支える籠手団長のサラディンさんがいた。


「よくやってくれた。あれだけの大物に襲われたのにお前のおかげで被害はゼロだ。助かったぞ」


「いえ、こちらも援護、助かりました」


 そう言うとサラディンさんはフンッと鼻を鳴らした。


「何を言ってやがる。キラーエイプの群れの方はともかく、あの変異種はお前一人でどうとでもなっただろう?」


「……どうですかね。さすがに無傷では済まなかったと思いますが」


「ふん。さすがは魔人族を倒した紅の騎士(クリムゾンリッター)といったところか」


 まあ、倒そうと思えば確かに何とでもなっただろうな。変異種の体当たりや爪撃を何度となく【鉄壁】で防いでいたから、【シールドバッシュ】で反撃するだけでもそれなりのダメージを与えられていただろうし。火喰いの円盾の効果で、火魔法に似た追加ダメージも与えられていたはずだ。その隙に剣を振るえば変異種を削り切るのにもさほど苦労はしなかっただろう。


「アルフレッド、あの変異種の素材はお前にやる。その代わりキラーエイプの方は俺たちがもらうぞ? それでいいか?」


 え? 変異種の素材もらっていいの? いや貰えるものなら貰うけどさ。


「ええぇー!!?」

「ちょっと待ってくださいよダンチョー!」

「そうっすよ! トドメ刺したの俺っすよ!? 狩りの分け前は貢献度順っすよね!?」


 と思っていたら、サラディンさんのセリフに他の団員から一斉にブーイングの声が上がった。


 うん、まあそうなるよね。おっしゃる通り、倒したの俺じゃないしね。まあ、俺はちょっとでも分け前がもらえればそれでいいよ。ケガの一つも負ってないし、消耗したのは体力と魔力ぐらいなもんだしね。


「馬鹿ヤロウ!」


 すると、すぐ後ろにいた赤髪ロングのお姉さんが槍術士の後頭部をどついた。ゴンっと小気味いい音が鳴り、槍術士が頭をおさえてうずくまる。


「いって!! 何するんすか姉さん!!」


「何じゃないよこのバカ! 支える籠手(ウチ)らが無傷なのは、アルフレッドさんのおかげじゃないか! 何もわかっちゃいないね、お前は!」


「うがっ! ちょっ、やめてくださいよ姉さん! なんだって言うんですか! そりゃあ噂の紅の騎士さんが、壁役やってくれてたのはわかってますけど、魔物を倒したのは俺らっすよ!? さすがに一番おいしい獲物の総取りは無いんじゃないっすか!?」


 頭をおさえてうずくまった槍術士に容赦なく蹴りをかます赤髪のお姉さん。いや、もうその辺で……。こっちは上手いこと加護レベルも上がったわけだし、むしろ魔素を引き取ってもらうために攻撃役を押し付けたわけだし……。


「ほんっとにわかっちゃいないね! 私たちが無傷で戦えたのは誰のおかげだと思ってんのよ! アルフレッドさんが魔物の攻撃を全部抑え込んでくれなかったら、どんだけ被害が出てたと思う!? あんたはあの変異種の体当たりをあんなに簡単に抑えられるの!?」


「うっ……それは……」


 赤髪の姉さんは腕を組んで槍術士やブーイングをした魔法使い、斥候らしき人達を睨みつける。


「だいたい、キラーエイプの襲撃を防げたのは誰のおかげかしら? アルフレッドさんが教えてくれなかったら、まず間違いなく奇襲を受けてたわよ? 彼が飛び出してキラーエイプを引き付ける前に、誰か気づいてた? 【剣闘士】のアルフレッドさんが気づけたのに、私たちは気づけなかったのよ!? ウチの斥候は何をしていたの!?」


「…………」


 静まりかえる支える籠手の面々。いや、もうやめたげてぇ……。俺は【剣闘士】だけど元【盗賊】なんだよ。しかも俺の【索敵】は猫娘のエマよりも優秀なぐらいだったんだ。だから先に気づけたんだよ。


 俺は助けを求めるようにサラディンさんを見るが、彼は赤髪姉さんの言葉にウンウンと頷いていた。止めてくれよダンチョー。


「キラーエイプの群れを一か所に集めて、しかも弓使いと魔法使いが狙いやすくしてくれたのは誰!? 変異種の猛攻撃を受け止めて前線を維持してくれたのは誰!? キラーエイプどもに先手を打たれていたらウチだけじゃなく、隊商を危険に晒してたかもしれないのよ!?」


「……それは……確かに、そうかも……」


 斥候役らしき小柄な女性が呟く。たしかに隊商から離れた場所に魔物を誘導し、射線が通るように立ち回ってはいた。でも、隊商ではなくクレアの馬車から離れるようにしていただけなんだが……。


「しかも隊商から魔物を遠ざけるために最前線で留まってくれてたアルフレッドさんを差し置いて、トドメまで刺しちゃうなんて! アルフレッドさんには魔素も入らないし、いいとこ無しじゃない!」


「もうやめてー。槍使いクンのライフはもうゼロよ」


 止まらない赤髪姉さんの口撃に、アスカがぼそっと呟く。いやお前、笑ってんじゃねえか。言葉と表情が一致してないぞ?


「……あの変異種、金毛のキラーエイプはアルフレッドの取り分だ。いいな、お前ら?」


「ハイッ!! すいませんっした!!」


「あ、ハイ。アリガトウゴザイマス……」


 一斉に頭を下げる支える籠手の面々。いや、なんかホント申し訳ない。魔素を得たくなくて守りに徹していただけだってのに手柄を譲ったみたいになってるし……。


 そんな俺をよそにさっさと金毛の変異種の遺体を魔法袋(偽)に回収するアスカ。ほんとにブレないなお前は……。




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アルフレッド


■ステータス

Lv : 8

JOB: 剣闘士Lv.★

VIT: 367

STR: 306

INT: 224

DEF: 510

MND: 193

AGL: 510



■スキル

初級短剣術・初級弓術・初級剣術・初級槍術・馬術

夜目・索敵・潜入

鉄壁・盾撃・挑発


投擲Lv.2


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