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騎士とJK  作者: ヨウ
第八章 動乱のジブラルタ
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第358話 新たな加護

「【地震(アースクエイク)】!」


 エルサが白銀人形(ミスリルゴーレム)に第七位階の地魔法【地震】を放つ。地面から突起した巨大な土の杭が白銀人形に食らいついた。


 だが、残念ながら白銀人形にほとんどダメージを与えられていない。土の杭は現れた端から、踏みつぶされている。


「あっ、きた! きたわ!!」


 それにもかかわらず、エルサは上ずった歓喜の声をあげている。おそらく1週間にもおよぶ修練が、ついに実を結んだのだろう。


「エルサ、おめでとー! 加護レベル、アーーーップ!!」


 アスカが両手をあげてぴょんっと飛び跳ねる。ようやくエルサの【大魔道士】のレベルが上がったのだ。


「んふふ、じゃあアル、ユーゴー! 片付けちゃって!」


 エルサの熟練度稼ぎが終わったなら、もう用はない。さあ眠れ、白銀(しろがね)人形(ひとがた)。願わくば我らに白銀(ミスリル)インゴットを与え給え。


「おうっ!」


 俺とユーゴーは弾かれたように走り出す。


「【伏竜】! はぁっ!」


 白銀人形が振り下ろした腕を紙一重で回避し、火龍の聖剣を突き出す。聖剣の刺突は深々と突き刺さり、白銀人形の胸に大穴を穿つ。


 【竜騎士】のスキル【伏竜】は、『時間の知覚を延長する』効果がある。発動の直後、一秒にも満たない一瞬が、俺にだけ十数秒にも感じられるようになるのだ。ゆっくりと流れるその一瞬で、敵の攻撃の軌道を見極めで最速の反撃を合わせれば、最大の効果を発揮することが出来る。

 

 アスカからは『攻撃してきた相手に突きで自動反撃するスキル』と聞いていた。だいぶ効果が違うような気もするが、反撃に用いることが最適な使用法だろうから、概ね同じとも言えるのかな?


「うぉっと」


「【漆黒の諸刃(リバースエッジ)】!」


 俺の攻撃に被せるようにユーゴーが迫ってきたため、慌てて聖剣を引き抜いて飛び退る。刹那、全身を弓のようにしならせて飛び込んで来たユーゴーが、漆黒の魔力を纏わせた大剣を振り下ろす。白銀人形はあえなく真っ二つに両断され、崩れ落ちた。


「わぁっ! 白銀が落ちたのです!!」


 いいね。アリスの【鍛造(フォージ)】で鍍金(めっき)すれば、俺達の装備をさらに強化することが出来るから、白銀はどれだけあっても有り難い。でかした、人形。お前は俺達の強化に本当に役立ってくれたよ。安らかに眠ってくれ。


「おつかれー! 修行パート、終了だね!!」


「お疲れさま、みんな」


「見てみて! エルサー!」


 おっ、ステータスの確認か。


 俺達はアスカが開いた透明な石板(ウィンドウ)をのぞき込んだ。




--------------------------------------------


エルサ・アストゥリア


■ステータス

Lv : 43

JOB: 大魔道士Lv.2

VIT: 747

STR: 289+300

INT: 3335

DEF: 1040

MND: 2739

AGL: 1098+300


■スキル

第七位階黒魔法


初級細剣術Lv.6・馬術Lv.4

聖焔(セイントファイヤ)Lv.1・津波(アラウンドノヴァ)Lv.1・雷雲(カムロニンバス)Lv.1・槍雨(グングニール)Lv.1


■装備

天龍の短杖(ロッドオブサンクタス)

白銀の細剣(ミスリルレイピア)

神鳥竜の半外套(ガルダのハーフコート)

風装の足輪(クイックアンクレット)

火装の腕輪(ブレイブバングル)


--------------------------------------------

 


 無数の火球で広範囲を焼き尽くす【炎嵐】(ファイヤーストーム)、氷矢を雨のように降らす【氷雨】(アイスレイン)、巨大な旋風を巻き起こし無数の風刃で切り刻む【威風】(テンペスト)、無数の土の杭で突き崩す【地震】(アースクエイク)。エルサは全属性の第七位階黒魔法の修得を果たし、ついに【大魔道士】の加護レベルを上げた。


 レベルも10以上は上がったため、ステータスの伸びも凄まじい。闘技場で出会った頃のほぼ四倍、アストゥリアから旅立った頃と比べても二倍以上の数値になっている。


「あ、ユーゴーもスキルレベルが上がってるよ!」


 アスカがウィンドウを指さして、ユーゴーの肩をポンポンとたたく。



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ユーゴー・マナ・シルヴィア


■ステータス

Lv : 45

JOB: 獣王(ビーストキング)Lv.1

VIT: 2123

STR: 3033+50

INT: 253

DEF: 2064

MND: 455

AGL: 2574


■スキル

大剣術

金剛(ヴァジュラ)戦場の咆哮(ウォークライ)狂乱の戦士(ベルセルク)

崩撃(クラッシュ)覇撃(ショック)漆黒の諸刃(リバースエッジ)


不倶戴天Lv.1・明鏡止水Lv.6・献魂一擲Lv.1


■装備

風龍の大剣(ソードオブヴェントス)

双竜の革鎧 

双竜の籠手

ガーネットのブローチ


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 ユーゴーのスキル【狂乱の戦士】の修得には本当に苦労した。力・体力・精神力・敏捷を一気に強化する超強力なスキルなのだが、発動すると理性を失い、敵を仕留めるまで止まらないという厄介な欠点があったからだ。


 直接攻撃のスキルでは無いので発動を繰り返しさえすれば修得できると安易に考えていたのだが、発動したとたんにユーゴーは雄叫びを上げて敵に突っ込んで行ってしまう。しょうがないので道中に出現する魔物相手に熟練度を稼いでもらったのだが、敵を殲滅するまで止まらないのでどんどん魔素(経験値)を得てしまう。魔素を得てレベルが上がってしまうと、今度は熟練度が稼ぎにくくなってしまう。


 これにはさすがのアスカもお手上げでどうしたもんかと困っていたのだが、レベルが40に達した時にユーゴーが新たに習得したスキルが悩みを解決してくれた。獣戦士の上位加護【獣王】のスキル【明鏡止水】が、『狂乱』状態を抑えてくれたのだ。


 アスカの検証が済んでいないのでまだ詳細は分からないが、おそらく【明鏡止水】は『狂乱』を抑え込み、理性を保つためのスキルだ。獣の本能を抑え込めるからこそ『獣の王(ビーストキング)』たる加護なんだろうな。



 そんな苦労を重ねたユーゴーもまた、凄まじい成長っぷりを見せてくれた。全てのステータスが、シルヴィア大森林を発った時の約3倍にまで伸びたのだ。


 あの時点ではまだ二つしかスキルを修得していなかったので、加護のレベルも2段階しか上がっていなかった。それが海底迷宮での熟練度稼ぎを経て、6つのスキルを修得、加護レベルも6段階上がった。


 攻撃力は俺達のパーティ最強。あっさりと抜かれてしまった。


 ああ、ちなみに魔法攻撃力最強はエルサだ。こっちも、あっさりと追い抜かれた。シルヴィア大森林の時点で既に抜かれてたけど。



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アルフレッド


■ステータス

Lv : 43

JOB: 騎士Lv.★

VIT: 2730

STR: 2730

INT: 2730

DEF: 2730+330

MND: 2730

AGL: 2730+300


■ジョブ

騎士(ナイト)拳闘士(ファイター)竜騎士(ドラゴンナイト)

導師(プリースト)魔道士(ウィザード)暗殺者(アサシン)


■スキル

剣術・盾術

初級弓術・初級槍術

馬術・投擲

夜目・隠密・警戒・瞬身・暗歩・影縫

挑発・盾撃・鉄壁・烈攻・不撓・魔力撃

威圧・気合・爪撃・内丹・心眼・剛拳

第六位階黒魔法

第六位階光魔法

牙突・跳躍・看破・貫通・鎧通し・伏竜


■装備

火龍の聖剣(ソードオブイグニス)

火喰いの投げナイフ

双竜の革鎧

混沌の円盾

風装の足輪(クイックアンクレット)

土装の腕輪(プロテクトバングル)


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 ずらっと並んだ加護とスキルは全て修得済み。レベルも40を超えてステータスも大幅に上がってはいる。力と魔力はエルサとユーゴーに譲ったが、総合力ではまだまだ負けていない。


 だけどねぇ。なんていうか、良く言えば『万能』、悪く言えば『器用貧乏』というか……。


 いや、わかってる。始まりの森から旅に出て1年とちょっとで、あり得ないぐらい強くなったのも自覚している。


 これだけの数のスキルを修得したのだ。引き出しの多さ、戦況に合わせた適応力や応用力では、俺に並べる者などいないと思う。


 でもさ、やっぱり尖った強さって憧れるじゃないか。『強力な大魔法』『一撃必殺の剣』ってのを身に着けたいと思うじゃないか。


 残念ながら、俺がそれを手に入れることは無いのだけど……。

  



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