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「あれを見てなんだかわかる?」
と少女は斜め上の方を指で指す。
俺がそっちの方をゆっくりと見上げると、空中に浮いている島のようなものが見える。よく、童話やおとぎ話に出てくるような空中都市といったものだ。
「ーー始めて見た……、」
「そうよね、そのはずよね、」
「おい、イライラせずにちゃんと答えてくれないか」
「この状況下でこの私がイライラせずにいられないわけはないでしょう!」
「なぜ?」
「あぁ〜もう、何も知らないあなたと話をしていると余計に腹が立ってくるわ。
いい、この私が直々に教えてあげる。
あの空に浮いている空中都市は『アルヴェル』。
この世界の一等貴族が住まう場所なの。
そして、この私の居住区でもあるの。
それに対して、ここはこの世界で最下層になり、市民権すらない存在が暮らす場所になるのよ!
いい、わかった?
一等貴族であるこの私が、こんな場所にいていいはずなんてないのよ」
「そうか、それで?」
「だから、この私がこんな場所にいていいはずなんてないの。
だから、ちゃんと市民街のある場所まで私を案内しなさい。
そうすれば、この世界の役人がちゃんと私のことを理解して本来いるべき場所にまで案内するはずだから」
と傲慢に言い放つ少女。
だがーー、
「そんなこと俺にできるはずがないだろう」
「なぜ?」
「俺はこの世界に始めて来たのだから……」
「いやぁぁぁぁぁぁ〜」
再度、少女の悲鳴が周囲にこだました。