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ハレルヤ  作者: 雨野知晴
3/12

第二話

「かすみちゃん、すずらんちゃん、そとにあそびにいこうよ。」


なんて懐かしい夢


あの悪夢の夢じゃないの。


「うん、いいよ」


行っちゃ駄目お姉ちゃん


あなたはこのあと事故に巻き込まれてしまうのよ


「おねえちゃん、はるやくん、かってにそとにでかけたらだめだよ。」


あいつのことはどうでもいいけどお姉ちゃんは駄目


そうよ昔の私、もっと強く止めなさい


「なら、おかあさんがいたらいいよね。」


駄目よ、そんなことしたら


このまま運命を進むと同じことになってしまう。


「う〜ん、それならいいかな」


・・・そうね


これは夢だもの


「はるやくんのおかあさん、そとにあそびにいきたいよ〜」


そう、ここでお姉ちゃんが小母さんを誘いに行った。


小母さんは優しい人っだった


「わかったは、それじゃあ外に行きましょうか。」


優しい小母さんは


私たちのお願いを断れるはずがなかった。


「ぼく、キャッチボールがしたい。」


そう、ここであいつがこんなこと言ったから


あいつがキャッチボールをしたいなんて言わなければ


「わかったわ。それじゃあ公園に行こうか。」


せめて別のことをしていたら


未来は変わっていたのかもしれないのに


そして、私たちは近所の小さい公園に向かった。


悲劇の始まりに・・・・・・






「ねえ、かすみちゃんキャッチボールしよ。」


風景が変わった。


『軽々しくお姉ちゃんの名前を呼ばないで』と言いたかったけど声が出るはずがない。


「うん、はるやくん。」


このころの私は体が弱く


たいてい見てばっかりだった。


「あ、ごめん、かすみちゃん。」


あいつがボールを公園の外に出てしまった。


そんなお姉ちゃんに『いかないで』と叫んでいる今の私がいる。


「いいよ、はるやくん、とってくるね。」


心配性の小母さんは急いでついていった。


その少し後ろにやっぱり心配になったあいつが付いていった。


「霞ちゃん道路に出てると危ないわよ。」


そういって歩道に出てきたばかりの小母さんの声を聞いて


路上にでていたお姉ちゃん振り返った瞬間にトラックのクラクションが鳴った。


「危ない、霞ちゃん。」


小母さんが路上に出ていたお姉ちゃんをかばっていた。


次の瞬間トラックにひかれていた二人


「おねえちゃん。」


その後からの記憶はない。




事故の夢が終わった。


なのに、死んだはずのお姉ちゃんが寂しそうな顔をしてこっちを見ているのだ


「なんでお姉ちゃん、私の夢の中でそんな顔をしているの。」


そう問いかけると


お姉ちゃんは消えて


夢は覚めていった。






・・・・・・・・・・



・・・・・・



・・・










「起立、礼」


今日、 大本 晴也 《おおもとはるや》は


朝、墓参りに行ってからあいつは学校に来なかった。


いい気分だ。


あいつの顔なんて見たくないから。


6年前のあの日


私から大切なものを奪っていった。


私の双子の姉を・・・


あの日・・・・・・


だから、私はあいつの居場所を奪ってきた。


私の目の前から消えるまで・・・


それにしても懐かしい夢を見た。


6年前の事故の日の夢


だから、あたしは今朝、墓参りに行くことができなかった。


学校が始まる前に一度行こうと思っていたのに・・・


あんな夢を見たら行きにくくなってしまったので


学校が終わってからにすることにした。


あの夢を見てしまったから・・・


「鈴蘭、今日部活はいく。」


「ごめん、今日は用事があるからいけない。


先生には伝えてあるから。」


「そう、分かったわ。


にしても今日あいつ来なかったわね。


ついに学校に居づらくなって不登校にでもなったのかしら。」


「さあ、私には関係ないわ


あんな人殺しのことなんて。」


「・・・そうよね。」


あいつのことを話題に出したことに怒っている私を見て


事故の前からで昔からの幼馴染の水家 由季みずやゆき


その話をすることはなくなった。


あのあと私はあいつが自分の母親とお姉ちゃんを殺したことを言いふらし


あいつはそれから虐められるようになり


学校には居場所がなくなった。


当然だ。


私からお姉ちゃんを奪っておきながら


ただ普通に生きていくことを私は許さなかった。


そしてこれからも許す気はない。


「それじゃ、由季またね。」


「また明日、鈴蘭。」


私は一度、家に帰って父さんと母さんと一緒にお姉ちゃんの墓参りへ


父さんも毎年この日は仕事を休んでいることが多い。


そして私が家に帰ってから


一緒にお姉ちゃんの墓参りに行く。


あの日から私は一か月ほど目を覚まさなかったそうだ。


お医者さんによると


確証はないが双子であるお姉ちゃんが死んで


精神的にショックが強すぎたために目を覚まさなかったのではないか。


そして何らかの要因によって目が覚めたのだろうと言っていた。


そして、今、その墓の前にいる。


「お姉ちゃん、久し振り、元気にしてた。」


そう問いかけても帰ってくるっことがないと分かっているのに話しかけてる私がいる。


「あれからもう6年も経ったんだね。


いや、6年しか経っていないんだね。


私、綺麗になったでしょ。


もし、お姉ちゃんが生きていたら同じ顔していただろうから、


学校で双子の美人姉妹で有名になっていたかもしれないね・・・


ねえ、お姉ちゃん


夢の中でどうしてあんな悲しい顔していたの。」


そんな話をしている私に悲しそうな両親がいた。










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