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できれば芋なんかも手に入れたいな

 さて、エリコの街の中で、ソルガムやミレットの野生種を手に入れたことで、枯れ川(ワジ)しかないキルベト・クムランでの穀物栽培の目処はついた。


 まあ、麦に比べるとソルガムやミレットの種の大きさは小さめだから、収量的にはそこまでは期待していないけどな。


 それはそれとしてこの時代のエリコでも、四季を通してそれなりに食べるものを得られるから食料を得ることそのもののはそんな難しくない。


 人類はなんと約78万年前からヨルダン川の最大で2メートルもあるバーベルをおそらく銛を使って仕留め、火加減を適切に調節し、骨が溶けるまで、じっくりと加熱して食べていたくらいだからな。


 これは人類が火を使って調理をしていた最古のものだ。


 もちろん約78万年前では現生人類であるホモ・サピエンスは当然存在しないし、ネアンデルタール人もまだ存在しないので、いわゆる原人であるホモ・エレクトス・ハイデルベルゲンシスあたりのはずだが。


 ちなみにこの時代では食事は”腹が減ったなと思ったら食べる”ので、毎日一日三食食べるわけではない。


 一日に三食どころか二食でも実は多すぎるくらなんだが、農作業のようなきつい労働を毎日のようにしないといけない灌漑農業を行う農耕民族ではそれくらい食べないと体が持たなかったんだろう。。


 しかし、そこまで重労働を必要としないこの時代の人間は基本腹が減ったなと思ったら食べものを取ってきて食べるスタイルだ。


 まあ麦やどんぐりのように保存が効くものの収穫はまとめてやるわけだが。


 ちなみに毎日毎日狩りや釣りなどに精を出しているわけでもない。


 そう考えると農耕社会のような食べ物を作るために必要な労働のために食べ物をたくさん食べないといけないというのは実に効率が悪い


 さらに食べるものが穀物中心だと膵臓に負担も大きいから糖尿病のような生活習慣病にもなりやすいしな。


 この時代の人間の寿命は随分短いように思われているが、狩猟採取時代の寿命は農耕民族の農民などより実は長い。


 また平均寿命はともかく成人すれば70くらいまでの長く生きられる人間は結構居るらしい。


 狩猟採集民の生活水準は、実は産業革命以前の大半の農民の生活水準、例えば日本では幕末までの農民などよりずっといいんだ。


 まあ、乳幼児のうちは身体が小さく体温の保温が難しいから、温帯より寒い地域では冬などの風邪や伝染病などによって15才までに半分以上は死んでしまうのだがな。


 その代わりに狩猟採集民たちは健康寿命が長い、アルツハイマーも糖尿も高血圧もガンもない。


 流石に歳を取るとピンピンしてたやつが肺炎でいきなり死んだりするけどな。


 なんせこの時代は暖かく、食料にそれほど困らず、タンパク質やビタミン、ファイトケミカルの多い食事をしてるんだから、穀物ばかりで栄養が偏りがちな農耕民族より身体が丈夫なわけだ。


 それはともかくとしてアフリカの食用作物は、ソルガムに加えてヤムイモもある。


 ヤムイモは日本では自然薯が存在するが、外見的には長芋のようなものとか、さつまいものようなものなどもある。


 基本的にはアフリカや東南アジア、南アジア、中央アメリカなどの熱帯雨林などが主な栽培地域だな。


 ちなみにチンパンジーもヤムイモを食べるが、ヤムイモの種子や葉は食べてもイモは食べない。


 これはヤムイモには一部の種をのぞいてシアン化合物などの毒成分やサポニンが多量に含まれているからだな。


 ちなみにタピオカの原料であるキャッサバも実は同様だったりする。


 なので毒抜きのためにに潰した芋を水に浸したり、天日干しを行って乾燥させたりと言う手間が必要だ。


 そういった手間がかかってもヤムイモは地力の乏しいところでも栽培できるメリットがあるんだよな。


 まあこれはじゃがいもやさつまいもなどもそうだが、地力が乏しいからこそ栄養を根っこや茎などに貯めようとするわけだが。


 ヤムイモ栽培のメリットは多年生植物であることから、イモを収穫するときにツルがついたイモの頂部を切りとり、埋めもどせばまた翌年にはイモが収穫できることだな。


 これは穀物の種を蒔くよりはずっと確実で楽だ。


 問題はヤムイモが見つかるかどうかなんだが、エチオピアではエンセーテというバナナに似ているが葉柄基部や根茎に蓄えられたデンプンを食べる植物とともにイモを蒸して食べる習慣が結構古くあったようだから、この時代ならこのあたりでも見つかるかもしれない。

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