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草花の葉っぱや茎をもって踊り回るだけでも子供は楽しいらしい

 さて、今日は農作業やら櫛の製作やらも一息ついたので家畜の放牧をしつつのんびり過ごせる日だ。


 ヤギやヒツジ、ロバなどを家畜用の小屋から出して一緒に歩いていく。


 家畜たちも外の空気を吸ったあとで暖かい日差しを浴びると気持ちが良さそうだ。


「とーしゃー、かーしゃー、おそーい」


 そしててこてこ先頭を走りながらアイシャが言う。


「おう、アイシャー、あんまり急ぐと転ぶぞ」


「そうよ、別に急がなくても大丈夫よ」


 俺とリーリスはアイシャにそう言う。


「だいじょー、あいしゃ、もうおおきいからー」


 確かにアイシャはだいぶ大きくなってきた。


 とは言えまだ幼稚園児くらいなので見ていて危なっかしい感じなのは変わらないんだけどな。


「あーい」


 息子もリーリスが手を取っていてやれば、短い間であれば歩けるようになってきている。


 そして、友達のマリアの家についたあとアイシャは声をかけた。


「まりあちゃ、こんにちあー」


 今日は仲良しの女の子と一緒にあそぶつもりらしい。


「いらっしゃー」


 中からマリアが出てきてアイシャと笑い合う。


「じゃあいこー」


「うん」


 二人は手をつないで広場に向かう。


「まあ、相変わらず仲がいいのはいいことだな」


「そうよね」


 俺とリーリスも笑い合う。


 子供というのは純粋だが残酷なところもある。


 俺はこの世界では異分子だがリーリスやリーリスの家族は普通に受け入れてくれている。


 しかし、アイシャが子どもたちの集団に上手く馴染めるか少し心配だったのだがどうやら大丈夫そうだ。


 特にマリアという仲良しさんができたのはありがたい。


 すでに子どもたちは集まっていて、そこら辺に生えてる草の茎や葉っぱを引っこ抜いて手に取ると、収穫の祭りの時の踊りをみんなで練習しているようだ。


「えーとね、この時は」


「あれ、そうだったっけー?」


 子どもたちが笑顔で輪になって踊りの練習をしている様子を何人かの家畜を連れた家族が見守っている。


 そして家畜たちは我関せずと言った感じで青く茂った草をはんでいる。


 なんとも平和な光景だなうん、しばらくして踊るのに疲れてくるとみんな草の上に座り込んで休憩だ。


「よーし、みんな。

 ヤギのミルクだぞー」


 俺たちは子供たちに搾りたての山羊の生乳を飲ませる。


「わーい」


 この時代は乳をいちいち加熱殺菌したりはしないが、山羊が病気とかでない限りは大体は大丈夫だ。


 大丈夫でないような子供はもっと小さいうちに死んでしまうしな。


「おいちー」


「おいちーね」


「やぎしゃんえらーい」


 踊り疲れてお腹が膨れたら、緑の上でお昼寝だ。


 このくらいの大きさの子どもたちはまだまだ昼寝も大事だからな。


 そして起き出したら今日は解散だ。


「ばいばーい」


「ばいばーい」


「またねー」


 アイシャも今日は疲れ果てて俺の背中でおぶわれて寝息を立てている。


 そしてアイシャはそのまま寝藁に入れて、マリアはリーリスが家まで連れて帰った。


 家畜たちも小屋に戻ってお休みの時間だ。


「なんだかんだで楽しかったな」


「そうね、子どもたちが元気に踊ってるのを見るのはいいわね」


 収穫の季節になれば祭りも開かれるからそれまでにはみんな踊りを踊れるようになってるといいな。

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