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子供の名前をつけるのが遅かった理由、そろそろロバのパートナーを見つけてやらないとな

 さて、アイシャと名前をつけられた娘は相変わらず元気に遊んでいる。


「それにしてもアイシャに名前をつけられるまで、無事元気に育ってくれて本当良かったよな」


 この時代では子供が1歳未満で死亡する割合は約30%と非常に非常に高く、生まれた子供の三人に一人は一年待たずして死んでしまい、子供を産める成人年齢まで生き残れるのは生まれた子供の半分程度と言われている。


「本当そうね。

 大きな怪我も病気もせずに育ってくれて本当に嬉しいわ」


 そして俺はリーリスに聞いてみることにした。


「所で生まれてから随分と遅くに名前をつけるのはなんでなんだろう?」


 俺がそう聞くとリーリスは答えてくれた。


「子供って私のお腹の中に宿って、へその尾で繋がったまま生まれてくるでしょう?

 そしてその後も私のお乳が必要じゃない。

 だから完全に乳離れするまでは子供はまだ私そのものなの」


「なるほど、そういうことなのか。

 つまり今までのアイシャはあくまでもリーリスの子供という認識だったんだな」


「そうね。

 後はまだ物事がよくわかっていないうちから名前をつけてしまうと悪い精霊にに名前を呼ばれて連れて行かれてしまって死んでしまうからともいわれているわ」


「ああ、そういう由来も有るのか」


 やはり乳幼児死亡率が高いことに対して名前には呪術的な意味合いがあるとも考えられているようだ。


 まあその他にも単純に名前のバリエーションが多くない上に兄弟で同じ名前をつけることや死んだ子供と同じ名前をつけることは良くないと考えられていたりするからでも有るようだが。


 さらに、この時代の集落では近縁の人間との婚姻が普通なため、身体や精神に障害を持って生まれてくることも多いが、そういった子供はわかった時点で間引かれてしまうというのも有る。


 何にせよ俺たちの子供が無事に育ってくれてるのはいいことだ。


「そういえば、アイシャの時はアイシャが生まれる前に布を織って、子供が生まれたあとに備えて着せるものを作る準備をしてたけど今回はいいのかい?」


「ええ、次の子にはアイシャが着てたおくるみや服があるからそれを使うわ。

 それに私やあなたなんかの予備の布も有るからね」


「まあ、去年は大きく衣服が破けるようなこともなかったしな」


「少し切れたぐらいなら縫って直せばいいし、擦り切れたりして穴が空いてもツギを当てて穴を塞げばいいのよ」


「とすると今年、新しい服が必要なのはアイシャだけってことか」


「そうね。

 あの子は去年より大きくなってるから、新しく服を作ってあげないと」


 まあ、この時代は亜麻などから糸を紡いで、それを布に織るだけでも、とんでもなく手間がかかるからな。


 とはいえ、機織り自体は旧石器時代にはすでに行われていた証拠が発見されているらしいが。


 そういえば子供といえばロバ、正確には家畜化されていないノロバだが捕らえられて家に来た時はまだ子供だったロバもオスは生後4年、メスは生後3-4年で子供を産めるようになるはずだ。


 ちなみに子供ロバの方もメスだな。


 ヤギやヒツジの場合は半年くらいで性成熟するので猫同様生まれて一年すれば子供を作ることが出来るので、子供はどんどん産まれるし実際だいぶ増えてるがロバはだいぶ遅いんだな。


 とはいえこのままでは可愛そうだし雄ロバをなんとかして手に入れたいところだ。


 というわけで狩りに出る男の中でも生きたまま捕らえようとしている奴におねがいしてロバを捕らえたらヤギかヒツジの番一対と交換してもらうようにした。


 だが、雌ならともかく雄なら別に交換するヤギやヒツジはいらないとのことだった。


 まあ、ガゼルにしてもロバにしてもオスは乳を絞れるわけではないから、実質雄だったら外れなんだろう。


 まあ他人任せなのも何なので俺も頑張ってみようとは思うけどな。


 動物を生きたま捕まえようとすれば方法はそう多くはないがまず括り罠があるな。


 これは丈夫なロープの輪に動物の身体の一部が入ると締まって拘束する罠で現代でも使われているものだ。


 もう少し能動的なものであればある程度の長さの紐の両端に石を結びつけたボーラがあり、投げつけて足に紐を絡め取ることで生きたまま捕まえることが出来る。


 ボーラは同じ長さの紐で三つ又になるようにして石を皮でくるんで紐を結びつけると絡め取れる足などをからめとれる可能性が高くなったりもする。


 もっと大規模なものであれば大きな網の方へ大人数で動物を追い込む追い込み網や立木を支柱として布や網で囲った中に餌をおいておいて、一度に多くの獣を捕らえる囲い罠などもあるがこれはちょっと難しい。


 なんで、地道にくくり罠を何個か設置しつつ、ボーラでロバを捕らえようとする、


 ロバの姿を見つけたら紐の中心を持ち、頭上で振り回して十分に加速が付いたところで紐を放し、ロバの足に向かって投げ付ける。


 しかし思ったように飛んでいかずにロバには逃げられてしまったりもしたが、ようやく一頭の雄ロバを捕まえることができた。


 捕まえた後もなかなか言うことを聞かずになだめすかしたりなんとかした後、ようやく家畜小屋へ連れて帰ることができたが、雌ロバが居ることがわかったら態度が大きく変わって、素直に居着いてくれた。


 ロバは春~初夏に繁殖期を迎え、1年の妊娠期間を経て1子を出産するはずなので無事に生まれてくれればいいと思う。


 とはいえロバは繁殖能力が低いので無事増やせるかどうかは疑問かもしれないから、増やしたかったらもっと捕まえてこないとだめだろうけどな。 

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