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ロバはけっこう気難しいんだな、それに比べると猪は割と扱いやすい

 さて、人間が家畜にした動物のうち犬は狩猟を行っていた時代から人間と行動をともにしていたが、その他の家畜は人間が定住した後に採取や農耕が開始された後に家畜化された。


 理由は単純で狩猟時代ではそういった獣はすべて区別なく狩猟対象の食料であったからと、定住した後余剰な食料が出てきて必ずしも獣の肉などを食べなくても大丈夫になって、畑の作物を食いに来た草食獣を捕らえて飼うことができるようになったからだな。


 そして俺は今、畑の麦を食いに来てとっ捕まったシリアノロバの親子に餌付けをしている最中だ。


「おーい、いい加減干し草を食ってくれないかね」


 ツーンと無視する親ロバに俺は苦笑する。


「困ったもんだな」


 一方子どもロバはもしゃもしゃ食べてる。


「おう、もっと食べてくれ。

 子どもはちゃんと食べないとな」


 親ロバは困ったものだというような目を子どもロバに向けてる。


 子どもロバは首をかしげて何が悪いの?と思ってるようだけどな。


 ロバはエジプトでアフリカノロバが家畜化されたというのが一般的に信じられているが、その前に西アジアでシリアノロバが家畜化されているんだ。


 猫の家畜化がエジプトではなくて小麦栽培を始めたナトゥーフの人々のほうが早いのであるのと同じだが、麦という作物の栽培は人間と動物の関係を大きく変えたのだな。


 ロバは乾燥した環境に強く比較的少ない餌と水分で済む。


 なので貧しいものが飼う家畜と思われてるが、決してノロマでも馬鹿でもない。


 ロバとウマは似たような姿だが性格は違い、ウマは集団で行動し、臆病だが、ロバは単独で行動し基本的はおとなしく記憶力も良い動物であるが、頑固で馬に比べれば従順ではなく他の個体とあわせて行動するのは苦手。


 なのでロバは馬のように複数で馬車を引いたりはできない。


 そして比較的暑さと乾燥には強いが、寒さや湿気には弱い。


 夏の日本のような蒸し暑い環境ではロバは倒れてしまうので日本ではあまり広まらなかったんだな。


「うーん、お前さんが俺の言うことを聞いてくれるようになると荷運びが楽になるんだがな。

 それにロバの乳は体にいいし」


 山羊や羊は乳や毛皮を利用できるが荷運びはできない。


 なので、現在船を使う以外は人間が人力で運ぶしか無い。


 しかし、ロバや馬が家畜化されることで荷物を彼らの背中に乗せて運ぶことができるようになり、そのうち荷車が発明されると更に輸送が楽になる。


 更にロバの乳はオメガ3等の不飽和脂肪酸が多く、抗菌性のあるたんぱく質も豊富に含まれ、湿疹など皮膚系疾患の回復にもとても高い効果を示す栄養価の高い食べ物なんだ。


「まあ、だんだんと慣れていくしか無いな」


 いまはツンツンしてる母ロバが俺にデレてくれるのはいつのことだろうか。


 まあ、ロバの乳の量は山羊に比べても少ないので乳目当てだけで飼うのは効率がいいとはいえないが、餌もそんなに必要ないし気長に行くとするか。


 ロバを増やせれば交易をする連中も楽になるだろうしな。


 さて、それとは別に飼育している動物がいる。


 猪の子どものウリンボだ。


「ロバに比べればお前らはよくなつくな」


 小さな体でちょこまか動き回るウリンボは見ていてとてもかわいい。


「ほれ、くえくえ」


 ドングリの殻などをまくと嬉しそうに食べ始めるウリンボたち。


 こいつらも畑の麦を食いに来たところを捕まえた奴らだな。


 しかし、山羊や羊などと違って猪は乳を取るということはできないので結局は食べるために屠殺することになるのだが。


「まあ、仕方ないよな」


 猪はユーラシアやアフリカなどの広い部分に分布していて世界各地でそれぞれ別に家畜化されてきたらしい。


 日本の縄文人も猪を肥育していたようだしな。


 猪が割りと早い時期に家畜になったのは猪は雑食性でドングリや穀物の余り、昆虫、蛇、残飯や野菜くずで飼養でき人間の大便でも大丈夫な性質だからだな。


 まあ、だからこそ豚肉は不浄とされたり安い値段で売られていたりもするのだが。


 また、猪は群れをなして生活しているので1つの囲いのなかで飼育しても争ったりしないし比較的病気になりにくい。


 猪は多産かつ妊娠期間がほぼ115日と短く子どもは良くなつく。


 そしてそういった飼育下でも普通に繁殖が可能であるなどの理由だ。


 とは言え自分の手で育てた自分に懐いている猪を殺すにはちょっときついものがあるよな。


 この時代ではそれが当然だとは言え。

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