清楚系元カノVS塩素系今カノ
そこのお前。
そうだ、お前だ。
この話が読みたいか?
なら、
びっくりドンキーで『みるく愛すカフェ』をそのままの発音で注文しな。
by 宮義 麗央
俺は後ろでパンツを履く存在に気づいた。
もの凄い殺気を感じ取って即座に振り向く。
同時に金剛力士像の形相をした日菜が鈍器(2リットルのペットボトル)を振り下ろした。
バゴォッ!!
撲殺刑……終了。
文句のない鮮やかな秒殺だった。
(注)ここから先、俺は幽体離脱状態なので天からナレーションに徹します。
後頭部を強打され、玄関に倒れた俺を英里が揺さぶっている。
何か言っているが俺には届いてない。
「ちょっとあんた!麗央に何すんの!! いくら何でもやりすぎじゃない!」
今のは英里の声だ。
例えるなら『透明な水』って感じのムチャクチャ綺麗な声。
「はぁ? お前何かましとんじゃボケ女! 人の彼氏にちょっかい出すなや!」
……今のはどっかの極道の声かな。
喧嘩上等で乱入してきたんだろ、多分。
例えるなら『タンが絡んだ爺さん』みたいな声だ……。
「人の彼氏? ……じゃああんた、麗央の彼女なの?」
英里が目を丸くして聞いてる。
対峙する日菜はペットボトルを置いて……アワワワワッ!!
槍はマズいって!!
しかもそれ、昨日お前がスパゲティ食ったやつだろ!
先端にしなびたピーマンついてるし!
「そうだけど文句あんの? 格闘技で良ければ相手しましょうか?」
だだだだだめだめだめだめめめ!!
危険すぎるっ!
英里っ!
今すぐ逃げろ! そいつは普通の女じゃない!
日菜、お前は劇物保管庫に帰れ!
「……私、そんな野蛮なことしないから」
さすが英里っ!
女らしい!
惚れ惚れしちゃうっ!
「ふーん。なら拳を使わないであたしと勝負しな!」
「勝負……?」
え……ちょっと! 何勝手に決めてるんだよ!
また鬼畜な罰ゲームとかあるんじゃないだろなぁ?!
そこのパンツ一丁女!
「ダイエットで勝負!」
はェ……? だ、ダイエット?
それ、お前が何回もダイエット失敗してるから張り合いが欲しかっただけじゃねぇの?!
「一週間で減量できた数値が多い方が麗央をゲッチュするってのはどう?」
……俺の意志は蚊帳の外。
英里、頼む。
受けるな。
「……わかった。私、絶対麗央を取り戻すから!」
まーじでーすかー?!
わぁぁぁ、もう嫌だぁ!
女と極道のサドンデスゲームに巻き込まれちゃったよぉぉ!
俺、何でこんな女難ばっかり……
そこのお前っ!
そうだ、お前だっ!
日菜を原子力発電所まで運搬してくれ!
さっき開けちゃったカップラーメンあげるからぁ〜……。
口の中がキムチ臭くて寝れません。
by 有澤 透真




