瞬間湯沸かし器、オン
そこのお前。
そうだ、お前だ。
この話が読みたいか?
なら、
体でWの文字を作りな。
勿論、一人でだ。
by 宮義 麗央
今、隣に日菜が寝てる。勿論、俺のベッドの上で。
この危険物、寝顔だけは可愛いんだよな。
でも、よだれが……減点99.8。
なんか俺的に、行為自体の後味が最悪だ。
そこのお前。
そうだ、お前だ。
どうして後味が最悪か知りたいか?
なら、
幼稚園児の格好して街を練り歩きな。
ちゃんと右手にアメを持てよ。
……クックック。
お前を見る他人の目が、実に心地いい寒気を与えてくれる……。
よし、もういい。
次はナースだ。
さて、後味が最悪なのは、俺が縛られて(ピー)や(ピー)や(ピーヒョロロ)をさせられたからだ。
屈辱的なんてもんじゃない。
あまりの辱めに、本当に腹上死しかけた。
やっぱり俺、この危険物から一刻も早くエスケープしたい。
本音を言えば、日菜にはすでに気持ちすらない。
付き合った初日、しかもたったの五時間で、儚い恋心は……空に散ったんだ。
……笑ったな!
そこのお前!
今、笑っただろ!
米の自販機に閉じ込めるぞ!
安心しろ、値段は二千五百円前後だ!
ーーピンポーン
ん? 誰か来た。
服着ておいて良かったな。素っ裸の日菜は布団で隠して……、と。
俺は玄関のドア開けた。
その先に、『いるはずのない人物』が映る。
あまりの驚きに心臓が、
ーーショートするかと思った。
髪は肩より少し短くて、綺麗な茶髪。
俺の知ってる彼女は黒の長い髪だったから、かなりイメージが違ったけど、その笑ったときに出来るエクボが昔のまんまで、脳みそが一瞬で記憶を甦らせた。
「英里……!」
刑期が近い気がするのは気のせいだろうか?
急いで、この部屋にある『武器』を全て隠さなきゃならないのに、俺の足が動いてくれない。
昔より、もっと、ずっと綺麗になって、それでいて可愛くて、危険性の無い彼女に目を奪われたまま……ただ、口を開けて突っ立ってる。
「麗央! 二年ぶりだね!」
何でだよ……。
何で今更、しかもタイムリーな現れ方するんだよ。
やっと……
やっとお前を殺せたと思ったのに……。
悪気が無くても、それは卑怯って言えるよ、英里。
……あぁ、もう。
瞬間湯沸かし器が、保温になっちまった……
ものすごーく、崩壊の予感……。
これから鈍器ホーテに行ってきます。




