破壊神とモンスターの二重奏
そこのお前。
そうだ、お前だ。
この話が読みたいか?
なら、
避難訓練をしながら仁王立ちしな。
難易度高いぞ、これは。
by 宮義 麗央
俺達は全力疾走で日菜達が乱闘している現場に急いだ。
白いチョークで非常口みたいな絵が床に描かれていなきゃいいけど……。
あ、あれ?!
俺の教室の前に人だかりが……!
ーーバリンッ
ーーガゴンッ
ーーガラガラーッ
問題だ!
上の音は何の音でしょう!
正解者には粗末な金歯をプレゼント!
「でぇりゃぁぁぁ〜〜ッ!!」
「タアァァァ!!」
……なんて言ってる場合じゃない!
教室の中から殺陣の稽古場みたいな怒声が……!
しかも合唱してる!
俺達は人の壁を押し退けて教室に入った。
中を見た目に飛び込んで来たのは、
やっぱりお決まりの惨殺現場。
そしてステージは、机が無惨に折り重なった荒野だな、こりゃ……。
足元に転がるどざえもんのお姉様方……
今は安らかに眠れ。
起きてもここは処刑場だ。起きない方がいい。
……ん?!
なんかこの三年生達、見覚えが……
「どけぇぇぇ! 滅殺したらぁぁーワレェ!!」
ヤヤヤヤやばいやばいやばい!!
学校に突如現れた極道が机を持ち上げてブン投げ(撲殺)寸前だ!
ーードシャアァ!
机から教科書が雪崩を……
って、アーッ!
それ俺の机かぁぁぁ!!
探してたムチが出てきたじゃねえか!
サンキュ、日菜!!
「あ、敦士ッ!! あいつを止め」
振り向いた俺の視界に敦士がいないっ!
こんな時だけ北海道に里帰りなんて許さないからな!
「麗央ッ! 日菜を早く押さえてっ!」
敦士が椅子を掴んで絶叫し、モンスターと化した英里を後ろから押さえつけてる。
ズルいぞ!
安全な方選びやがってぇ!!
モンスターはまだ獣じゃねえか! こっちは現世にいちゃいけない最強の破壊神だぞっ?!
「日菜っ! もう止めろ!! みんな滅殺済みだ!」
めめめめ眼がシャレにならないくらい血走ってるーッ!
怖いよーっ!!
神の怒りを鎮める生け贄はどこかにいないのかぁぁ!
「気ーがー済ーまーんーのーじゃァァァ〜ッ!」
ーーブンッ
投げたぁ!!
ままま待って!
俺は味方……
ーードガッ!!
……チーン。
巻き添えで、俺まで撲殺刑……。
神の怒りを鎮める生け贄は、
俺だった。
ーー
机が顔面に命中して卒倒した俺が目を開けると、せっかくのベビーフェイスが傷で台無しな流氷の悪魔がいた。
「ここはどこ? 私は誰?」
「……保健室だよ、麗央」
良かった……。
まだ保健室で済んでて。
頭パックンチョしてないよな、俺。
「……二人は?」
「当然、呼び出し食らってる」
そうだよな……。
あれだけ派手に暴れまくりゃ、下手したら退学だっつーの……。
ベッドに横たわる俺の側で、敦士が珍しく真剣な顔してる。
「麗央。あの三年生達、見覚えがあるでしょ?」
腕を組んで睨むような鋭い目で敦士が聞く。
「あ、うん……。でもどこで会ったのかサッパリ……」
覚えてない。
「……あいつら、前に麗央に振られた三年生だよ」
アーッ!!
そうでしたぁ!
俺、結構モテるんだよ、うん納得!
「振られた腹いせとまだ諦めがつかない嫉妬で、三年生が日菜に『別れろ』って脅しかけたんだってさ。麗央に被害が行かないように日菜は別れたわけ。でも英里が今度はベタベタし出したから邪魔になって、英里にも麗央に『近寄るな』って命令出したんだってさ」
ーーそれじゃあ、日菜は……
「でも、飽き足らなかった三年生が麗央をもっと傷つける為に、こう命令したんだって。『敦士と付き合え』って。それが二人をプッツンさせた真相」
……なる程。
それで敦士まで怒ってるわけか。
「そろそろハッキリさせた方がいいんじゃない? 日菜を取るのか、英里を取るのか」
十人以上掛け持ちのお前もな、敦士。
でも……言われなくてもそうしようと思ってた。
「大丈夫、もう決まってるから」
ーー
結局、二人は停学処分になった。
俺はこれから早めに帰った二人の家に行く。
ちゃんと、俺の意志を伝える為に。
俺が選んだのはーー
有澤は保育園のとき布団を引きずって避難訓練しました。




