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私は私を愛せるか。

作者: サバチー
掲載日:2017/03/31

―――私にそっくりだ。

今となっては彼女を表す言葉はそれしかないであろう。

食べ物の好き嫌い、血液型に誕生日、そして考え方。

細かくみていくと似ている要素はこれっぽっちもなかった。

だけれど、真っ先に思い浮かぶ言葉は、私にそっくりだ、ということ。

その正体ははっきりとはわからない。

いつしか二人の心は繋がりあっていた。

お互いのことがよくわかる、よくわからない。

そしてよくわかるからこそわからない、よくわからないからこそわかる。

そこにあったのは信頼と尊敬だけだった。

そっくりな二人。

私と彼女、彼女と私。

私と私、彼女と彼女。

この世界には二人しかいないのではないのか、と錯覚した。

私は天邪鬼だった。

彼女は天邪鬼だった。

自分が望み、相手が望むことをしたくなかった。

それは照れや嫉妬して欲しいからかもしれない。

とにかく一方が一方に与えることは無かったし、良い言い方かはともかくとしてギブアンドテイクだった。

私は彼女を愛していた。

私は私を愛していた。

だけど、彼女は私を愛していなかった。

彼女は彼女を愛していなかった。

愛しているからこそ愛していなかった、愛していないからこそ愛していた。

彼女は私とそっくりだった。

細かくみていくとこれっぽっちも似ている要素がないのに、彼女と私はそっくりだった。

彼女はこう言った。

「貴方は私だから、私は貴方だから。だから一緒にはいられない」

私と彼女の心は紛れもなく繋がっていた。

だから繋がっていなかった。

私は私を愛し、彼女は彼女を愛さなかった。

ただそれだけの事だった。

対外的な恋愛はもはや体をなさず、それはいつしか家族愛から更には自己愛までも昇華していた。

私は彼女だから、彼女は私だから、そんな理屈でも理解することが出来た。

それは幸せだったのか、不幸せだったのか。

過ぎ去った事を考えることは簡単だが、答えを出すということは不可能だった。

とにかく私は、彼女は、お互いを見つめることをやめた。

私は、彼女は、自分を見つめることをやめた。

何故なら私は彼女を愛し、彼女は私を愛さなかったから。

私は私を愛し、彼女は彼女を愛さなかったから。


―私は私を愛せるだろうか。

―彼女は彼女を愛せるだろうか。

―貴方は貴方を愛せるだろうか。

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