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ルアウダ 四

 平然と戻ってくる二人を見てルアウダは固まっていた。ルアウダというのは別荘の門というのはそれなりに頑丈なもので作られていると知っていた。そもそもそれなりに有名な女優なのだ。簡単に進入されるようなつくりにはしていない。しかしそれが人間の力で、片方は怪物のような姿をしていたが、簡単に破壊されてしまった。これはどうにもおかしくてしょうがない。

 そして錬太郎とシージオが戻ってきたとき二人をほめた。

「ここまで強い超能力を持った人間は見たことがないわ! 流石私を担いだまま、逃げ切るだけのことはある!」

などといって錬太郎の肩を後部座席側からたたき始めた。たたくといっても力強くたたくというよりは、親戚のおばさんあたりがほめながら体にさわってくるような気軽な感じである。ルアウダはただ感動したのである。そしてその感動を錬太郎とシージオに伝えたかったのだ。

 錬太郎は、複雑な面持ちであった。ルアウダの反応というのが、親戚のおばさん当たりの反応とよく似ていたからである。こういう反応をするタイプというのは絡み始めるとなかなか話してくれないので面倒くさいという気持ちが錬太郎にはあった。

 錬太郎はルアウダにこういった。ものすごく嫌だという感じはなかった。

「ちょっと勘弁してくださいよ」

 ルアウダと一緒に後部座席に乗っているイオニス少年は固まっていた。錬太郎とシージオというのがとんでもない力を持っていることというのを知ってはいた。怪物を叩きのめしてみたり投げ飛ばしてみたり間接を決めたりするところを見ていた。しかし鋼鉄でできている門を無理やり引き抜くなどということができるとは思っていなかったのである。

 錬太郎が勘弁してくれといっているところにルアウダが絡んでいるが、そんなやり取りはまったく興味がないとシージオは車を動かした。こういうときに間に入っていくと逆に絡み疲れて面倒くさいことになるのがわかっていたからだ。

 車は門をくぐって、敷地の中を走っていった。

 そして、大きな屋敷の前で、止まった

 ルアウダの別荘というのはとても大きかった。高さというのはそれほどない。周りにある別荘とそれほど高さは変わらない。しかし広さというのがほかの別荘とは違っていた。奥行きと横幅が半端ではないほど広かった。屋敷の中で運動会ができるのではないかと思う広さだった。こういう屋敷にしたというのはルアウダが決めたわけではない。もともとこういう形で別荘が作られていて、それをルアウダが買ったのだ。なので、別荘の形というのはデザイナーの趣味である。



 別荘の玄関扉にルアウダが手を触れた。ルアウダ自身が別荘の鍵になっているのだ。

 すると別荘全体に電気がともった。先ほどの門とは違って別荘のシステムというのは切り離されているのである。

 ルアウダは玄関扉を開いた。慣れた手つきだった。

 そして錬太郎たちを別荘の中に誘った。楽しそうだった。

「はいどうぞ。いらっしゃいませ」

 別荘の中に入るとルアウダがこういった。

「自由にくつろいで頂戴。ちょっと私着替えてくるから」

 などといって、どこかに消えていこうとした。動きにくい格好から、動きやすい格好へ着替えるつもりである。何せ今のルアウダの格好というのはドレスにヒールである。動きにくいにもほどがある。このままこの格好でいたらまた錬太郎に担ぎ上げられて、無茶な動きを体験することになるかもしれない。もしかしたらシージオに担がれるかもしれないが、どちらも勘弁してほしいというのがルアウダの気持ちだった。

 シージオはルアウダを呼び止めた。あわてていた。

「ちょっと待ってくれ、一応別荘の中を確認してからいしてほしい。急いで確認してくるから、それまでここにいてください。錬太郎君、ちょっと頼んだ」

 シージオが屋敷の中を確認しに行った。ルアウダが帰ってくるまで別荘というのはきっちりと閉じられていた。そのため侵入者がいるわけがないと思うところである。しかし一応緊急事態が続いているのだから、確認作業をしないというのはできない相談だった。錬太郎とシージオなら怪物に襲われたとしてもその場で対応できるが、ルアウダとイオニス少年はそうではないのだから、確認しておかなくてはならないだろう。

 ルアウダは口を突き出していた。せっかく楽な格好になれるというのに水を指されたからである。しかし文句は言わなかった。危ない状況にあることは理解していたからである。もしも別荘の中に怪物が潜んでいたとしたらというのもかなり少ない可能性であるが考えられるのだ。文句は言っていられなかった。

 ルアウダはドレスはそのままでハイヒールを脱いだ。値段の高いハイヒールなのだろうが、雑に脱ぎ捨てて、しまった。ハイヒールの管理保管よりも自分の足を開放するのが大切なことだったのだ。

 そしてさっさと、サンダルのようなものに履き替えていた。仕事終わりはいつもこうしていますという手馴れた感じがあった。

 そしてでかいソファーに飛び乗った。トランポリンに飛び乗る子供のようだった。とんでもない値段のソファーであるけれども、ルアウダにしてみればふかふかしているだけの家具である。所有しまったら自分の好きなように使えばいいだろうという気持ちがあるのだ。それに飛び跳ねてみるのはいくつになっても楽しい。

 ルアウダがイオニス少年と錬太郎にこういった。

「二人ともくつろいでくれたらいいわよ」

 などというので錬太郎は大きなソファーにさっさと腰掛けた。錬太郎は少しも気後れするところがなかった。座っていいといわれたら座っていればいいのだ。座っていいといわれているのに座らないほうが、気まずかろうというところもあった。

 イオニス少年はリュックサックを下ろして、錬太郎のそばに座った。錬太郎とは反対にイオニス少年はずいぶん気後れしていたイオニス少年はルアウダというのが有名な女優であるというこを知っている。そのため女優さんにはじめて会うという興奮もあって、いまいちいつもどおりに振舞えないのだ。錬太郎のそばによって座ったのは、錬太郎がいつもどおり変わらないようすだったから、そして守ってくれているような感じがあったからである。




 三人がだらけているところでシージオが戻ってきた。

 そしてルアウダにこういった。

「どうやら大丈夫のようです。進入された形跡はありませんでした」

 ルアウダはシージオにこういった。

「ご苦労様です。それじゃあ、着替えてきます。シージオさんもくつろいでいてくださいね」

 そういうとルアウダは別の部屋に移動した。着替えるためだ。サンダルを鳴らしながら姿を消した。

 シージオが高そうなソファーに座った。力任せに座るということはなかった。静かにソファーに座り、くつろいでいた。

 そしてこういった。

「非常に見事なセキュリティだった。ここなら、下手に侵入されることはないだろう。無事に夜を明かせそうだ」

 錬太郎は、うなずいていた。もしもの時には自分たちが戦うことになるだろうという了解があった。

 錬太郎のうなずくのを見て、シージオもまたうなずいていた。錬太郎が戦うつもりがあるというのがわかったからだ。もしも錬太郎が嫌がればそのときはシージオが一人で戦わなくてはならなくなる。実際それが正しいという気持ちがシージオにはあった。何せ錬太郎はただの一般人である。嫌だといわれたら、それだけだ。強制はできない。

 何か通じ合っている二人に対して、イオニス少年はこういった。

「二人は何でそんなに冷静なの? 二人にはわからないかもしれないけど、これってとんでもないことなんだよ?

 この別荘を見てなんとも思わないわけ? それに、ルアウダさんってクールで通っていたはずなのに、めっちゃ親切だし、なんなの!?」

 錬太郎は隣に座っているイオニス少年に答えた。

「まぁ、自分的には初対面だし。あのハッチャけた感じがすべてだわ」

 シージオが答えた。

「私も同じだな。初対面と変わらないのにイメージも何もない」



 などと話をしていると着替えたルアウダが現れた。白いTシャツとジーパン姿に変わっていた。動きやすい格好ということで、この格好になったのだ。そして錬太郎に大きなシャツを渡してきた。派手なシャツだった。ルアウダは錬太郎にこういった。

「いつまでもそのままじゃ風引くわよ」

 そして三人に向けてこういった。

「料理作るわ。何か食べたいものある?」

ルアウダ自身がおなかがすいていたため、三人も同じだろうというように考えたのだ。そうして、自分ひとりが食べるというのもおかしいし、命を救ってくれたということもあるのだから、一緒に食べようという発想になったのだ。

 シージオが少し悩んだ様子を見せて、答えた。

「お任せで」

ルアウダがどのような料理を作れるのかがさっぱりわからないので、本人に任せてしまおうという考えである。無理に好みの料理を頼んでもそれはそれで困るだろうという気がある。

 次に錬太郎が答えた。かなり早い答えだった。

「お任せで」

特に何が食べたいとか、嫌いなものがあるということがない。また、シージオがお任せといっているのだからそれに合わせておけばいいだろうという安易な考えがある。

 次にかなり悩んだ様子で、イオニス少年が答えた。

「じゃあ、僕もお任せで」

イオニス少年も好き嫌いというのがなかった。それに有名な女優さんに料理を作ってもらえるというのならそれだけで満足だった。

 ルアウダの表情が引くついた。後輩の女優に

「先輩のお任せ手料理が食べたいっす。おいしいやつでお願いしまっす」

といわれて作ったときに、いろいろと作らされたことを思い出していたのだ。お任せと入っているけれどもほとんどお任せではない上に、いちいち自分でメニューを決めなくてはならないため、注文を受けて作るよりも面倒くさいのである。だから、少し引くついた。


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