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単純なのかもしれない

「今日は訓練日だよ。君参加だから、準備してきてね。15分後に訓練場に来て」


「…」


それは15分以内に準備を終えて、しかも訓練場に着けということですね


無茶言わないで下さい

と言いたいところですが、言っても意味がないことは数日で学びました


「わかりました。すぐに準備して向かいます」

いまだに求められたことを一度も失敗していないせいか、求められるハードルが上がっているのは気のせいでしょうか

一度、失敗してみたいです





失敗したあとが怖いので結局は全力でやりますけどね










というか、私の訓練参加は決定なのですね


最初の話はどこにいったと訴えたいです

















* * *


「お待たせしました」



城の中を進むのは諦めて、窓から飛び降りて外を走り、ショートカットしました

おかげであちこちに葉っぱがついていますが、先に副隊長に到着を告げます



「ふ、葉っぱが沢山ついてる。外を走ってきたの?草でどこか切ってない?」


堕天使様は笑いながらも葉っぱをとってくださいます

優しさをはっきしてくださるなら、笑うのもやめてほしいのですが

誰のせいだと言いたいところです


言えませんけどね


「大丈夫だと思います」


「そう?女の子は傷が残ったら大変だから、気を付けるんだよ」


「はぁ」


ニッコリ笑顔で言われますが、傷なんていまさらですし、答えようがありません


言いたいことが伝わってないと気付いたのか、堕天使様は一つため息をつくき、私の頭をポンとすると目の前で自主訓練している人たちに向かって声をあげた


「全員、やめ!集合!!」


「はっ!」


おお、いっせいにこちらにかけてきます

きちんと訓練されているのですね

行動がとても早いです


「最近あまり遠くに遠征してないからね。まずは体力が落ちていないか見てみよう。いつものコース10周」


「うっ」


「…なにか?」


「なんでもありません!」


「じゃあ、始めよう。あまりに遅いやつは追加メニューあるから気を付けてね」


ああ、やはり鬼畜なのはここでも変わらないのですね


しかもいつものコースって、城壁に沿って進むコースですよね



歩いても歩いても端が見つからない城壁を


…これ以上考えるのはやめましょうか



「用意始め!」


そんなにいきなり始めなくても

皆さん焦ってあちこち人にぶつかりながら走っていきましたよ

突き飛ばされて転んだ人は大丈夫でしょうか

まぁ、すぐに立ち上がって焦って行ったので平気だとは思いますが


「あれ、走らないの?」


まさか


「私もですか」


「もちろん」


「…いってきます」



もうなにも言いません



「いってらっしゃい」






いつか鬼畜堕天使様をギャフンと言わせてみたくなってきた今日この(ごろ)です

















「凄いね。まさかここまで体力あるとは思わなかったよ」


あれから、無心になって走っておりましたら、いつのまにか5番目に到着してしまいました


魔法で加速をつけて走っていたとはいえ、周りもそれは同じ


元々男女で体力の差があるはずなのに

この順位は上すぎますね


ほんの少しイラっとしていたからといって

無心になるまで走らなくても良かったですね


やりすぎです




まぁ、その分すっきりしたのでよしとしましょう





「うん。じゃあちょっと試してみようか」


「?」


「ガイル、準備して」


「了解」


堕天使様は一人のガタイの良い人に話しかけると、その人が装備をつけ始めました

ということは


「…彼と私が戦うということですね」


「正解。君がどこまでやれるか見てみたくてね。あいつは容赦(ようしゃ)がないよ。私が連れてるってだけで、君がある程度できるのはわかってると思うから、本気で仕掛けてくるよだろうしね。手加減がないことで有名だし、真面目にやらないと、死ぬよ?」


「つまり、逃げ場はないとおっしゃりたいのですね。大怪我したくないならば、本気を出せと」


「そこまでは言ってないよ」


「言ってるように聞こえますが」


「あはは、本気出せば良い線はいくと思うよ。ただ、油断は危険だよって言いたいだけだよ」


「…そうでしょうね」


もうすでに殺気がビンビンきてますし

これは開始と同時になにか仕掛けてきそうですね

油断していたら不意打ちをくらって終わりです


本気で戦いたくないのですが、もはやいまさらでしょうし

真面目にやることにしましょう


「武器はどこにありますか」


「あそこにあるよ。どんなのがいい?」


指差した方を見ると確かに色々と置いてあります

私がそちらに向かうと堕天使様もついてきました


「レイピアのように細長いものはありますか」


本当はマスターからいただいた刀の方がいいのですが、あれはつくっているところはないとおっしゃっていましたし、あまり重くなければなんでもいいですね


「レイピアか。これとか、かな」


軽いですね

手渡されたものをじっくり見てみます

水平にしてみると少しゆがんでいるように見えますが、練習用ですし、気にしないでおきましょう


「はい、ありがとうございます」


「うん。彼はもう待ってるみたいなんだけど、防護のためになにかつける?」


「いりません。重そうですし」


「そう?そのままだとあたると痛いよ?」


「重くなる方が嫌なので」


「ううん…。君の戦い方は君が一番よく知ってるしね。わかった、いってらっしゃい」


「はい」


促されるまま訓練場の真ん中に進んだのですが…

随分(ずいぶん)と大きい方ですね


ガタイもいいですし、迫力があります


「よろしくお願いします」


「ああ」


「旦那ー、やっちまえ!」


「実力を見せつけてやりましょう!」


「体力だけあっても意味ないことを教えてやれ!」


「ポッと出てきたやつなんかに負けるなー!」


思わずため息が出てきます

女の人に反感をかっているのは知っていましたが、男の人からもとは思っていませんでした


セリフから考えるに羨ましがられているってところでしょう

ポッと出てきたのは確かですが、私のせいではないので、

文句なら本人に言ってくださいよ

私が上手く騙して取り入ったとでも考えているのでしょうか

どう考えてもあの人が他人の意見を聞くわけないと知っているでしょうに





…でも、この高揚感(こうようかん)は気持ちいい

どういう気持ちか知らないですが、良い殺気を放ってきますね



…ああ、やばい、抑えないと出てきちゃう(・・・・・・)

深呼吸、深呼吸


ううん、ヤバそうだなぁ

早めに終わらしましょう


「お願いします」


「ああ」



私と相手が構えると、始めの合図が出されました



手っ取り早く終わらせたいので、先手必勝です



トン



ガキンッ



一息で後ろに回り込んで首を狙いましたが、さすがにガードされました


が、甘いですね


慌てて反応したからか、無理な体制で受けられているので


隙だらけです


剣をいなしてついでに弾き飛ばしておきます



逃げられる前に改めて首に刃を当てて

チェックメイトです


「っつ………、参りました」


「ありがとうございました」



ふう、これで終わりで


「次、アラタ!」


「………?」


「うん?ああ、すぐに終わっちゃって、しかも不意打ちだから実力をまだ納得していないみたいで。私がここにいる間は君もここにいるんだし、暇だろうから付き合ってやって」


「…」


「ほら、やりたそうな顔をしているの沢山いるし?」



そっと辺り(あたり)を見回すとランランと輝く目がそこかしこにあります


「それともさすがにキツイかな?体力持たなそう?」


「やれます」


「うん、頑張ってね」








思わずむっとなって反射で答えてしまいました





もしかして自分は結構単純なのかもしれません

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