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怖い小話  作者: 日影
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1/1

チャイム

ちょっとした怖い話です。

誤字脱字がありましたら申し訳ありませんm(_ _)m


 初めまして。

 わたくし、しがないものかきをしております日影と申します。

 人というのは生きているだけでいろいろな体験をするものでございます。

 そんなわたくしも、いろいろな体験をしてまいりました。

 今宵はそんな体験談のひとつをお話ししようと思います。





 わたくしがまだ小学生の時の話でございます。

 

 わたくしは田舎によくある、少し広い家に祖父、祖母、父、姉、兄、そしてわたくしの6人で住んでおりました。

 玄関は、四畳ほどの広さで上部はガラス、中央から下は磨りガラスのちょっと不思議な両開きの引き戸でございます。

 

 家族みんなが時代劇好きで、夕食の時間はいつもテレビを観ながら食べておりました。


 

 その日、いつも通り夕飯を食べていると


『ピンポーン』


 玄関のチャイムがなりました。


「あれ?誰か来たよ?」


 時刻は20時半を過ぎた頃でしょうか。

 こんな時間に誰か来るかな?などと子供ながらに思っておりました。


「誰だろう?」


 そんなことを言って首を傾げておりましたが、家族の誰も反応しておりません。


「誰か来たよ?」


 そう言っても、誰もこちらを見ないのです。

 (テレビに夢中になってる?)


『ピンポーン』


 またチャイムがなりました。


「ねぇ、誰か来たってば」


 家族はテレビを見ていて気がついていないようでした。

 仕方なく席を立ち廊下からそっと玄関を覗きましたが、誰かいるようには見えません。

 しばらく見ていましたが、人影もなければチャイムが鳴ることもありませんでした。

 気のせいだったのかと思い、席に戻ると


『ピンポーン』


 またチャイムがなりました。


 (えっ?誰もいなかったよね?)


 家族はやはり反応いたしません。


『ピンポーン』


 なんだか少し怖くなりましたが、チャイムが気になりもう一度玄関へと向かいました。

 廊下から確認しても人影は見えません。

 仕方なく玄関に近づき背伸びをしながら上部のガラス越しに外を確認いたしました。

 しかし、人はおらず気配もございませんでした。

 思い切って玄関を開けて辺りを見回しましたが、近くに誰かいる様子はありません。

 玄関の周りには人が隠れられるような場所はございませんでしたから、チャイムを鳴らして隠れることはできませんでした。


 (気のせい?)


 わたくしは居間に戻ると、家族にチャイムが鳴ってるのに誰もいなかった事を話しました。


「チャイムなんか鳴ったか?テレビじゃなくて?」


 父が言いましたが、今見ているのは時代劇です。

 チャイムのような音が鳴るシーンなど出てくるはずがありません。


「いなかったなら、気のせいじゃないか?」


 そう言われても納得はできませんでした。

 しかし、いなかったのも事実。腑に落ちないながらも一緒にテレビを観ておりました。


『ピンポーン』


「ほらっ、鳴ってる!!」


 誰もこちらを見ません。


『ピンポーン』


「……」


『ピンポーン』


「……」


『ピンポーン』


 チャイムは鳴り続けました。

 もう一度だけ、もう一度だけ見てみよう。

 わたくしは静かに玄関へと向かいました。

 廊下も音をたてずそっと歩き、玄関扉の前へ立ちました。


 チャイムは鳴っておりません。


 そっと扉を開けました。


 誰もおりません。


 怖くなったわたくしは、急いで閉めると鍵をかけ扉に背を向けました。

 その時でございます。


 ドンッ


 何かが扉を叩きました。


 わたくしはびっくりして、しばらく動けずにいました。

 なんとかゆっくりと振り返ると、ガラスの中央付近に手形がひとつ。


 わたくしは、慌てて居間へと戻り自分の席に座るとテレビを観て気を紛らわそうといたしました。

 しかし、心臓はずっとバクバクと音を立て、ちっとも落ち着きません。

 見てはいけないものだったのかも……そんなことを思いながらふと視線を感じ振り向くと、祖母と目が合いました。

 しばらく見つめあったあと


「もう、出なくていいよ」


 そう言われたのです。


 その後は、チャイムが鳴ることはございませんでした。



 何年もした後、友人にその時のことを話しました。


「あれが初めての恐怖体験だったね」

「そうなんだ。それ以来鳴ることはないんでしょ?結局、なんだったんだろうね」

「……」


 わたくしは、ひとつだけ気になることがありました。


 わたくしの家には時々、祖母から50円をもらいに来るホームレスがいたのでございます。


「なんで50円なの?」

「……これでいいの」


 祖母にはそう言われました。

 

 あのチャイムが鳴った夜以降、ホームレスの姿は一度も見ておりません。








 今宵のお話はここまでに致しましょう。

 お付き合い頂き、ありがとうございました。

 また、機会がございましたら、お付き合いくださいませ。


 

 

お盆も過ぎたのでちょっとした怖い話を…

お楽しみいただければ幸いですm(_ _)m

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