表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親友に裏切られ婚約者をとられ仕事も住む家も失った俺、自暴自棄になり放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました  作者: 空地 大乃
第二章 冒険者登録編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/175

第50話 援軍

「やっと抜けた! 風間さんモコちゃん大丈夫!?」

「ピキィ~!」


 どうやら秋月は無事穴から抜け出すことが出来たようだ。その後ラムの縄も解き、一緒に駆け寄ってきてくれた。


 俺の側には心配そうな顔をしたモコもいる。モコだって近藤からの攻撃でボロボロだというのに俺のことを心配してくれて――俺はモコを抱きしめたくなったが決着がついたと思うと肋がズキズキ傷んできた。

 

 それでも片腕を伸ばしてモコの頭を撫でてあげることは出来た。


「モコ、よく頑張ったな。偉いぞ」

「ワン!」


 モコが尻尾を振って吠えた。何だか笑顔になってる気がした。


「風間さんもモコちゃんも酷い怪我……痛いよね?」


 秋月が心配そうな声で聞いてきた。


「正直言うとかなり痛いけど大丈夫だ」


 心配かけてはいけないと俺はなんとか立ち上がった。


「無理しちゃ駄目だよ」

「大丈夫だ。それよりあいつら――」


 近藤と金沢は倒したがまだ仲間は残ってる。まぁあいつらは戦う根性はなさそうだが。そんなのがあれば俺たちが戦っている時になにかしてきただろうからな。


「風間さん肩をつかって」

「大丈夫だって」

「いいから!」


 結局俺は秋月の肩を借りる形で歩みを進めた。なんとも情けない思いだが正直言えば助かる。


「お前ら観念しろ。二人は倒したからな」

「ワン!」

「ピキィ~!」


 俺が連中に向けて言い放つとモコとラムも続いて声を上げた。すると連中に動きがあったわけだが――


「ははっ、あはははははははッ!」


 連中の一人が突如大声を上げて笑い出した。何だ? 自棄(やけ)にでもなったか?


「どういうつもりか知らないけど、ケジメはしっかりつけてもらいますからね!」


 ムッとした様子で秋月が言い放った。まぁ散々好き勝手しておいてこの態度だからな。不機嫌になるのもわかる。


「馬鹿が! 俺たちが何もしてないとでも思ったか? 既に連絡済みなんだよ!」


 笑っていた男がスマフォの画面を見せながら言い放った。連絡済みだって? 一体誰と――


「よぉ。来たぜ」

「ハハッ、マジでのびてるぜ近藤の奴」

「金沢もかよ情けねぇなぁ」


 声がして振り返るとニヤニヤした顔の男が三人立っていた。まさか、呼んだというのはこいつらか……。


「お、カワイコちゃんいるじゃん。ラッキー」

「男は邪魔だな」

「女に肩を借りてるような奴だ。どうせ大した事ないだろう?」


 そういった男たちはそれぞれ手斧、剣、金棒を手にしていた。更に三人ともジョブストーンの嵌った腕輪をしていた。最悪だ。この状況で三人なんて無理が過ぎる。


「秋月、俺が気を引くからモコとラムを連れて逃げろ」

「ちょ! 何言って」

「ワン!」

「ピキィ!」

「いいから!」


 そう言って俺は秋月から離れて鍬を構えた。モコとラムも心配そうにしているが、なんとかスキルを一発使えれば目眩ましぐらいにはなるはずだ。


「馬鹿が逃がすわけねぇだろうが」

「そうですよね! やっちゃってくださいよ」

「たく調子のいい奴だな」

「ま、いいか。そっちは冒険者みたいだからな。また人狩りやろうぜ」


 そう言って舌舐めずりをしだす三人。物騒なことまで口にしているのもいる。これは意地でも逃さないと。


――ブォンブォンブォブォブォォオオン。


 その時だった。どこからともなく激しい音が聞こえてくる。これは排気音か? かなりけたたましく鳴り響いていて、しかも段々と近づいて来ていた。


「あん? 何だこの音?」

「流石! 更に援軍を呼んでくれたんですね!」

「いや、他になんて呼んだか?」

「いや、俺は特に――」

  

 近づいてくる轟音に三人組の男も動揺しているようだ。だけどこの連中が呼んだわけじゃないってことは一体――


 俺がそんなことを考えていると遂にダンジョンのすぐ側まで音が達し、かと思えばダンジョンの入口から白と黒の二台のバイクが飛び込んできた。


「な、なんだ!」

「誰だこいつら!」


 三人組の男が驚きの声を上げた。この反応を見るにやっぱりこいつらの仲間じゃないんだな。


 飛び込んできたのは見た感じ大型のバイクだ。二台ともナナハンぽいな。両方とも二ケツでやってきている。


 バイクの四人はヘルメットをしていて顔はわからなかったが、ただ一つだけ確実なのは四人揃って特攻服姿だということだ。


 特攻服の色は白で背中には般若の刺繍が施されている。なんとも言えない迫力だ。そんな二台のバイクがドリフトを決めながら寸分狂わぬ動きで同時に止まった。


「やれやれ。緊急だっていうから来てみたら見知った顔がいたもんだねぇ」


 この声は、女性? しかも何だか聞いたことのある声のような――そう思いながら固唾をのんで見ていると、バイクから降りた四人がヘルメットを脱いだ。驚いたことに四人とも女性だった。


 しかもその中の一人、あの長い金髪と鋭い瞳には確かに覚えがあった。そうだ、公園で知り合った鬼姫だ――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ヒロイン?鬼姫参戦!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ