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親友に裏切られ婚約者をとられ仕事も住む家も失った俺、自暴自棄になり放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました  作者: 空地 大乃
第二章 冒険者登録編

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第32話 ギルドマスター

 天野川に案内され ギルドマスター室の前へ。重厚な木扉は一見ふつうだが、内側に潜む“格”が空気を震わせている。


「こ、この中にギルドマスターがいるんですね」

「そう。でも怯えるほどじゃない」


 そう言いながら天野川がノック。


「天野川だ。入るぞ」

『おう、構わん。入れ』


 許可が下りて扉を開く──途端、汗と鉄の匂いが押し寄せた。


「フンッ! フンッ! フンッ!」


 部屋の中央、鬼瓦のような大男がバーベルを担ぎ高速スクワット中。皿の枚数をざっと数えると……百五十キロ!?


「なんだ天野川だけかと思ったら客もおるのか」

「ホームセンター前で絡まれていた彼です」

「おお。途中で消えた“謎の男”か」


 謎の男って……。


「謎の男! なんかミステリアスでカッコいい!」

「ワンワン!」

「ピキィ~♪」


 秋月が目を輝かせ、モコとラムもはしゃぐ。


「それにしてもマスター、客人前で鍛錬とはお行儀が悪い。少しは控えたら?」

「馬鹿言うな。トレーニングは魂の栄養だ。……あと百回で終わる」


 そう宣言し、再びバーベルが上下する。俺たちは入り口で立ち尽くしていたんだが――


「お前たちも、そんなところに立ってないで座っておけ」


 俺たちは言われるままソファへ──


 一分も経たず「ふぅ、いい汗だ」とバーベルをラックに戻し、真正面へドンと構える。が、椅子には座らず膝を曲げたままの空気椅子状態だ。脚がプルプルもしない。


「まずは名乗ろう。俺は小澤 勇。この支部のギルドマスターだ」


 気合いの入った自己紹介に、思わず姿勢を正す。


「風間 晴彦と申します。こちらがモコで、こちらがラムです」

「付き添いの山守 秋月です」


 小澤はモコとラムに視線を落とし、鼻息を鳴らした。


「むぅ!」


 次の瞬間、巨体が音もなく迫りモコとラムをひょいと抱き上げる。


「う、うぉおぉぉお! なんて愛らしいんだぁあ!」

「ワウ!?」

「ピキィ!?」


 モフモフ&ぷるぷるに頬ずり。戸惑っていた二匹も、次第に尻尾と体で嬉しさを表す。


「ほら怖くないぞ~。うりうり~」

「ワフン♪」

「ピキュ~♪」


 天野川は額を押さえため息。


「……やっぱりこうなった」

「え、こうなるって?」

「マスターは強面だけど“可愛いもの愛好家”なの。動物もモンスターも区別なく愛でる」


 ギャップが凄い。


「マスター、そろそろ本題」

「むぅ、名残惜しいが仕方ない」


 モコとラムを返され、俺が撫でると二匹はご機嫌。小澤は空気椅子姿勢のまま咳払いし、目を細めた。


「天野川から聞いた。お前は以前モンスターを伴っていたが、今日が初登録。説明してもらおう」


 鋭い眼光に汗が滲む。やはりそこを突かれてしまった。天野川にも見られている以上、流石にごまかしようがないか――

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― 新着の感想 ―
強面の人って大抵が可愛いもの好きが多いよね フリフリエプロン等持ってる強面も…
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