第13話 新たな仲間
「ピキ~♪」
「ワウワウ♪」
名もないスライムとモコが、ぷるぷる&ふわふわで仲良くじゃれ合っている。
モコを見つけた時には最初は俺を警戒していた。だけど、このスライムは出会った瞬間から全開で懐いてきた。人懐っこいのは良いが、逆にちょっと心配になるほどだ。
「ワン!」
「ピ~」
モコがスライムをそっと抱きかかえ、すがるような瞳で俺を見上げる。スライムも全身をぷるんと揺らして“お願い”と主張している。――つまり「この子も一緒に暮らそうよ」という提案らしい。
愛嬌は抜群、敵意ゼロ。モコとも相性は良さそうだ。ならば――。
「わかった。一緒にいるか?」
「ピキ~♪」
スライムは俺の掌へ移り、嬉しさのあまりバネのように跳ねる。こうして俺とモコ、そしてスライムの共同生活が決まった。
「名前がないと呼びづらいよな。何か呼びたい名前はある?」
「ピキ~?」
スライムが小さく首(?)をかしげる。やはり名はまだ無いようだ。
「ワウ!」
モコが自分を指さし、“私にも名前があるでしょ” とアピールする。
「そうだな。じゃあ……ラムでどう?」
「ピ~♪ ピキ~♪」
スライム――いや、ラムは全身で喜びを表現し、ぷるぷると高く跳ねた。どうやらラムという名前を気に入ってくれたようだな。
「今日から君はラムだ。よろしく!」
「ピキィ♪」
俺が抱き上げてあいさつすると、モコが“私も!”とばかりに両前足を上げてピョンピョン。二匹を順番に抱き寄せると、柔らかい温度と違う質感が腕に伝わる。――たまらない可愛さだ。
「さてモコ。お昼も食べたし新しい友達も増えた。そろそろ例の作業に取りかかろうか?」
「ワウ!」
「ピキ~!」
モコは尻尾を大きく振り、ラムもリズミカルに跳ねて気合十分。
俺はリュックを広げ、高圧洗浄機、洗剤、雑巾、スポンジなど掃除道具を並べていく。
「ピキュ?」
「うん? 興味あるか。これは高圧洗浄機。水を勢いよく噴射して汚れを落とすんだ。こっちは洗剤で、これは――」
道具を一つひとつ説明すると、モコは真剣に頷き、ラムは身体を“うんうん”と震わせて理解を示す。二匹とも学習意欲旺盛だ。
「ワン?」
モコが首を傾げる。――どう使うの? と尋ねているのだろう。
「これでダンジョンを掃除するんだ。ここで暮らしてるのに、壁の落書きとか放置は申し訳ないだろ?」
「ワンワン! アオ~~~~ン!」
「ピィ! ピキィ♪」
モコは遠吠えで賛同し、ラムも弾むように跳びはねてやる気満々。二匹の波長は完璧で、ぷるぷる+もふもふの応援団が結成されたようだ。
「よし。新しい仲間もできたことだし、心機一転! みんなでダンジョンをピカピカにしよう!」
俺の掛け声に、モコは“了解!”と胸を張り、ラムは一段と高く跳ねて返事をした。こうして俺たち三人――いや、一人と二匹の大掃除がスタートしたのだった。
これにて第一章は終了となります。ここまでお付き合いくださり、本当にありがとうございます!
晴彦とモコ、そして新入りラムの凸凹ダンジョン生活は、ようやく“スタートライン”に立ったところ。第二章からはさらにドタバタ&もふぷる成分を増量してお届けしますので、どうぞお楽しみに!
もし「続きが気になる!」「モコとラムが可愛かった!」と少しでも感じていただけたなら――
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これからも「放置ダンジョンで快適ぐらし」をどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、第二章からもどうぞ宜しくお願い致します!