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第112話 ホブゴブリンとの決着?

 俺が放った脳天への一撃でホブゴブリンが倒れた。これで、倒せたのか? いや、倒れてくれよ。流石にこれ以上こいつの相手はしたくない。


「おお、やったか!」


 その時、中山が声を上げた。ホブゴブリンは倒れたままだし、たしかにやれたっぽくはあるのだが、妙な胸騒ぎを覚える。


「グ、グォォオォオオ!」


 その予感は当たった。ホブゴブリンの指がピクッと動いたかと思えば蹶然し咆哮したのだ。ビリビリと肌に伝わる振動。


 ホブゴブリンの怒りは頂点に達していそうだ。だがどうする。これ以上戦うには――


「グ、ォ――」


 俺があれこれ考えていると、ホブゴブリンの声が小さくなり、様子に変化が。額に手をやり、頭を振り、そのまま片膝をついたかと思えば前のめりに倒れた。


「ガ、ガァ……」


 ホブゴブリンの息が荒い。苦しそうにしている。


「い、一体どうなってるんだ?」

「ヘヘッ、どうやら俺の毒が効いてきたみたいだな」


 困惑した俺の下に届いたのは熊谷の声だった。


「毒だって? 何かしたのか熊谷?」

「あぁ。俺のスキルの毒付与をナイフに込めていたんだ。効果が小とあったから不安だったが、動いている内に毒の回りを早めのたかもな」


 そうだったのか。言われてみればこのホブゴブリンに最初にナイフで一撃を与えたのは熊谷だった。あの時点で既にホブゴブリンは毒に侵されていたんだな。


「スキルって凄いのね。こんな大きい相手も倒せるなんて」

「いや、まだ倒せてはいない」


 何だか勝ちを得たみたいな空気にはなっているけど、ホブゴブリンはまだ生きている。


「うむ。トドメを刺さなければな」

「だけどよぉ、こんなデカいのどうやってトドメ刺すんだ?」


 中山の言葉には同意だが、熊谷の言っていることもわかる。俺の一撃を脳天に食らわせても平気だったぐらいだしな。


「ね、ねぇ。無理してトドメを刺さなくてもよくない?」

「ダメだ。このまま生かしておいては回復された時に脅威になる」

「俺の毒もトドメを刺せるほどじゃないからな」


 先生は命を奪うことに抵抗があったようだが、ここは中山と熊谷の言う通りだと思う。


「ゴブちゃんは、大丈夫?」

「ゴブッ?」


 紅葉がゴブに聞いていた。よく考えてみたらゴブも同じゴブリンだからな。同族を殺されることになるわけだし、何か思うところがあってもおかしくないと思ったが。


「ゴブッ! ゴブー!」


 だけど、ゴブは近くにあった石を拾い、ホブゴブリンの近くまでいって叩きつけるような仕草で訴えてきた。トドメを刺すべきだと言っているようだ。何か寧ろやる気十分って感じもする。同族だからと仲間意識があるわけでもなさそうだな。


「ゴブちゃん……もしかして何か意地悪されていたの?」

「ゴブゥ……」

 

 紅葉がゴブの側に行ってそう聞いていた。ゴブの様子から何かを感じ取ったのかもな。ゴブも何かを思い出したような細い声だし。


「紅葉ちゃん。危ないからそこから離れないと」

 

 先生が注意を呼びかけた。ホブゴブリンはもう戦う力は残ってなさそうだが、それでも危険は危険か。


「そうだなこっちに――」


 その時、ダンジョンが大きく揺れだした。


「な! 地震か!」

『キャァアアアァアア』

「皆落ち着いて!」

「ちょ、でもこれ大きい」

「まさか、これもダンジョンの変化か!」

 

 熊谷が叫んだ。そういえばダンジョンが変化していると熊谷は言っていた。この揺れはその兆候? そう思った直後だった。ホブゴブリンが倒れていた辺りの地面が崩れ始めたのだ。


「キャァ!」

「ゴブッ!」


 ダンジョンの崩落に紅葉が巻き込まれた! それをみたゴブが紅葉の手を掴み俺も反射的にゴブの腕を掴んだ。だが崩落の勢いに抗うことは叶わず俺たちは崩落に飲み込まれた――

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