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最後の戦い

……………………


 ──最後の戦い



「レクシー。まだ弾はあるか?」


「あるぞ。5.56ミリと9ミリだ」


「5.56ミリの方をくれ」


「あいよ」


 コンテナターミナルにてマックスとレクシーは陣地を作り、そして脱出のための時間稼ぎを行おうとしていた。


「逃げ切れると思うか?」


「そればかりは分からんよ。敵はあたしたちの何万倍もいて、今にもここに押し入ってこようとしている。準備はしたが、潜水艦の合流まで時間が稼げるかどうか」


 マックスとレクシーは今現在、潜水艦がソーコルイ号に合流するのを待っていた。潜水艦はまだここにおらず、向かってきているのだ。


 その合流までの時間稼ぎがマックスとレクシーの目的とするものであった。


「レクシー。もし俺が死んだら──」


「辛気臭いことを言うのはやめろ。お互いに生き延びること以外認めない」


「押しの強い女だぜ、あんたは」


 レクシーが言いきるのにマックスが苦笑いを浮かべる。


「まあ、確かにお互いに生き残らないと、後の人生は退屈だ。俺はあんたのいない人生なんて考えられないよ。そいつは酷く退屈でつまらないものに違いないだろうが」


「あたしもあんたなしの人生なんて考えられんよ、マックス」


 マックスとレクシーはそう言葉を交わしてお互いを見る。


「タバコ、あたしにもくれないか?」


「このタバコ、クソ不味いぞ。いいのか?」


「いいさ」


 レクシーが言うのにマックスは“お説教タバコ”を1本取り出し、レクシーに渡した。そして、タバコに火を付けてやる。


「本当にクソ不味いな、これ。よくこんなものに金出すもんだ」


「俺にはなくてはならないものだからな」


「ははっ。そうかもな」


 そこでマックスとレクシーが素早く銃を握った。


「──来たぞ。大規模攻勢だ」


 司法側の地上部隊がマックスとレクシーを拘束するために進んできた。


 装甲車を盾にして前進してくるSWATがマックスとレクシーがいるコンテナターミナルの管理センターに向けてじわじわと前進している。


「ほらよ。歓迎してやる!」


 レクシーがそう言ってスイッチを2回押すとコンテナに仕掛けてあった爆薬が爆発。装甲車を大破炎上させ、州兵たちを火だるまに変えた。


「それ以上は前進させんぞ」


 マックスも狙撃で司法側の戦力を足止めし、時間を稼ぎ続ける。


「イエイ。殺し続けようぜ」


「ああ。ド派手なパーティの時間だ」


 レクシーはあちこちに仕掛けた爆薬を点火して司法側に打撃を与え、マックスは狙撃によって司法側の戦力がまとも動けないように釘づけにしていた。


 しかしながら、司法側もここまでのことは想定していた。


 彼らは戦車や戦闘工兵車両を持ち出してより頑丈な盾にして進み、さらには控えさせておいたふたつめのカードを切った。


 すなわち上陸作戦部隊の投入だ。


 港に高速ボートで接近した司法側の上陸戦力は地上部隊とは反対の方角に上陸し、それによってマックスとレクシーの背後をとった。


「マックス! 反対側に新手だ!」


「クソ。どこから現れやがった!?」


 上陸部隊の突然の出現にマックスたちはうろたえながらも応戦する。


「やばいぞ、レクシー。このままじゃソーコルイ号への道を閉ざされる」


「こうなりゃ、ソーコルイ号に立て籠もるぞ。急げ、急げ!」


 レクシーたちは管理センターを飛び出して、停泊中のソーコルイ号に向かう。


「いたぞ! 被疑者を視認した!」


「動くな! 連邦捜査局だ!」


「うわっ! 撃ってきたぞ! 気を付けろ!」


 マックスとレクシーは途中で司法側の戦力に捕捉されるも、反撃して追い返し、その間に急いでソーコルイ号に向かった。


「乗り込め、乗り込め」


「潜水艦はまだ到着しないのかよ、クソ」


 ソーコルイ号に立て籠もったところで、潜水艦がこなければ袋のネズミだ。


「こうなりゃサツどもを皆殺しにしてやろうぜ」


「そいつは良いアイディアだ。やってやろう」


 レクシーが言い、マックスはソーコルイ号に隠してあった武器を手に、ソーコルイ号の甲板に出た。


 ちょうど、司法側のヘリが上空を飛行しているのにマックスはMANPADSを取り出すとロックオンして引き金を引き、叩き込んだ。


 地対空ミサイル(SAM)はヘリに向けて瞬く間に迫り、炸裂。ヘリはローターが吹き飛んでバランスを崩して墜落していく。


「ざまあみやがれ!」


「マックス! さらに新手だ! 歓迎してやろうぜ!」


 司法側の戦力はソーコルイ号への突入を目指すが、マックスとレクシーは抵抗を続けて彼らを中に侵入させない。


 機関銃の掃射が敵を薙ぎ払い、グレネード弾が敵を吹き飛ばす。


「そろそろ残りの弾薬がやばい」


「クソ、クソ! 最後まで暴れてやるぞ!」


 マックスが弾薬ケースを見てそう言い、レクシーが唸りながら叫んだ。


『マックス・キアナ! レクシー・バートレット! 大人しく投降せよ! もうお前たちに勝ち目はない! 大人しく投降すれば罪は軽くなるぞ!』


 今度そう訴えかけるのは連邦捜査局の交渉人(ネゴシエーター)ではなく、カーター自身だった。彼は狙撃を恐れず、前線に出てマックスたちに投降を呼びかけた。


「投降しろだとさ」


「クソ食らえだ。ぶち殺してやろうぜ」


 マックスもレクシーも警察に投降するという選択肢はなかった。彼らはどうせ死ぬなら、派手に暴れて、語り継がれるくらい殺しまくるつもりであった。


 ソーコルイ号にはまだ潜水艦は来ない。


 もう逃がすことはないというように司法側の戦力が次々にソーコルイ号に突入してくる。タラップを登り、ヘリから降下し、海上から密かに、それぞれ侵入してきている。


 ここまで来るともはや多勢に無勢だ。


「流石にもう駄目そうだな」


「ああ。楽しかったぜ、マックス」


「俺もだ、レクシー。あんたはマジで最高の女で俺の運命の女(ファム・ファタール)だったよ。これまで一緒にやってこれてよかった」


「あんたは相変わらずのロマンチストだな。だが、そういうところは嫌いじゃない」


 レクシーはそう言ってマックスと熱い口づけを交わす。


「じゃあ、最後は派手に」


「イエス」


 レクシーが起爆装置のボタンを握る。


「連邦捜査局だ! 手を頭の上に置いて──」


 それから突入した連邦捜査局の特殊作戦部隊はレクシーが起爆した爆薬によって吹き飛ばされた。マックスとレクシーとともに。


 そして、ソーコルイ号全体が爆発によって歪み、港にて傾いて沈み始める。


「撤退、撤退! 急げ!」


 沈みゆくソーコルイ号から捜査官たちが撤退し、ソーコルイ号は港で着底。


「被疑者は!?」


「確保できず! 自爆しました!」


「クソッタレ」


 カーターはそう罵り、空虚な気分で着底したソーコルイ号を見た。


 これでハンニバルによる一連のパシフィックポイントでの事件は終結した。


……………………

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