26,クエストの報酬
前回の投稿は“ 06/16 12:00 ”です。
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魔法使いスケルトンを倒し、その体が粒子となって消滅すると、私たちが戦闘を繰り広げていた館が淡く輝き出した。
視界が真っ白に染まり、館の内装が見えなくなっていく。しばらくその状態が続き、再び世界に色が戻った時には、私は岩場にぽつんと立っており、館はおろか、最初に入っていった古びた小屋もなくなっていた。
館が消えたってことは・・・、よし、ちゃんとクリアになってる。
クエストクリアを確認した私は、その場にドカッと座り込み、クエストクリアの感慨に浸る。
とっさに思いついた、ミニゴーレムによる身代わり戦法は、完璧に近い形で決まった。
あれをやるとミニゴーレムを攻撃に活かしづらいから、防戦一方になっちゃう気がしたんだけど、うまくいって良かった。相手も自我の無いはずのアンデットの割には、最後焦って魔法を連打してきたように見えた。それもあって、今回はドはまりしたけど、受けられる攻撃は体で受けた方がいいと思う。今後は見極めが大切になりそうだ。
氷属性の魔法については掲示板に書き込むことにした。
β版の時から魔法の属性が少なすぎることは話題に上がっており、そのうち新しい属性の魔法を使えるようになるかも、と噂されていたが、こんなに早く対面するとは思っても見なかった。
氷属性が私にとって弱点じゃなかったのは幸運だった。ただでさえ一発当たるだけで結構体力を削られていた。弱点だったら二発ぐらいでやられてたんじゃないか?
とはいえ、メタい考え方をすれば、私の弱点に氷属性があるわけはない。なぜなら、進化した時点でステータス欄に「氷脆弱」とか書いてあったら、プレイヤ-の楽しみを奪ってしまうことになるからだ。もしかすると、隠しステータス的なものが存在していて、私に氷属性が効きやすいこともあったかもしれないが、被ダメージから察するにそういうわけではないだろう。どちらにせよ新種の魔法を見られたのはプレイヤーの身としてはラッキーだった。
クエストの感想を思いうかべながら、思い出したように今回の戦果を整理し始める。
まず、クエストをクリアしたこと自体による報酬だが。私の場合は無かった。
報酬がないのはおかしいと、憤慨するプレイヤーもいるかもしれないが、正直初めからこれは予想できていた。
というのも、掲示板でクエストの報酬について掲載されていたのだが、報酬は依頼者本人および、その関係者から受け取ることがほとんどであるらしいのだ。
つまり、依頼者がすでに亡くなっている私の場合、報酬の受け取りようがない。このようなケースは他のプレイヤーからも報告されており、依頼者がその場にいなかったり、報酬になる様なものを集める習性がなかったりと、種族間の違いからくるものまで様々だった。
依頼者の関係者という面で考えれば、団長は元貴族だったようなので家に伺えば何か貰えるかもしれない。しかし、団長がスケルトンにされたのは数百年前で、魔物溢れるこの地域近くに領地を構えていたことを考えると、既に家は無くなっているか、少なくとも貴族の身分は無くなり、どこかに逃げ延びていたとして先祖の記録何て残っちゃいないだろう。
つまり今回のクエスト報酬はなし。
だが、その変わり夜のマップが解放される。という解釈で私はクエストに臨んでいた。
実際、まだ太陽は昇ってきていないが、一向にスケルトンたちに襲われる気配はない。
やはり、マップの解放が事実上、今回の報酬だったと考えていいだろう。むしろ得られるものはこちらの方が多いかもしれない。今夜は無理かもしれないが、また探索してみよう。
続いてドロップ品。
スケルトンばかりと戦っていたため、あまり変わり映えしないが、今回のドロップアイテムはこれだ。
骨材×11
硬い骨材×2
スケルトンの骨×10
スケルトンの堅骨×2
スカルヘッド×4
魔力の残滓×1
闇の紫水晶×1
鉛直剣×1
鉛円盾×2
木の杖×1
武器持ちを相手することが多くなったことからか、レア度は低そうなものの、装備品のドロップが結構出るようになってきた。拠点に帰ったら、バザールに出そう。
スケルトン素材は、より質の良いものがドロップしていた。たぶん、大剣スケルトンのものだろう。
魔物のドロップアイテムもなかなか多くなってきた。どこか集落で売り払いたいところだが、いい場所は無いだろうか。まず、友好関係を結ぶのが難しい気もするが。
錬金等の利用価値があるのであれば、使いたいというプレイヤーに譲りたいが、そもそもの話、わざわざ魔物陣営を選んでおいて錬金をやる人なんているのだろうか。もっと言えば、人間陣営がある程度職業を自由に選べるのと違い、魔物陣営は進化を持ってしてそれぞれの方向へ特化していくので、素材を必要とする人がいたとしても現れるのはもっと先の可能性がある。
一回目の進化が続々と行われていく中で、現段階で既に錬金に進むプレイヤー?
そんなもの好きいるのだろうか。
自分も特殊な進化をしたとは言え、戦いをするタイプであることに変わりはない。
特殊な派生を出して、さらにそれが錬金になるとはいったいどんなプレイをすれば・・・、検証班なら案外行けるのか?
若干の可能性にたどり着き、今度掲示板で聞いてみようと思いながら、今回のドロップアイテムの中で目玉であろうものに視線を移す。
「魔力の残滓」と「闇の紫水晶」。初めて見るタイプのアイテムだ。
双方ともに消費アイテムでないことから、おそらく装備品や錬金等で使用できるアイテムだと考えられる。
闇の紫水晶の方はアメジストが既に存在することから、それの亜種なのだろう。宝石ということは私が食べても問題ないのだろうか。さすがにもったいないので試さないが、ルビーが進化に関係したという事例があるので、売ることもせずとっておこう。
魔力の残滓は捉えどころのない、煙のようなアイテムだ。名前の通り魔力に関係しそれを可視化したものなのか、魔法使いスケルトンが魔力を溜めていた際に纏っていた雰囲気と同じものを持っている。
レア物そうだが、私に魔法系のアイテムは使い道がない。もし素材系のアイテムでないのであれば、売れるかもしれないのでバザールに出せるか試してみよう。
戦利品の確認をし終え、インベントリを閉じる際にふとポーションが目に入る。
今回の戦闘で、ポーションをそれなりに使ってしまったため、現在の残量は半数の5個。
質は低そうだけれど、装備品を売ることである程度補填できないかなぁ、と考えながら、私はステータス画面に移動し、レベルの上がった影響を確認する。
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種族:ゴーレムリーダー Lv8
HP:89/89
MP:12/12
力 :32
魔力:8
防御:86
魔防:35
速 :5
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<通常スキル>
「転がり」:Lv1 「採掘」:Lv2
<種族スキル>
「火耐性」:Lv2 「風耐性」:Lv2
「斬撃耐性」:Lv2 「水脆弱」:Lv5
「ゴーレム生成」:Lv1(60/60)
<パッシブスキル>
「体重」:Lv1 「飲食不要」
「不思議な瞳」
<称号>
「こだわりのPK」
「ジャイアントキリング」
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レベルがリセットされていたこともあってか、一気に8までレベルが上がった。
ステータスの伸びとしては魔法系は相変わらず。進化時に少し伸びたことで何か変化があるかと考えていたが、そんなことはなかった。
驚いた事と言えば、魔防が攻撃力を抜いたことだろうか。
進化前は本当に物理特化で次に攻撃、といった感じだったのだが、ゴーレムリーダーはどちらかと言えば防御よりの種族になるらしい。
攻撃力の伸びも若干悪くなっている気がする。もっとミニゴーレムを多用して戦うべきなのだろうか、既にかなりの部分で頼りにしている気がするが・・・主に武器として。
スキル面は特に変化はない。
スケルトンやゴブリンと言った武器を扱える種族であると、レベルアップ時にスキルが増えるというケースがあったはずだが、私はどうなのだろうか。
掲示板でも、原因も無く急にスキルが増えた、という話は聞かないので私がスキルを手に入れるのは今後も進化時のみになりそうだ。現状それでも不満はないが、ゴーレムリーダーとしてプレイする期間が長くなればなるほど、考える機会は多くなるかもしれない。
そう考えると、スクロールは買っておくべきだったのか?
もう一度バザールでスクロールを探してみるかと思案しながら、私は拠点に戻っていった。
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「呪われた正義」をクリアしたのがスケルトン系の魔法職であった場合、特殊な進化派生と拠点を手に入れることができていました。
ブクマ&評価ありがとうございます。
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