23,クエスト:呪われた正義 ①
最近、一定の時間に投稿することができなくなっているため、前回の投稿がいつ行われたのか前書きに載せておこうと思います。
前回の投稿は“ 06/14 12:00 ”です。
クエストを受諾し、団長たちを呪いから解放するため、魔術師が残した元となる何かを探し始めた。
とはいえ、呪いというワードがこのゲームを初めてから聞き覚えがない言葉なので、ひとまず、掲示板で調べてみることに。
すると、出るには出たが、呪いの効果がどうこうという話ではなく、ただ集落のNPCから呪いという存在があることを教えてもらったという報告が出てくるのみだった。
想像だけで言えば、呪いを発動するために何か施設や、道具を用いていると予想できるが、岩以外の遮蔽が少なく、あたりを見渡しやすい岩場の地形でもそれらしいものが見当たらない。
となると、呪いの発信源が一定条件化でしか現れないか、地上にはないか。はたまた、そもそも別の方法で呪いを保っているかという可能性が生まれるのだが、消去法で探し続けるのは岩場が少し広すぎる。何かいい方法は無いか。
ミニゴーレムを探索に行かせることで、三方向一気に調査ができるかとも思ったが、私とミニゴーレムは視界を共有しているわけでは無いので、そういった探索ごとには使えない。
建造物を見つけたら帰ってきて報告する、という指令であればできるかもしれないが、見晴らしのいい岩場で1分半程度の探索を任せる意味もない。
結局、地道に探すしかないという結論に達した私は、とりあえず、両手を分離しミニゴーレムとの速度差等の検証をしながら探索することにした。
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夜の間、魔物もいない岩場をゴロゴロと転がりまわっていたところ、岩だらけのこの地形には似つかわしくない、小さな古びた家屋を発見した。
これかと思い、さっそく侵入しようとしたところ、朝日が昇り日の光を浴びると家屋は見えなくなってしまった。夜限定で現れるということだろうか、にしてもタイミングが悪い。いや、ギリギリ見つけられているんだからタイミングがいいのか。
ということで、拠点にも戻る用事もなければ、クエストのテキストから察するに、夜になるとスケルトンがまた出てきてしまうので、日中は家屋を発見した辺りでぶらぶらしていた。
あんまりにも離れると、位置がわからなくなってしまうので、家屋のあった位置からボーっと周囲を眺めて、見つけた魔物に手当たり次第手を出すという蛮族行為を行っていたところ、相性の問題か普通にターロスに負けかけた。
あの亀さん、大人しそうに見えてかなり凶悪な顎を持っている。
頭噛みつかれて、口の形そのままに体を削り取られたときには軽いトラウマを植え付けられた。
動きは遅いので顔面にゴーレム投げつけて、必死に退散してきたが、強化された私の耐久を抜いて、ましては損傷させるとは一体どんなスキルを持っているんだ、素のステータスだけでは説明がつかない。
また、トラウマ級の出来事として、時間経過で欠損した体が元に戻らなかった時にはかなり焦った。
ポーションを呑んでも治らず、むしろHPが一定以上回復しない事態にすら陥った。
結局、そのあたりの岩を食べることによって体が修復され、HPも元通りになることが分かったが、戻らなかった時のことを考えると肝が冷える。
戦闘中に体が破損した際は、インベントリにある岩を消費することで体が修復されるのか気になるところではあるが、さすがにもう一度試してみようなんて気にはならない。
ターロスから敗走した後は、むやみやたらと手を出すことも控え、大人しく夜が来るのを待った。
そして、日が完全に沈むと再びあの家屋が現れたため、スケルトンたちに襲われる前にとそそくさと家の中に侵入する。
人間用につくられたであろう家屋の扉は、私が通れるか怪しいサイズだったが、問題なく通ることができた。ゲームの仕様なのか、魔法的な仕様なのかわからないが、入った瞬間感じた違和感から察するに、魔法的な何かが働いているのだろう。
魔術師の隠れ家と想定される家屋の内装は、外観から感じられた貧相なイメージとは異なり、ゴシックな雰囲気漂う、豪華な貴族の屋敷の様相を為していた。
室内の広さも、外から見たそれとは異なり、扉を抜けた先に螺旋階段を携えたエントランスがドーンと広がり、縮尺はめちゃくちゃになっている。
ここが、魔法で作られた空間なのか、はたまた別地点へ飛ばされただけなのかはわからないが、どちらにせよ、死後このような魔法を維持し続けている魔術師とは一体どんな人間だったのだろうか。
団長が言っていたように、本人が亡くなったことで多少の綻びが出ているのか、天井につるされたシャンデリアに蜘蛛の巣が張られ、フロアに引かれたカーペットにも汚れや傷が目立つ。しかし、それでもこの空間が維持されていることには変わりがなく、得体のしれない力が働いていることが予想される。どんな物が待ち受けているかわからないが十分注意して進んで行こう。
私は、何者かが現れた際も直ぐに戦闘状態へなれるよう、ミニゴーレムに“基本私に追従し敵が来たら突っ込むように”と指示を出し、両手2体を切り離しておく。
ミニゴーレムたちが私にきちんとついてくることを確認すると、私は屋敷のエントランスから右手に伸びる通路へと進んで行く、通路は30mほど続いており、その間にいくつか左右へ分かれる通路があり、ここからではその先を窺うことはできない。
警戒しながら、転がる状態にはならずゆっくりと通路を進んで行くと、奥の見えなかった通路を覗き込もうとした瞬間、左の通路から完全武装のスケルトンが一匹飛び出してきた。
敵が現れたことで、2匹のゴーレムが突っ込んでいく。
しかし、岩場で見た同種と違い目の前のスケルトンはミニゴーレムを相手することなく回避すると、そのまま私に向かって飛び込んできた。
明らかに違うスケルトンの動きに警戒した私は、スケルトンの斬撃を体ではなく、拳を突き出して受け止める。
ガキン!という音がして拳と直剣が交錯する。
武装の見た目が変わらないので、昨夜のように剣が折れるかと思いきや、動きだけでなく装備も違うのか、スケルトンの剣は依然武器としての役割を保っていた。
回避されたミニゴーレムたちが、命令に従い実直に敵を追い続けるため、スケルトンは再び私に向かって飛び込んでくる。
飛び込んできたスケルトンの袈裟斬りに対し、先ほどとは違い、今度はパンチを合わせ反撃を試みる。
振り下ろす袈裟斬りとアッパー気味になった私の拳。お互いの攻撃が衝突すると、双方ダメージは無かったものの、体重差によりスケルトンが大きくよろめいた。
よろめいたスケルトンにミニゴーレムがゴロゴロと転がっていき、どこで覚えたか地面を足で蹴り出して器用に飛び突進をかます。
今度は避けられず、ミニゴーレムに体当たりをもろに食らってしまったスケルトンはこらえきれず転倒すると、そこに体の半分ほどはあろう岩石が飛来。身に着けた鎧ごとスケルトンは押しつぶされ戦闘は終了した。
スケルトンとの初戦を終え、新手がやってこないことを確認すると私は一端肩の力を抜く。
岩場で戦ったものとはレベルの違う動きを見せたスケルトンと対峙し、ここが魔術師の本拠地であると確信する。このスケルトンもまた魔術師に呪われた一匹なのだろう。
ミニゴーレムたちの突進が簡単に回避されてしまったことに少し危機感を覚えるが、私の動きが遅くて詰め切れていなかった部分を埋めてくれてはいるので、悲観しすぎることは無いだろう。特にリスクなく呼び出しておけて、崩しが決まれば一気に決められるのだから出し得だ。
敵が斬撃系統の武器を使用してくれたおかげもあってか、私相手に攻撃が通らなかった。油断しなければ、3体ぐらい一気に出てきても負けることは無いと自信を持って言える。
しかし、ここは魔術師の館。
今まで相対すること無かった魔法系の魔物が現れる可能性も十分ある。気を引き締めて探索を続けよう。
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「部位欠損」
欠損した部位が使えなくなるだけでなく、欠損した割合に比例して一定以上のHPが回復しなくなる。
部位修復の方法は人間陣営、魔物陣営それぞれ異なり、特に魔物陣営はさらに細分化された修復方法が存在する。
リスポーンすると欠損した部位も復活するが、自然治癒はしないので戦闘を継続したい場合は対策を立てておく必要がある。
すべての攻撃に部位欠損の判定があるわけではなく、大抵の場合、大きすぎるダメージやスキル、武器の効果によって部位欠損が引き起こされる。
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