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【第五章開始】竜人少女と奴隷の少年  作者: 大久 永里子
第二章 少年と竜人
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76. 竜人少女

「ナギ!」





  喋った。





 それが竜人少女の、最初の言葉だった。




 悪戯いたずらっぽい青い瞳と、楽しそうな笑顔。





 確信を持って言えた。





「…………ラスタ。」

「ナギ!」





  これが竜人――――――――――――――――――――――





 生まれて初めて見る、人に姿を変える存在。




 小さな女の子が、目の前にいる。




 言葉が出なかった。




 なんて髪だろう。

 内側から光り輝いているかのような金色の髪。

 激しい程に煌めいて、まるで燃えているかのようだった。その金色の波は足首近くまであって、少女は体に光をまとって見えた。

 そしてその光をまとう、真珠に薄く薔薇色を溶かしたような肌の色。透き通っているかのような光沢と滑らかさ。


 手が届く程に近く目の前にいるのに、現実の存在とも思えない程に美しい。




  女の子。


  女の子だったんだ――――――――――――――――――。




 声も出ない程に、ナギは圧倒されていた。


 でも同時に心の片隅が、自分はとんでもない失敗をしたと騒いでいた。



 服のことを考えていなかった。

 だって、獣人がどんな風に人になるのか知らなかったから。

 しかも今は冬だというのに。




「見ろ!どうだ!人になったぞ!!」




  ヤナ語。



 竜人が操る言葉にナギは息を飲んだが、両手を腰に当てて胸を張る少女を見て、ちょっとだけ我に返った。



 竜人少女は人間で言えば、6、7歳くらいに見えた。

 でも竜人の見た目と生育段階が人間のそれに準じているのか分からない。

 取り敢えず見ない方がいい気がする。




 ずぼっ。




 自分の服を一枚脱いで、上から竜人少女に被せる。だがそのまま反対側へすっぽ抜けそうな程、少女は小さかった。



「――――――――――――服がいるか?」

「――――――――――――――――いる。」



 目をぱちくりさせながら言われて、ナギはうなだれた。



  どうしよう。



 蒼然としてしゃがみこんでいると、指の先すら出ない大きな服の中で、少女がばたばたともがいた。



「ナギ!ナギ!」



 じたばたと動く布の塊に叫ばれて、呆気に取られた。

 少女が亀のように頭を引っ込めてしまったせいで、ナギの服がずるずると一人で動いているかのような、奇妙な光景になっている。


 脱ごうとしているらしい。


「…………ラスタ、脱いだら寒いよ?」


 びたんっ。


 少年が少女をなだめたのとほとんど同時に、その布お化けは転んだ。

 ナギは慌てて小さな女の子を助け起こそうとした。


 その時、服の裾から覗くラスタの足に、青紫の布が被さっているのが見えた。



  えっ………。



 それはナギがこれまで見たこともない程に美しい、波打つようなドレープを持つ、滑らかな布だった。



読んで下さっている方、今日たまたま読んで下さった方、ブクマや評価、いいねして下さった方、本当に本当にありがとうございます!


当初想定の長さを大幅オーバーして、ようやく竜人が誕生しました………(泣)。


今週はちょっと更新が滞りがちになってしまいますが、来週からは平常運転に戻る予定です。


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