6.成長の音
朝早くスピアマスターのビートさんが馬を4頭連れて
鍛冶屋に来た、馬の手綱を木に結びボイスに話しかけるビート
「おぅ!ボイス!ちょっと顔つき変わったんじゃねぇか?」
鍛冶屋の入り口の前で上級魔を狩に行くため持ち物の確認をしていたボイス
「あ、おはようございます!」
「ちょっとドキドキしますね…」
ボイスの言葉に少し驚くビート
「当たり前だろ!初めての討伐が上級魔でドキドキ程度か?」
鍛冶屋の入り口から二人が出て来た
ガンジスは身軽な格好に大きな斧を担ぎ
ブラックは片手に刀を持ち現れた
二人が来るのをみたビートが木手綱をほどき馬を連れてきた
ビートが驚く
「2人の装備は武器だけなのか?」
2人は良く武器の素材を集めに魔物討伐に行くことがあった、基本スタイルは武器のみ、ガンジスは武器が重いため疲労を避けるため、ブラックに関しては身軽さ重視だ…
そしてビートが二人と一緒に討伐に行くのは初めてだった
「あぁ!行くぞ!」
「馬は邪魔じゃのぉ!ワシらは置いてゆくからのぉ」
ボキッボキッっと日頃丸めてる背中をぐっと伸ばすガン
ジス
ボイスを気にかけるブラック
「とりあえずポリフェ国まで走るぞ!ボイス!」
自信満々のボイス
「余裕ですね!3日のトレーニングの成果見せますよ!」
3人の会話に慌てるビート
「待て待て馬の足で休まず4日はかかる国だぞ?」
「しかもあの国は人間嫌いのウサギの亜人の国に行って何するんだよ?」
行く気満々のガンジスがムッとする
「ポリフェ国はうちのお得意さんじゃ!」
「そして4日かかるのは馬の走れる道を選ぶからじゃ!」
「この森をまっすぐじゃ!半日で着くじゃろ!」
荷物を背負うブラック
「それに、ポリフェ国の近くでリザードマンが暴れてるらしいんだ!」「だからポリフェ国に行くのよ!」
この3人の感覚は山も谷も真っ直ぐ進む気でいた
それも自分の足だけで…ガンジスとブラックはまるで獣の様に見え…その背中を追いかける子獣が育っている様に見える…
今回討伐を受け入れたのも俺の金とポリフェ国の討伐の報酬…一石二鳥ってわけだな…
「よーーいドンじゃ」
3人がいきよいよく地面を蹴り上げる、ビートの視界から一瞬で姿を消してしまった三人、体に飛んだ土を払うビート、
「俺は、馬で行こう…」
走りながらボイスがブラックに話しかける
「ブラックさんビートさん置いてきていいんですか?」
ピョーンピョーンと跳ねながら移動するガンジスも話に混ざる
「最初からブラックはその気じゃろ!」
「もともと黒助は誰かの下や指示を出されるタイプじゃないのじゃよ!」「なぁ黒助!」
「あぁ…だがビートの実力も見たかったから誘ってはみたが…」
「ちょっとガッカリだな」
跳ねながら移動していたガンジスが上からボイスを見ている、ガンジスがボイスの隣で走り出した
「さすが優等生じゃのぉ!」「まだまだいけるか?」
3人が走り出してから約3時間…
ガンジスは、2人に必死についてくるボイスと15年前のブラックの姿を重ねていた…
そしてボイスはもう息が上がっていた
「ちょ、はぁ、ちょっと、はぁはぁ、きついです、はぁはぁ、」
笑顔になるガンジス
「休憩じゃ!」「ブラック!休憩じゃ!」
汗一つ流さないブラック
「おぅ!」「時間的にもちょうどいいな!」
3人が立ち止まる
ボタボタと汗が吹き出るボイス
「ボイス!すぐ座るな!少し歩いてクールダウンさせてから座れよ!」
汗を拭うボイス
「は、はい!」
スパン!っと大きな木を一切り
さらに倒れてくる木をスパスパ切るガンジス
「ここが机じゃ!」「椅子も完成だ」
手際良くブラックが昼飯を出す、ガンジスが切った机に
おにぎり、からあげ、お茶を並べた
ドン!と斧を木に立てかけるガンジスが
ドスッ!と座りボイスを待つ!
「はぁ、はぁ、ふぅー!」とボイスが息を整えた
三人が席につく、三人の声がシンクロする
「いただきます!」
バグバグと食べる3人、締めに団子を出すブラック
ケラケラ笑う三人、卒業してから約1週間、
ボイスはふと思う、最近2人ケンカしないな…
2人をボイスが変えていた事にボイスは気づかない
3人は魔物がいる森でうとうと昼寝を始めてしまう
ガサガサと何かが近づいてくる
ボイスが目を覚ます、目の前には中級魔の、
鉄トラが牙を剥き出しに、3人を睨んでる
慌ててブラックの肩を叩くボイス
チラッと鉄トラを見るブラック
「お前が倒せボイス…」といいまた寝るブラック
ボイスがスッと立ち上がり、ナイフを手を当て
戦闘態勢に入るが、ガンジス、ブラックに教わった事を思い出し、一度体の力をドッと抜いた、
グガーァァアっと鉄トラがボイスに飛びかかる