第十話 トラマ乱心
1週間後。
「カチリ」
「ペラン様どうぞ」
バス型王座を用意してくれたシノセ。
「いいお湯だ」
「ありがとうございます」
「勇者を見るとチビリ症」を心配していたが問題無さそうだ。まあ、明確に仲間とわかっているしな。
「じゃ今度は御飯を作りましょ、シノセ」
「はい。今日は私の得意料理を作りますよ」
「ふふ、楽しみね」
二人共、もう仲良くなったようだな。シノセの話し方はかたい気がするけどこの話し方のほうがなれているから良いとのこと。
翌日。
「ペーラーン」
「おう、トラマか」
「あれ? この子は」
「シノセです、よろしくおねがいします」
「トラマだ。よろしく」
「新しく雇った子だ。元勇者で腕が立つ」
「ふむ。見た目からしてそんなオーラが漂ってくる」
「なら、丁度いいかな」
「?」
「まず報告だ。無事力を得て私は魔王になった」
「そうか、おめでとう」
「おめでとうございます」
「おめでとう、トラマ」
「その時に邪神様に聞いたんだが呪いの解除はやっぱり無理、との話だ」
「そうか……」
「それから」
トラマが荷物袋から封筒を取り出す。
「えーっと」
封筒の中の紙を取り出しそれを読み上げ始めた。
「私、魔王トラマはペラン国に対し宣戦布告をする」
「は?」
「私、魔王トラマはペラン国に対し宣戦布告をする」
「なんでーーーー!!」
「ただ、急な宣戦布告ってのもあるしな。だまし討と言われるのは好かんし。そこでもう少しフェアになるよう戦争の代案を考えてきた」
「お互い5人ずつ、精鋭を選出。5体5の団体戦を行う」
「精鋭ってか5人しかいないけど!? しかも1人行方不明なの!」
「1週間後、ここで」
「いやいややいや、いきなりすぎるぞ!!」
「では来週な」
トラマは帰っていった。
「……これはどうしたら」
「どうするもこうするも宣戦布告だから迎え撃つしかないわね」
「はぁー。たまに無茶するやつだけど今回は強引すぎるぞ」
(なんだか滅茶苦茶なお話ですね、エーレさん)
(そうね、シノセには話してもいいかな)
(?)
(実は――)
ほどなくしてバスタイムを終わらせ皆と相談することに。
「5人か。と言っても現在4人だけど」
『よう、ペラン坊』
「帰ってきた!」
「これで5人ね」
『?』
ロンさんに説明した。
『わかった、俺も参加しよう』
「後はコキュートススライムね」
「プルルン(もちろん私も出よう)
「ぷるん(了解)」
「はい、5人集まったー!」
「次は順番か」
「まあここは適当でいいかな」
「そうだな」
一週間後。
「来たぞ。逃げずに待っていたか」
「ふふ、逃げられないんでね」
トラマが5人の仲間を引き連れ俺の城に。
(うわー、強い人ばかりね)
(トラマの隣りにいる老騎士は剛剣のソーブンか。アイツのとこで1、2を争う強さのやつだな)
半裸マントだが筋骨隆々、大きな剣。強そう。
(トラマ様、これはこれは壮観ですな)
(そうだろう。なかなかお目にかかれないと思うぞ、ソーブン)
(ワーストから数えて1、2、3が揃い踏み。最弱のコキュートススライムまでいますからね。歴史上最大級かもしれませんぞ。強い順で1、2、3集めるより難しいかもしれませんな)
(さらにペランがコキュートススライムより弱いってのは聞いているけど、それは流石に口止めされているからなぁ)
(どうしました?)
(あ、いや)
「審判は公平を期すために隣国の方を招いている」
「審判のシッピーです。よろしくおねがいします」
「それでは始めたいと思います。一人目の方、前へ」
「ではいってきます」
「んげ、ソーブンか。まあ誰が来てもって話ではあるが」
「ソーブン対ペラン、はじめ!」
「ドアーン」
試合開始の合図が鳴り響く。しかし両者動かない。そもそも俺は動けない。
(これは凄まじい。まったく「力」を感じない。例えるなら砂場で遊んでいる年端も行かぬ子供が私の前に居るよう。しかし彼は戦士なのだ。それなのにこの体たらく。これが世界No.2か)
(おーい、なにやってんだ。どうせ負けるんだから一瞬で。痛くしないでね!)
(そう、もし年端もいかぬ子供と出会ったらどうするか)
「ニコッ」
「私の負けです」
ソーブンは満面の笑みを浮かべながら負けを宣言。
「へ?」
「勝者ペラン!」
自軍陣地に帰っていくソダン。
(すみませんトラマ様。彼を攻撃することが出来ませんでした)
(かまわん)
これで1-0。あれ? これもしかして勝てるんじゃ!?




