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空飛ぶラーメンパスタ

作者: 三田 元

「僕はパスタを飛ばすことができる。」そういうと

巻野 すする(まきの すする)は口からドバーッとパスタを飛ばした。

それは脳内妄想。

でも、パスタを飛ばすことができるのは本当。こんな感じでほら。


そう言いながら巻野 すするはパスタを一本空中に浮かせてみせた。

「なんか意味あんの?」

真っ当な意見に僕は飛ばすパスタもない。いや、返す言葉もない。


「それよりパスタは蜂蜜をかけて食べるとうまいんだぜ」

「蜂蜜?」

そう言って甘味 ミツオ(あまみ みつお)は蜂蜜をドバーッとパスタにかけて食べ始めた。

うわ。気持ち悪さにさっき食べたパスタをドバーッと飛ばしてしまいそうだ。


「パスタ飛ばしはやめて蜂蜜を飛ばしてくれよ。」

蜂の巣から直接さ、それならオレのためになるだろ?

と、蜂蜜でテカテカした口をニッコリさせている。


「まぁたしかに」

適当に流しつつ、パスタを胃に流し込んで

僕の経営するラーメン屋に向かう。


パスタ以外にゆで卵も飛ばせることは話さないことにした。

ゆで卵が飛んで喜ぶのはきっと僕の友達の万堂ばんどう駄天だてくらいだろう。


この恥ずかしいような自慢すらできない力は、

1年前発見できた。パスタを落としかけた時に

「あっ」と思ったらパスタが浮いた。

ラーメンでもやってみたが、

パスタでなければダメらしい。ペンネもダメだ。


ゆで卵の方もいろいろ試した。

生卵ではダメなようだ。

落として割れたら床が汚れちゃうもんな。

なんとも家庭に優しい能力だ。


役に立つことといえば、今僕が

「空飛ぶラーメンパスタ」という形で

一世を風靡しているくらいだろうか。


提供時に味玉を浮かせてお渡しする。

これがテレビで紹介されて、だいぶ繁盛している。


そんな、些細な力だけど、

ありがたく使わせてもらっている。


パスタの方はメニューにはなくて、

一発芸として披露するくらいだ。

ラーメン屋で流石にパスタは作れない。


「他に使えそうな方法があったら教えて欲しい。」

巻野 すするはそういうと、

奥の厨房へ戻っていった。


当時お客だった僕にこんな話をしてくれた巻野すするに敬意を払い、

この話をみんなに伝えることにした次第である。




終わり。

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