第弐拾玖話 式鬼、時雨
ボロボロになった店内を走り抜け、雪緒は外へと飛び出す。
外では、鬼主の猛攻を時雨が苦しい表情で避けている最中であった。
雪緒は鬼主の様相を見て、一瞬怯むも、右手に持った剣を振るう。
振るわれた剣から、稲妻がほとばしる。
稲妻が、時雨に迫っていた腕をつんざく。
直後、世界が歪む。まるで、世界に雑音が入ったように、そこかしこに歪みが生じた。
焼け焦げ、肉の焼ける臭いを撒き散らす鬼主に注意を払いながらも、歪みにも視線を向ける。
「ーーッ! 雪緒くん、それは……!」
「説明は後だ! さっさと片付けるぞ!」
雪緒の存在に気付いた時雨が物言いたげな顔をしていたが、それを遮ってもう一度剣を振るう。
しかし、鬼主も甘くはなく、全ての腕を引っ込めて雪緒から距離を取った。
雪緒も、深追いはせず、時雨の元に向かい時雨を庇うように立つ。
時雨をちらりと見るも、特に大きな怪我などは無いようで、心中で安堵する。
「悪い、遅くなった」
「はは、まったくだよ……というか、それあるなら最初か使ってほしかったかな」
「さっき貰ったんだ」
「……国宝級の物を、いったい誰に貰ったんだか……」
「秘密だ。というか、あんたやっぱり訳知りだな? ここ出たらきっちり教えてもらうからな」
「りょーかい。覚悟しとくよ……」
そんな会話をしながらも、雪緒の視線は鬼主からは外れない。
逆に、鬼主の方も雪緒を警戒して様子を伺っているようであった。
「んで、あいつが俺をぶっ飛ばした奴で間違いないか?」
「ああ。君をぶっ飛ばして戦線離脱させた奴で間違いないよ」
「……言い方に刺があるなぁ」
「僕に押し付けて早々に戦線離脱したんだ。これくらいの軽口くらい言わせてくれよ」
それを言われてしまうと申し訳なさでなにも言えない。
ここに来てから、時雨には大いに助けて貰っている。時雨がいなかったらと思うと、こんなに簡単に千鶴達を見付けられなかったし、今だって皆無事では済まなかっただろうから。
「それについては悪かったよ。んで、あれがあんたの言ってた障害って奴か?」
「そう。この世界を構築する陳を一身に背負い込んだ、番人というか、この世界の主というか……」
「そこらへんはどうだっていい。ようは、あれを倒せばこの世界から出られるって事だろ?」
「うん。さっき陳が焼き切れたとき、世界が一瞬歪んだ。倒しさえすれば、この世界から出られる」
「ならやることは変わらないって訳だ」
両手の七星剣を構え直す。といっても、構えなど知らないので、自分が振りやすいように構えるだけだ。
「あんたは下がってろ。後は俺がやる」
「それは出来ないかな。素人である君に任せっきりじゃ、僕の立つ瀬が無いしね」
「あんた、戦えんのか?」
「今は無理だ。避けるので精一杯」
「じゃあやっぱり下がってーーッ!」
会話の最中、ようやく鬼主が動く。
九本の腕が、縦横無尽に迫りくる。
雪緒と時雨はそれぞれ左右に避け、雪緒は避けながら雷を放つ。
「おい、もう下がってろって! 死んじまうぞ!」
反対側に逃げた時雨に、雪緒は大声で言う。
「御免だね! 言っただろう! 素人には任せられないって! それに、僕もう死んでるから!」
「減らず口叩くな! 戦えないなら下がってろって!」
「今は無理ってだけの話だ! 雪緒くん、さっきの話の続きだ! 僕を式鬼にするんだ!」
「まだ言うか! 答えはノーだ! 絶対に式鬼になんてしてやるもんか!」
言い合いながら、雪緒は腕を切り付ける。
切り付けるたび、世界が歪む。確実に効いてきている。このまま押せれば、雪緒だけでもこの世界を終わらせられる。
しかし、相手は借りにもこの世界の主。それも鬼の主だ。そう簡単な相手ではない。
九本の腕から、更に腕が生えてくる。その数ーー黙視では到底数えきる事は出来ず。
「な、ん、じゃそりゃぁぁぁぁあああああああッ!?」
一気に増えた腕を、雪緒は焦りながら捌いていく。
雷を放ちながら捌いていくも、如何せん数が多い。
「雪緒くん! 左の剣を振れ! そっちは護りの剣だ!」
「ーーっ、こうか!」
時雨の声に従い、雪緒は左の剣を振るう。
直後、雪緒と腕の間に、薄い膜のようなものが出現し、迫りくる腕を遮る。
膜が腕を抑えている間に、雪緒は腕から距離を取る。
「ああちくしょうッ! こんなに腕が増えるなんて聞いてねえぞ!?」
「御免言い忘れた!」
「情報共有大事!! 超大事!!」
それはもう切実に。
「ていうか、これじゃあ雷が通らねぇ……!」
腕の数が多過ぎて、雷が途中で遮られる。よしんば本体まで届いていたとしても、静電気程度の痺れしかないだろう。
正直、脇腹も痛いし、手足だって痛い。今は奇跡的に捌けているけれど、倒しきるまで身体がもつかどうかは分からない。
考えを巡らせている間も、腕は膜を避けて雪緒に迫る。
時雨の方に向く腕の数は少なく、雪緒を危険だと認識しているためだろう。
「雪緒くん! 僕を式鬼にするんだ! そうすれば戦力になる!」
「だぁから! 御免だっつってんだろうが! 俺は、俺の事情であんたを縛りたく無い!」
「もう君だけの事情じゃない! 僕だって当事者だ! 君だけが当事者面して、一人で何でもかんでも抱え込むんじゃない! それにーー」
時雨は、腕を捌きながら、本心からの声を雪緒に叫ぶ。
「ーー僕に戦えない惨めさを味わわせるつもりか! 戦えない事を惨めだと知った君が!」
「ーーッ!」
「思い上がるな! 守れない事が辛いのは、なにも君だけじゃない! 僕にまた、守れずに死ねと言うのか!」
時雨の、心からの叫び。
今まで雪緒にとっての利や、状況にとっての最善手として式鬼にしろと言っていた時雨だけれど、今度は打って変わって、自分の理を口にした。
それがなんだか自分と似ていると思った。
雪緒は知っている。何か出来るはずなのに、何も出来なかった後悔を。当事者のはずなのに、眺めることしか出来なかった蚊帳の外を。
あの日、あの時。雪緒は当事者でありながら、その事件の傍観者だった。加害者は運転手で、被害者は楸。雪緒はただの傍観者。見ることしか出来なかった、臆病者。
その辛さを、不甲斐無さを、雪緒は知っている。
一瞬、時雨に視線を向ける。
時雨も、雪緒に視線を向ける。
互いの視線が一瞬交錯する。
その一瞬で、雪緒は覚悟を決めた。
右手に持った剣を地面に突き立て、左手の剣で全力で防御をする。
右手でポケットを漁り、式鬼札を取り出す。
雪緒と時雨は似ている。外見とかの意味ではなく、もっと根本的なところが。
同じなのだ。何よりも、守れないことを悔やんでいる。時雨が何を悔やんでいるのかは知らない。同じく、雪緒が何を悔やんでいるのかを時雨も知らない。
けれど、守れなかった事を知っている。それだけで、充分だ。
ただの妥協案でも、打開策でもなく、戦えないのが嫌だと言うのなら、雪緒はそれに手を貸すだけだ。
「これは契約でもなんでもねぇ! そんでもって、俺とあんたは対等だ! 主従でも何でもねぇ! 俺達は肩を並べて戦うーー」
式鬼札に霊力を集める。
想像するのは、小梅ではなく時雨の姿。
「ーーただの、友達だ!」
直後、時雨の姿がかき消える。
そして、式鬼札が即座に形を成す。
雪緒は冷静に右手に剣を持ち直す。
「それで、上等だよ」
どこか満足げな声と共に、銀の光が筋を作る。
そして、鞘に剣を収めた時の独特の音が隣から聞こえてくる。
直後、無数の腕が血飛沫を上げて地面に落ちる。
「なぁ、その格好気取り過ぎじゃね?」
「仕方無いだろう? 生前からこんな格好なんだから。……とは言え、ちょっと君のイメージが混ざってるみたいだけどね」
雪緒が隣に立つ時雨に言えば、時雨は肩を竦めながら自分の格好を確認して返す。
時雨の格好は、如何にも陰陽師、といった格好になると思いきや、黒を基調とした軍服のような服の上に、綺麗な羽織を羽織るという謎の格好になっていた。
「いや、まあ陰陽師っぽいけど……なーんか違うんだよなぁ……」
「こっちの隊服は生前そのまま……でも無いね。ちょっとデザインが違うや」
「てか、そんな隊服なのね、今の陰陽師」
「さあ? 僕が死んだのって結構前だから、一新されてるかもしれない。というか、この羽織はなんだい? これ絶対君のイメージだよね?」
「んやあ……なーんでだろな? いや、本当になんでだろ? ソシャゲの影響かな?」
「現代っ子のゲーム脳がここまで影響されるとは……」
「うるせぇ。戦えりゃあ文句ねぇだろ」
「ま、そうなんだけどね。……さて、楽しいお喋りはおしまいだ」
時雨が刀の柄に手を添えて言う。
その慣れた手つき、そして腕を目に追えぬ速さで切り落とした手腕を考えれば、時雨の生前の得物なのだろう。
雪緒はそんな事を考えながら、鬼主の方に視線を向ける。
鬼主は身もだえしながら、雪緒と時雨を睨んでいた。
ガチガチと鳴らす顎の音は速さと大きさを増している。苛立っているのか警戒しているのか……。
しかして、雪緒達の前に立ち塞がる脅威は、なにも鬼主だけではない。
雪緒が派手に雷を出すものだから、音を聞いて他の異形も姿を現し始めた。
建物の間から、道の奥から、用水路の中から。何処からともなく異形達は出てくる。
「……まるでゴキブリだな……」
「なら、まだ可愛いだろう? それより、今更こんな事を言うのは酷だけど、君に斬れるのかい?」
なにが、とも、なにをとも聞かない。それは雪緒もちゃんと分かってる。
「大丈夫だよ。なれの果てだろうがなんだろうが、今俺が助けるべき人達を、俺は間違えたりしない」
例え、彼らが元が人間であったとしても、今は違う。彼らは異形に成り果てた。雪緒は彼らを助ける術を知らないし、最早助けられるとも思っていない。
彼らは最早この世界の住人だ。彼らは怪異の仲間入りをしてしまったのだ。生者に、自分達に牙を向くというのなら、雪緒は剣を振るうほかない。
「それに、元に戻せないなら、ここで止めてやった方があいつらのためだろ。……俺のエゴなんだろうけどな」
彼らも、生きたいと思っているに決まっている。人在らざる姿になったとしても、生きたいと思っているだろう。
自我があるのかは分からない。けれど、自我があるのなら、生きたいと思うだろう。
だからこそ、彼らをここで止めることを、息の根を止めることを是とするのは、雪緒の憶測であり、エゴである。
そんな雪緒の頭を、時雨はくしゃくしゃに撫で回す。
「ちょ、なにすんだよ!」
「いや、雪緒くんは優しいと思ってね。……雪緒くん、サポートは任せてくれ。君の自由に動いてくれて構わない」
言って、その目に剣呑さを宿らせる時雨。
「正直、手数には自信があるけど、威力となると心許ない。その点、君のその七星剣は威力だけは充分だ」
「悪かったな、威力だけで……」
「拗ねないでくれよ。さて、そろそろ本当にお喋りは終了だ。行くよ」
「……あぁ」
雪緒は一歩前に出て、剣を構える。
一体の異形が、怖気のする絶叫を上げた。
それが、合図になる。
雪緒が踏み込むと同時に、鬼主が無数の腕を伸ばしてくる。
「お、らぁッ!!」
気合いの声と共に、右手の剣で稲妻を打ち出す。
大多数の腕を焼き切り、手に当たらなかった流れ弾が他の異形に直撃する。
炎を上げ、絶叫を上げる異形達。
しかし、そんな程度で誰も止まりはしない。
鬼主から腕は伸びるし、他の異形も迫る。
雷に当たらなかった腕が雪緒に迫る。
左手の剣で防ごうと思った直後、雪緒の後ろから時雨が飛び出す。そして、見るも鮮やかな抜刀にて、迫りくる腕を両断する。
抜刀で一撃。流れるように、二撃、三撃と繰り出す。
どの一振りも目に見えぬ早業。如何に時雨の剣の腕が卓越しているかが分かる。
しかして、先程も言った通り、雪緒達が対峙しているのは鬼主だけではないのだ。
他の異形が我先にと雪緒達に迫る。
雪緒は左に防御の膜を張りながら、右に雷撃を放つ。前は気にしなくて良い。時雨が捌いてくれているから。
右をある程度潰したら、左に雷撃を放つ。
「くっそ……! 数が多いな!」
「それだけここに引き込まれた人が居るって事さ!」
言われ、雪緒は被害者リストに記載されていた名前の多さを思い出す。
それを思い出すと、雪緒達が見付けたのはほんの一握りということにーー
「本当に、胸糞の悪い!!」
ーー考え、雪緒は声を張り上げてその思考を何処かへ押しやる。
今はそんな事を考えている場合ではない。
雪緒が感じた事も無い力の凝縮を感じ、雪緒は叫ぶ。
「ーーッ! 時雨、俺の後ろに!!」
「ーーっ、ああ!」
頷き、時雨が雪緒の後ろに回り込む。
雪緒は全面に防御の膜を張る。今までよりも、強く、堅く。
直後、衝撃が走る。
「な、んだこれッ!!」
何か分からない。けれど、何かが雪緒の張った防御の膜に当たり、衝撃を与える。
少しでも気を抜けばすぐに防御の膜が壊れてしまいそうな威力。
雪緒の七星剣の扱いが未熟なのもあるけれど、決してそれだけではない。
防御の膜の表面を滑るように、押し付けられた威力が外に流され、背後に突き抜ける。
踏ん張り、耐える。
時間にして数秒。けれど、耐えるのには辛い時間。
「……っはぁ!! くそっ! なんだ今の!」
耐え切り、防御の膜を解除する。
そして、今度は迫りくる腕と異形の対処に迫られる。
息を整える間も無い。
少しの余裕を作って背後を確認すれば、町に火の手が上がっていた。
ホームセンターは、と思い見やれば、なんとか守れていたようで、端っこを少しだけ燃やされている程度で済んでいた。
雪緒は視線を目の前に戻すと、腕と異形の対処に集中する。
分かっていた。強いのは分かっていたのだ。手こずるのも分かっていた。それでも、ここまでだとは思わなかった。
雪緒と時雨でも捌く事は出来る。逆を言えば、捌くことしか出来ないのだ。鬼主には依然手は届かないし、異形の数は一向に減らない。むしろ、ここに集まってきている事を考えると、増えてきてすら居る。
被害者リスト。そこにあった名前は百はくだらない。全員が全員ここに連れて来られた訳ではないだろうけれど、それでもそのリストの名前の大半が外れと言う訳でも無いだろう。
百に近い、もしくはそれ以上の異形がここに集いつつある。
雪緒の体調の事も考えると、持久戦に持ち込むのは不利だ。
何か一手。それでなくても、何か突破口があれば!
しかし、現実はそう甘くはない。
またしても、力の凝縮を感じる。
今度は確かめてやると、雪緒は力の凝縮している箇所に目を向けた。
迫りくる腕の隙間。そこから、一瞬見えた。
鬼主が大顎を開け、その口内から巨大な目玉が飛びだし、その目玉の目前に青紫色の炎が凝縮しているところを。
「そんなの有りかよ……っ!!」
言いながら、雪緒は左手の剣で防御の体勢をとる。
「時雨!」
「ああ!」
時雨が雪緒の後ろに回る。
そしてまた、先程と同威力の熱線が防御の膜に直撃する。
「ぐ、ぅ……!!」
雪緒は耐えるために踏ん張り、歯を食いしばる。
身体に響く衝撃が、骨の折れた脇腹を刺激する。
最早体中痛くないところが無い程だけれど、脇腹の痛みは別格だ。雪緒は生まれてこの方、骨折などしたことがなかったから。
痛い。今まで感じてきたどの痛みよりも痛い。今すぐ逃げ出したい。もうやめにしたい。もう帰りたい。
けれど、ここで逃げたら背に庇っている人達はどうなる? 時雨は、千鶴は、上善寺は、玖珂は、他の人達は?
そして何より、雪緒を信じて送り出してくれた晴明の気持ちはどうなる? 尊敬すると言ってくれたその言葉は? 全部終わったら一緒にお茶をしようと言ってくれた約束は? あの時の、笑顔は?
「く、そがぁぁぁぁああああ…………!!」
全部無かったことにしてここで果てるか? 全部うやむやにして逃げ出すか?
否、そんな事、出来ようはずも無い。
雪緒を失うことを怖がった晴明が、気丈に笑顔を向けて送り出してくれたのだ。雪緒に七星剣を貸してくれたのだ。お膳立てをしてくれたのだ。
その全てを無かったことにして逃げ出していいわけが無い。
熱線の熱が頬を身体を焼く。
何より、何よりだ。ここで逃げ出した自分を、自分は許容できるか? あの時何も出来なかった自分が嫌だったのに、ここまで色んな人に力になってもらったのに、逃げ出した自分を許せるのか?
許せるか。許せる訳が無い!
逃げたくなかったからここに居るんだろう!? なら踏ん張れ! 最後まで、戦い抜け! 自分一人で立ってると思うな! お前は、たくさんの人に支えられてここに居るんだ! その人達の思いを無碍にするな!
押される身体を、踏ん張って耐える。
左手の剣に右の剣を押し当てる。そして、一歩進む。
「う、おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおッ!!」
叫び、気合いを入れる。
「いつまでも熱ぃんだよ、くそがッ!!」
言って、右手の剣に力を込める。
右手の剣の刀身に、雷が溜まっていく。刀身から雷光がほとばしる。
四方八方にほとばしる雷がアスファルトや近くの異形を穿ち、焼いていく。
雷が溜まった剣を振り上げる。そして、叫ぶ。
「堕ちろッ!!」
意気を込め、振り下ろす。
直後、極光を瞬かせ、一つの雷が堕ちる。
「おあああぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!」
熱線の向こうから、絶叫が聞こえてくる。と、同時に、世界が歪む。
そして、徐々に熱線は弱まり、ついには無くなった。
熱線の放たれた場所、そこには、右半身を焼かれた鬼主が生き残った腕五本を使って辛うじて立っていた。
そんな鬼主に向かって、雪緒は言い放つ。
「運が悪いなお前。俺は雷に打たれても傷一つ無かったぜ?」
挑発するように言い、雪緒は剣を構えた。