じゃあ、面白い物語ってなんだろう?
前回までの五講座では、とにかく小説を書くための書き方を纏めました。
ここでは、前回の講座を読んで「実際に小説を書いてみよう」と手を動かし始めた方々が、おそらく躓くだろう問題について書いていきたいと思います。
さて…… 早速ですが、折角小説を書こうと思ったのですから、どうせ書くなら面白い小説を書きたいと願うのが人の性です。しかしながら、「面白い」とはなんだろうということ分からなければ、当然ながら面白い物語を書く事はできません。
では、まずは前回同様に足場を固めるところから始めることにしましょう。
「面白い」とはなんだろう?
勿論、好みは多々あるとは思いますが、「面白い」という一点に関していえば、ある程度の共通見解はあると思います。
とりあえず辞書を引いてみますと「興味をそそられて、心が引かれるさま。興味深い」などと言った言葉が並んでいるでしょう。
人々の興味がそそられる、心が惹かれる場所の例を挙げるなら子供から大人まで楽しむことのできる「遊園地」が一番分かりやすいでしょう。それなら、遊園地について考えていけば、自ずと「面白い」のなんたるかが分かるはずです。
遊園地が魅力的な理由を私なりに説明しますと「ルーチンに似ている日常生活から離れて特別な非日常を過ごすことのできる空間」だからです。
非日常の要素は多々ありますが、一言で言うなれば、刺激的。
小説にこの要素を取り入れることができれば、面白い小説が書けるというわけです。
じゃあ、刺激的でさえあれば良いのかと問われると、実はそうでもありません。具体的に言うと刺激に慣れてしまいます。これでは面白いと言っても単発が良いところでしょう。
これを解決するためには、より強い刺激が必要となりますが、いずれ慣れてしまうことを考えてしまうと、インフレ速度に対応するレベルで刺激を考えられる天才でなければ別の方法を考えるのが無難でしょう。
即ち、日常と非日常を行き来するという点です。
小説で言うならば、緩急を付けるというのが相応しいでしょう。
つまり、敢えて刺激を与えないという時間を用意するのです。
総括します。
面白い小説とは、緩急のある小説である。